広島大学病院の主な取り組み

ポストコロナにおける新たな国際貢献活動を展開

外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP)に認証

2022年6月6日、一般財団法人「日本医療教育財団」から、外国人の方が安心・安全な医療サービスを受けられる施設として、「外国人患者受入れ医療機関認証制度(JMIP:Japan Medical Services Accreditation for International Patients)」に認められました。新型コロナウイルス感染症の拡大で一時期激減した観光客も徐々に復活しつつあります。コロナ前には外国からのインバウンドも大きな盛り上がりを見せ、外国人患者も増えていました。さらに日本の先進的な医療を求めて来日するケースもあり、対応が求められていました。持続可能な開発目標(SDGs)の一つに「すべての人に健康と福祉を」が掲げられてもいます。これらに対して本院の対応を確認するために認証を受けました。

インドネシア医療関連共同研究講座の医療連携加速

広島大学とインドネシアの大手「ヘルミナ病院」グループ、インドネシア住友商事の3者は2023年3月14日、大学病院に設置したインドネシア医療関連共同研究講座の一環で医療分野での連携を進めるMOU(覚書)に調印しました。広島大学病院であった調印式にはヘルミナの各病院長や幹部ら約50人が出席、工藤美樹病院長、ヘルミナグループのハスモロ代表取締役社長、インドネシア住友商事の辛島裕取締役社長が、それぞれ協定書に署名しました。
ヘルミナ病院グループはインドネシア国内に45病院、6100床を有する屈指の大手。今後は医療技術の向上、人材育成、医療分野のデジタル化などを連携して進めていきます。
インドネシアでは2022年4月、広島大学とインドネシア住友商事会社が医療の発展に貢献する目的で前述の共同研究講座を設置、広島大学病院の医師らを現地に派遣して医療面での協力方法などを探ってきました。また、5月には越智学長も訪問してジャカルタで広島大学校友会インドネシアチャプターの設立記念総会を開催するなどインドネシア国内で医療支援活動を展開するために有効なネットワークの構築を進めています。今回の調印へ向け10月に広島大学・病院関係者がヘルミナ病院を訪れ、連携内容を協議しMOUに結び付けました。民間病院と初の協定でインドネシアでの具体的な医療連携の動きも加速していきます。

医療DXの推進による社会貢献

令和2年に厚労省から発出された「新たなデータヘルス改革が目指す未来」では、(1)ゲノム医療・AI活用の推進、(2)医療・介護現場の情報利活用の推進、(3)自身のデータを日常生活改善等につなげるPHRの推進、(4)データベースの効果的な利活用の推進がそれぞれテーマとして設定されています。
これらを実現するべく、広島大学病院では患者カルテの記事記載をはじめ診断画像や病理レポートなど重要な医療データを一元的に収集、統合管理し、スムーズに利活用できる「健康・医療等データ利活用プラットフォームの構築」を始めています。このプラットフォームでは病院内外でデータのやり取りをスムーズに進めるほか患者のデータを一括管理することでリスクを低減、さらに研究者が必要なデータを適切に提供することで、新たな治療法や新薬の開発などにつなげていくことも可能になります。
2026年1月に予定している次期病院情報システム更新に併せて、データの管理体制の向上を図り、医療情報を臨床試験に積極的に利活用させるための統合データベースシステムを整備しています。これまで分散管理されていた、電子カルテや病理レポートなどの情報を全部門にわたる全てのデータを統合管理する環境を構築しています。
この取組は、次世代ヘルスケアの推進に資するワクチン・新薬開発等高度先進医療、高度人材の養成、及び地域・国際貢献拠点の構築といった急激な社会変革に対応するための中核となる取組になります。

医歯連携 革新的病院口腔ケアプロジェクトセンター発足

2022年6月1日、広島大学は、大学病院に「革新的病院口腔ケアプロジェクト研究センター」を組織しました。口腔ケアによる院内感染予防などを目的に、医科と歯科の臨床系診療部門が連携、さらに大学院医系科学研究科の細菌学教室、疫学・疾病制御の基礎研究部門、医療データの解析部門なども一体となった国内外でも初の包括的な研究センターです。
柱になる研究の一つは、米国で広がっている「セルフ口腔ケア」プログラムによる合併症予防効果などについての基礎的・臨床的研究です。オーラルヘルスに関して先進的研究を行うジョンソン・エンド・ジョンソンから口腔ケアグッズの提供を受け、2023年3月までに、1週間以上の入院をする患者5000人が対象です。グッズを渡し、患者自身が口腔ケアをする重要性などを指導、継続してもらいます。センターとして日本で初めてこの取り組みを導入し、ジョンソン&ジョンソンの協力を得ながら効果を確認します。


up