DPCデータに基づく病院情報の公表(平成29年度)

◎使用するデータ

  • 様式1 ・・・・・・診療録情報(主傷病名、入院の目的、手術術式 等)
  • 様式4 ・・・・・・診療報酬請求情報(医科保険診療以外のある症例調査票)
  • Dファイル ・・・     〃   (診断群分類点数表により算定した患者に係る診療報酬請求情報)

  ※患者情報はすべて匿名化されています。

◎対象となる患者データ

  • 平成29年4月1日から平成30年3月31日までの退院患者で、一般病棟に入院した患者

※集計対象外
・入院した後24時間以内に死亡した患者
・生後1週間以内に死亡した新生児
・臓器移植・労災・自賠責・自費・正常分娩・治験・先進医療の患者

◎患者数等の表記について

  • 患者数が10未満の場合は、患者数等を”‐(ハイフン)”としています。

◎集計項目

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

 入院時の満年齢を10歳刻みの年齢階級別にし、90歳以上については1つの階級として集計し、患者数の分布を示しています。

年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 948 546 591 810 1,602 2,110 3,992 4,336 1,914 179

診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

 DPC14桁分類(DPCコード)の患者数を診療科別に集計し、上位5位までのDPCコード、DPC名称、患者数、平均在院日数(自院) 、平均在院日数(全国)、転院率、平均年齢、解説を示しています。

【 DPC14桁分類(DPCコード) 】
診断群分類を表すコードです。入院期間中にもっと医療資源が投入された傷病名と、入院期間中に行われた医療行為等の組み合わせによって決定されます。
診療報酬改定時に見直しが行われますが、平成28年診療報酬改定において、CCP(Comorbidity Complication Procedure)マトリックスという、患者の重症度を評価する手法が「 脳梗塞 」、「 肺炎 」、「 糖尿病 」の3疾患を対象として試行導入され、DPCコードの総数は、2,873分類から4,918分類へとなっています。

小児科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
010230xx99x00x てんかん

手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
44 5.14 6.32 0.00 4.64
130010xx97x2xx 急性白血病

手術あり 手術・処置等2 2あり
37 51.57 40.97 0.00 6.49
130010xx99x2xx 急性白血病

手術なし 手術・処置等2 2あり
24 18.46 13.34 0.00 7.33
11001xxx99x1xx 腎腫瘍

手術なし 手術・処置等2 1あり
24 13.54 15.93 0.00 3.79
010010xx97x6xx 脳腫瘍

その他の手術あり 手術・処置等2 6あり
23 15.09 40.28 0.00 3.13

小児科では、小児に関わる問題に幅広く対応しています。神経、精神、内分泌、アレルギー、膠原病、循環器、腎臓、新生児フォローアップ、代謝など多くの分野で、専門的医療を提供しています。また、大学病院の役割として稀少疾患にもできるだけ対応するとともに、必要に応じ専門領域を横断して全人的医療を行うことを方針としています。

中央診療施設に設置されているてんかんセンターやIBDセンターにも参画し、それぞれの疾患領域において小児に対する専門治療を行っています。

小児血液腫瘍科では、年間約50名の新規小児がん患者の入院があり、全国多施設共同治療研究(JCCG:日本小児がん研究グループ)による血液腫瘍・固形腫瘍患者の診療を行っています。

平成25年には、厚生労働省より小児がん拠点病院の指定を受け、中国・四国ブロックにおける唯一の指定施設として、小児がん中国・四国ネットワークを発足させ、インターネット会議などを通じて小児がん診療の向上に努めています。

現在までに約300例の造血幹細胞移植を実施しており、当科の特徴としては慢性肉芽腫症や重症先天性好中球減少症などの食細胞異常症に対して、約40例の造血幹細胞移植を実施し、全国からの紹介を受けています。 原発性免疫不全症の領域では、厚生労働科学研究や多くの研究班の一員として多くの国内施設と共同で、基礎・臨床研究を行っています。

血友病の診療では、各専門職が連携した包括外来を開設し、近隣県からも定期的に血友病患者が受診しています。 子どもの診療には多くの職種が携わっており、医師、看護師のみならず、病棟薬剤師、理学療法士、作業療法士、臨床心理士、チャイルド・ライフ・スペシャリスト、病棟保育士、相談員などが患者さんとご家族のQOL向上を目指しています。

入院患者数(DPC上位5位):一般病院・診療所では対応が困難な疾患である、難治性てんかんなどの小児神経疾患、急性リンパ性白血病・腎腫瘍・脳腫瘍などの小児がんや血液免疫疾患の診療を行っています。

整形外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
160620xx01xxxx 肘、膝の外傷(スポーツ障害等を含む。)

腱縫合術等
112 22.98 11.41 2.68 30.40
07040xxx01xxxx 股関節骨頭壊死、股関節症(変形性を含む。)

人工関節再置換術等
58 21.83 23.14 15.52 64.29
070041xx99x3xx 軟部の悪性腫瘍(脊髄を除く。)

手術なし 手術・処置等2 3あり
44 9.82 10.35 2.27 41.66
070040xx99x4xx 骨の悪性腫瘍(脊椎を除く。)

手術なし 手術・処置等2 4あり
40 6.63 16.86 0.00 42.73
180060xx99xxxx その他の新生物

手術なし
30 3.33 6.32 0.00 43.00

整形外科では、膝関節外科、股関節外科、肩関節外科、手の外科、腫瘍外科などのサブグループがあります。

それぞれの分野の専門家が日本のみならず世界的にもトップクラスの診療・研究を行い、保存的治療から最先端の再生医療、新生児・小児から超高齢者まで、多くの患者さんの運動器の健康、整形外科医療の発展に寄与しています。

膝関節診療班では、スポーツ障害や一般外傷、加齢的変化などによる膝関節の障害を全般的に扱っています。特に前十字靭帯損傷や後十字靭帯損傷などの靭帯損傷の手術件数が多くを占めています。その方法も、今では世界的に主流となっている自分の腱の一部を使って靭帯を再建する手技を以前から用いており、正確で侵襲の少ない関節鏡視下(内視鏡)手術を行っています。また、半月板損傷や軟骨損傷の手術件数が多く、軟骨欠損の治療では、骨軟骨柱移植術や自家培養軟骨移植術を行っています。他に、変形性膝関節症の手術件数も多く、人工関節置換術や矯正骨切り術に加えて、創外固定器を用いて牽引を行う手術や、膝の骨壊死に対しては骨軟骨柱や人工骨を用いた手術などを行っています。

股関節診療班では、股関節疾患の痛みや異常に対して、CTやMRI、また超音波検査などを用いて正確な診断を図り、それぞれの患者さんの病状に応じた治療法を選択しながら診療を行っています。手術療法においては可能な限り股関節を温存する手術を行い、必要に応じて人工股関節置換術を行っています。

腫瘍治療班では、四肢(上肢、下肢)や脊椎にできる腫瘍を扱っています。診断をできるだけ早期に正確につけ、適切な治療を行うことが重要です。最近では、様々な診断方法や治療方法が進歩し、悪性腫瘍といえども決して不治の病ではありません。当科では、患者さんの四肢機能をできるだけ温存した治療方法を行った上で、腫瘍が根治されるよう、集学的な治療を行っています。

形成外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
070520xx97xxxx リンパ節、リンパ管の疾患

手術あり
59 8.12 9.71 1.69 66.32
090010xx05xxxx 乳房の悪性腫瘍

組織拡張器による再建手術(一連につき) 乳房(再建手術)の場合等
38 8.00 8.02 0.00 50.37
090010xx97x0xx 乳房の悪性腫瘍

その他の手術あり 手術・処置等2 なし
10 12.10 5.96 0.00 54.10
180040xx97x0xx 手術・処置等の合併症

その他の手術あり 手術・処置等2 なし
- - 15.25 - -
140490xx970xxx 手足先天性疾患

手術あり 手術・処置等1 なし
- - 7.55 - -

形成外科では、身体に生じた欠損や変形などに対して、機能的にも形態的にも正常な状態に戻すことを目的とする以下の外科治療を行っています。

•顔骨骨折や外傷による組織損傷の修復

 顔面骨や軟部組織の損傷、重度外傷の修復、ひきつれの治療などを扱います。

•先天異常による変形に対する治療

 口唇口蓋裂、耳介変形、多趾症 ・ 合趾症などの治療を行っています。

•腫瘍の切除および悪性腫瘍による広範囲切除後の再建

 皮膚や皮下の腫瘍を治療します。また、癌などにより広範囲切除が必要になった場合に再建手術を行います。

その中で、人工物を用いた乳癌術後乳房再建術は、実施可能な医師・施設に制限が加えられており、そのためこの領域の手術が突出して多くなっています。

脳神経外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
010010xx9905xx 脳腫瘍

手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 5あり
74 9.68 15.47 0.00 10.59
010030xx9900xx 未破裂脳動脈瘤

手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし
59 3.03 6.90 0.00 67.80
010010xx99000x 脳腫瘍

手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
48 3.58 11.14 2.08 29.00
010010xx01x00x 脳腫瘍

頭蓋内腫瘍摘出術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
46 17.43 21.61 10.87 53.04
010230xx99x20x てんかん

手術なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし
42 14.24 14.54 0.00 30.48

脳神経外科では、外科的治療に関して余裕を持って十分な検討ができるよう、また、外科的治療による入院期間ができるだけ短くなるよう、集中的な検査入院を推奨しています。上記のものは、脳動脈瘤に対する脳血管撮影による最終評価のための検査入院、脳腫瘍摘出術をより効率的に行うための総合的な術前情報を集約して集めるための検査入院、更に、難治性てんかん患者におけるビデオ脳波モニタリングです。いずれも、本格的な治療を行う前の治療を前提とした精密検査に当たります。これらで得られた情報でもって、術前に十分検討して、また、その結果を診療科全体の術前カンファレンスに提出して、全体で検討して最終的な外科的治療の内容(目的、方法、モニタリングの種類、ナビゲーションの有無、SCOTに該当するか、覚醒下手術の適応か、等など)を決めていきます。小児脳腫瘍、AYA世代の脳腫瘍、間脳・下垂体腫瘍は中四国の治療センターで、モニタリングと内視鏡、ナビゲーションを駆使した手術治療を行い、さらに関連する専門科と協力して最先端の放射線治療と薬物療法を行い、治療後の長期フォローアップも充実しています。脳腫瘍症例では初回手術症例と放射線化学療法継続目的の入院があり、いずれも最先端の集学的治療を行っています。

呼吸器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
040040xx97x0xx 肺の悪性腫瘍

手術あり 手術・処置等2 なし
181 10.09 12.35 1.66 68.80
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし
83 2.57 3.59 2.41 71.51
040040xx9909xx 肺の悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 9あり
29 7.86 10.56 0.00 64.48
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし
21 8.00 11.99 0.00 67.76
040010xx99x3xx 縦隔悪性腫瘍、縦隔・胸膜の悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等2 3あり
14 5.93 11.54 0.00 58.79

呼吸器外科では、肺がん、悪性胸膜中皮腫、縦隔腫瘍などを対象として、診断、外科的治療、薬物療法を中心に診療を行っています。

肺がんの診断にはCT、PET、MRI等、最新の画像診断を用いて腫瘍の広がり、性質を評価し治療方針を決定します。肺がんの確定診断は超音波を併用する最新の気管支鏡検査を用いて行います。がん根治を目指し質の高い手術を提供し、患者さんの身体に対してやさしい低侵襲・機能温存手術を積極的に図っています。また国内・海外の抗がん剤を中心とした臨床試験、治験に積極的に参加し、患者さんにより良い、最新の肺がん治療を届けられるように努めています。

心臓血管外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤

ステントグラフト内挿術 手術・処置等2 なし
27 12.67 12.51 7.41 72.96
050080xx01010x 弁膜症(連合弁膜症を含む。)

ロス手術(自己肺動脈弁組織による大動脈基部置換術)等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし
18 28.94 23.93 5.56 69.61
050180xx97xxxx 静脈・リンパ管疾患

その他の手術あり
18 3.50 3.20 0.00 74.28
050161xx97x10x 解離性大動脈瘤

その他の手術あり 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし
16 29.50 28.04 37.50 65.63
050161xx01x1xx 解離性大動脈瘤

ステントグラフト内挿術 手術・処置等2 1あり
10 17.00 23.90 20.00 67.50

心臓血管外科では、診断名として、1)狭心症、心筋梗塞、2)弁膜症、3)不整脈(徐脈性、心房細動)、4)大動脈瘤(胸部大動脈、腹部大動脈)、5)急性大動脈解離、6)末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)、7)静脈疾患(静脈瘤)、8)慢性腎不全、を対象とした治療を主に行っています。症例数は県下有数であり、広島県のみならず中四国より患者さんをご紹介いただき、難易度の高い症例や、複数の合併疾患がある患者さんの治療を多く含んでいるのが特徴です。

上位5つの診断群に関して、順番にその内容を説明します。

大動脈瘤は、高齢者の疾患であり、ほとんどが75歳以上の患者さんです。胸部大動脈、腹部大動脈ともに、ステントグラフトでの治療例が増加しており、近年では胸部、腹部ともには80%以上をステントグラフトで治療を行っています。ステントグラフトで治療可能な場合、切開は鼠蹊部(股の付け根)や鎖骨の下に4cm程度で済みますので、術後の回復も非常に早く、比較的短い入院日数となっています。

弁膜症は、心臓の4つの弁の狭窄症と閉鎖不全症がありますが、治療対象としては大動脈弁の狭窄症ならびに僧帽弁の閉鎖不全症がほとんどです。大動脈弁狭窄症は、弁置換を行います。近年では、生体弁(ウシ心膜を使用して作られたもの)を使用することが非常に多くなっています。また、自己心膜による再建術も行っています。僧帽弁閉鎖不全症はほとんどが弁形成術を試行しており、本人の弁を温存することにより心機能の維持と改善を測っています。これらに合併して三尖弁閉鎖不全症がある場合は三尖弁輪縫縮術を行います。

下肢静脈瘤は、近年開業医でも行われるようになっている疾患です。標準的な静脈瘤の患者さんから、合併疾患を有する患者さんや、難易度の高い患者さんまで、幅広く大学病院では治療を行っています。患者さんの病態に合わせて、従来の術式に加え、レーザー治療やラジオ波治療、さらには広島発・広島大学発の新規開発された治療を含めて、最良の方法を行うようにしています。

急性大動脈解離は、心臓血管外科の急患の中で最も多いもので、とくにA型解離と呼ばれるものは、発症当日(24時間以内)に治療を行わないと半数以上が死亡する、極めて緊急を要する疾患です。大学病院という機能性の高い施設ですが、日々の診療で高難度疾患を治療し続けいているということもあり、急性大動脈解離手術での生存率はもちろん全国平均以上で、救命手術としての上行大動脈置換に止まらず、将来を見据えた上行弓部大動脈全置換術を多く行っています。拡大手術による死亡のリスクは増加することなく、むしろ疾患の特性を利用した術式を行っており、県下ではむしろそれが標準術式になりつつあり、成績は良好です。

慢性大動脈解離は、主に下行大動脈に発生する病態であり、これに対する治療法はステントグラフトが一般的となっており、当院でも標準術式で行なっています。頭や腹部臓器に流れる血管がある部位の大動脈に関しては、患者さん毎の病態に合わせて、ステントグラフトを用いる場合と、開胸・開腹にて行う場合があります。それぞれの長所・短所を考慮して術式を決定しています。

 

産科婦人科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし
169 7.75 4.98 0.00 57.69
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍

子宮悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし
69 14.80 12.94 0.00 56.69
120010xx99x50x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等2 5あり 定義副傷病 なし
66 9.33 4.75 0.00 59.20
120060xx01xxxx 子宮の良性腫瘍

子宮全摘術等
40 10.63 9.91 0.00 45.83
120010xx99x40x 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし
39 9.15 5.02 0.00 61.97

【産科】

•周産期専門医認定施設の基幹施設であり、ハイリスク妊娠を主に取り扱っています。

•新生児集中治療室(NICU)、小児科との連携により、早産が予測される母体の管理が可能です。

•特発性血小板減少性紫斑病(ITP)などの血液疾患、全身性エリテマトーデス(SLE)などの自己免疫疾患、潰瘍性大腸炎やクローン病などの消化器疾患、その他の稀な合併症疾患など、多くの合併症妊娠例を母科と連携して管理しています。

•妊娠高血圧腎症や胎児発育不全などの産科合併症症例も多く取り扱っています。

•高度救命救急センター/ICU、麻酔科、手術室、小児科、NICUとの連携により、母体急変時の対応や超緊急帝王切開を迅速に行うことが可能です。また、弛緩出血や子宮型羊水塞栓などの産後大量出血に対して、放射線診断科(IVR部門)の協力により、緊急動脈塞栓術(UAE)を行うことも可能な施設です。

【婦人科】

•婦人科がん全般に対しては、3名の婦人科腫瘍専門医を中心として手術、抗がん剤、放射線、ホルモン療法、遺伝子診断などを含めた集学的医療を実践しています。

•手術においては、子宮頸癌に対する広汎子宮全摘出術をはじめ、子宮体がん、卵巣がんに対する手術療法を行うことが可能です。また、初期子宮体癌、良性疾患での腹腔鏡手術、手術支援ロボットDaVinciによる手術、子宮内腫瘤に対する経頸管的腫瘍切除術(TCR)や過多月経に対するマイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)などの子宮鏡下手術などの低侵襲手術も積極的に行っています。

•全国的な組織である婦人科悪性腫瘍研究機構(JGOG)の認定施設、全世界的な組織であるNRG Oncologyの本邦認定施設(全国20施設)として、最先端の臨床試験に積極的に参加しています。

•子宮筋層内腫瘍の鑑別診断目的に中四国で唯一、経頸管的針生検検査を行い、治療方針の決定の際にその結果を参考にしています。

•遺伝子診療部として、近年注目されている 遺伝性乳がん卵巣がん症候群(HBOC) やリンチ症候群を含めた遺伝性腫瘍・家族性腫瘍に対して他科とも連携して遺伝カウンセリングを行っています。

眼科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
020220xx97xxx0 緑内障

手術あり 片眼
445 6.18 8.51 0.00 67.87
020160xx97xxx0 網膜剥離

手術あり 片眼
239 7.88 10.21 0.00 54.36
020280xx97xxxx 角膜の障害

手術あり
123 6.39 10.58 0.81 68.93
020200xx9710xx 黄斑、後極変性

手術あり 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし
111 5.68 7.31 0.00 68.33
020240xx97xxx0 硝子体疾患

手術あり 片眼
104 5.26 6.63 0.00 67.05

眼科での入院患者数は1番多いのが緑内障手術で、次に網膜剥離の手術が続きます。

3番目の角膜の障害とは黒目の病気に対する手術です。多くは角膜移植などがあてはまります。

4番目の「黄斑、後極変性 手術あり」とは眼の奥の病気に対する手術のことです。眼の奥に膜が張る黄斑前膜や、眼の奥に穴が開く黄斑円孔という病気に対する手術のことです。

5番目は眼の奥の方の濁りや出血に対する手術のことです。

このように幅広い疾患に対して手術を行っています。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
03001xxx99x4xx 頭頸部悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等2 4あり
45 14.67 13.33 4.44 59.11
03001xxx99x3xx 頭頸部悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等2 3あり
37 60.08 37.90 8.11 64.27
03001xxx01000x 頭頸部悪性腫瘍

頸部悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
36 12.39 13.70 0.00 63.36
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 36 7.58 7.23 0.00 52.53
030240xx99xxxx 扁桃周囲膿瘍、急性扁桃炎、急性咽頭喉頭炎

手術なし
34 5.47 5.48 0.00 42.41

耳鼻咽喉科・頭頸部外科では、入院患者の7割以上が悪性腫瘍です。頭頸部悪性腫瘍の治療に関しては、標準治療に従い、手術、化学療法および放射線療法を組み合わせた集学的治療を放射線治療科、がん化学療法科、口腔総合診療科、放射線診断科などの他科とのチームで行っています。当院は頭頸部がん指定認定施設に認定されており、頭頸部がん専門医が3名在籍しています。慢性副鼻腔炎の手術に関しては、難易度の高い症例に対してもナビゲーションシステムを併用して安全に手術を行っています。内視鏡下鼻・副鼻腔手術V型(拡大副鼻腔手術)の施設基準も取得しています。良性腫瘍、急性および慢性疾患などに関しても他院から紹介される治療困難な症例や難易度の高い症例が集まる傾向にあります。

放射線治療科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
100020xx99x2xx 甲状腺の悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等2 2あり
80 3.65 6.51 0.00 61.51
060010xx99x30x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。)

手術なし 手術・処置等2 3あり 定義副傷病 なし
31 21.06 20.41 0.00 71.68
03001xxx99x2xx 頭頸部悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等2 2あり
- - 34.36 - -
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。)

手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし
- - 9.69 - -
060010xx02x00x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。) 内視鏡的食道粘膜切除術等

手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
- - 9.52 - -

放射線治療科では、最先端の高精度放射線治療を積極的に行っています。体幹部定位照射は、放射線を多方向からピンポイントに照射する治療法で、サイズの小さな肺癌・肝臓癌(転移性を含む)を高い確率で治癒に導きます。強度変調放射線治療(IMRT)は、照射範囲内の放射線ビームの強度を細かく調整し自由度の高い線量分布を達成します。当院では、照射筒を回転させながら強度変調照射を行う新たなIMRT技術である強度変調回転照射(VMAT)を早期より採用し行っています。本法では、効率の良い照射により照射時間の短縮が可能で、患者さんの負担軽減、治療患者数の増加(スループット向上)が得られています。頭頸部癌を主体に多くの疾患において、有害事象を低率におさえつつ病変への確実な線量投与を行うことで、よりよい治療成績につなげています。また、癌の進行に伴う様々な症状の緩和目的の治療も従来通り積極的に行っています。これらの治療を精度高く行うため、放射線治療専門医、医学物理士、放射線治療専門技師を含む診療放射線技師、放射線治療専門看護師、事務員を含めたチームとして日々診療にあたっています。

甲状腺癌の治療における放射線治療の役割は、手術後の再発を予防するため全摘術後の残存甲状腺組織の破壊(アブレーション)を行うこと、既に再発・転移を来した腫瘍に対する治療の2つが挙げられます。放射線治療の方法は体外から放射線を当てる外部照射と、放射性ヨウ素(I-131)を内服して体中から放射線を当てる内部照射があります。特に内部照射は、甲状腺がヨウ素を取り込む性質を利用して、服用した放射線ヨウ素を甲状腺に取り込ませ、手術で取り除けなかった微量の甲状腺組織や再発・転移を体内から照射する方法です。この方法では、内服した放射線ヨウ素により患者さんの体内から放射線が放出することから、数日間は専用の個室で過ごしていただくことになります。この専用個室は広島県内には当院しかないため、近隣の施設から多くの患者さんを紹介いただき治療を行うのが当科の特徴の一つになっています。

食道癌に対する化学放射線療法

当院における食道癌診療に放射線治療は深く関与しています。早期食道癌のうち、ごく表在性のものは内視鏡治療の良い適応ですが、内視鏡治療で切除困難な広範囲あるいはやや厚みのある早期食道癌では手術あるいは化学放射線治療が選択されます。その治療成績は、化学放射線療法と手術で同等で、臓器温存を希望する患者さんには、積極的に化学放射線治療を施行し、非常に良好な治療成績を達成しています。局所進行食道癌では、手術療法が第一選択となります。当院では、術前に行う補助療法として化学放射線治療を施行しています。手術を施行しやすくすることと、再発を抑えることを目的として、治療成績の向上を目指しています。頸部食道癌は、解剖学的に放射線治療が難しい場所です。従来の照射法では、十分な線量の投与が困難な場合がありましたが、VMATを導入することでこの問題は解消しました。胸部食道癌の放射線治療では晩期心呼吸器合併症が問題となります。当院では、本合併症回避を目的としたVMAT技術の開発を継続してきましたが、臨床使用にかなう計画技術の開発を達成したため、今春より胸部食道癌へのVMATを開始しました。

頭頸部癌に対する放射線治療

当院における頭頸部癌に対する放射線治療は、ほぼ全てを高精度放射線治療技術である強度変調回転照射VMATで施行しています。頭頸部癌はVMATの非常に良い適応で、腫瘍制御を達成しながら、従来の三次元放射線治療では回避できなかった有害事象の発生率やその程度を劇的に改善することができるようになりました。上咽頭、中咽頭、下咽頭癌、喉頭癌、副鼻腔癌を主体とするほとんどの頭頸部癌の根治照射および術後照射が対象で、唾液腺分泌障害、顎骨壊死、嚥下障害、脳壊死など晩期障害の軽減に貢献しています。

脳神経内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
010110xxxxx40x 免疫介在性・炎症性ニューロパチー

手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし
20 25.60 16.95 15.00 60.05
010090xxxxx00x 多発性硬化症

手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
16 14.13 13.98 6.25 48.63
010060x2990401 脳梗塞(脳卒中発症3日目以内、かつ、JCS10未満)

手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし 発症前Rankin Scale 0、1又は2
10 16.50 16.38 10.00 70.10
010230xx99x20x てんかん

手術なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし
10 22.90 14.54 10.00 54.10
010160xx99x10x パーキンソン病

手術なし 手術・処置等2 あり 定義副傷病 なし
10 25.10 20.55 10.00 69.80

•頭痛、めまい、物忘れ、手足のしびれや力の入りにくさ、手がふるえる、歩きにくいといった症状に対して適切な診断と治療を行っています。

•脳血管障害(脳梗塞、脳出血)、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など)、免疫・炎症性疾患(多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、慢性炎症性脱髄性多発根ニューロパチー、多発筋炎、重症筋無力症など)、神経感染症(脳炎、髄膜炎など)、筋ジストロフィー、てんかん、慢性頭痛などの腦神経内科特有の疾患について、それぞれの専門領域の医師が診療を行っています。てんかんが疑われ長時間ビデオ脳波検査が必要な場合、入院で検査を行います。

•入院病棟においては、救急疾患から慢性疾患にいたるまでの幅広い領域に対してチーム医療で取り組み、質の高い医療を提供できるように努めています。

皮膚科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外)

皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし
26 8.62 8.50 11.54 71.04
080050xxxxxxxx 湿疹、皮膚炎群 24 7.46 10.50 0.00 33.33
080005xx01x0xx 黒色腫

皮膚悪性腫瘍切除術等 手術・処置等2 なし
21 10.86 14.71 0.00 65.76
080011xx99xxxx 急性膿皮症

手術なし
12 10.33 11.73 8.33 68.67
080220xx99xxxx エクリン汗腺の障害、アポクリン汗腺の障害

手術なし
12 3.42 4.70 0.00 28.67

皮膚科では、悪性腫瘍(癌)の患者さんの診療を最も多く行っています。大学病院という特性上、皮膚悪性腫瘍の患者さんが多く、遠方の患者さんの入院治療も数多く行っています。皮膚悪性腫瘍の種類としては、悪性黒色腫、有棘細胞癌、基底細胞癌、乳房外パジェット病などがありますが、その他に眼瞼脂腺癌、軟部肉腫なども対応しています。患者さんの年齢は50-90歳くらいで、幅広い年齢層の手術を行っています。皮膚悪性腫瘍の入院期間は、およそ1-2週間です。

湿疹・皮膚炎群では、主にアトピー性皮膚炎の入院治療を行っています。急性増悪時の緊急入院の他、教育入院にも力を入れています。7-10日間程度の入院となっています。

急性膿皮症は、皮膚軟部組織感染症のことであり、蜂窩織炎や壊死性筋膜炎といった細菌性疾患を指しています。大学病院では重症例が多く、入院期間も10日程度かかっています。

エクリン汗腺の障害、アポクリン汗腺の障害は、乏汗症、無汗症といった、発汗異常症を指しています。他院であまり行っていない発汗試験と点滴による治療を行っています。蕁麻疹を伴うこともあり、併せて治療を行っています。

それ以外には、皮膚良性腫瘍・母斑、熱傷、蕁麻疹などの入院治療を行っています。

泌尿器科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
110080xx01x0xx 前立腺の悪性腫瘍

前立腺悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし
103 13.03 12.92 0.00 66.85
110070xx02020x 膀胱腫瘍

膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 2あり 定義副傷病 なし
58 7.90 7.64 0.00 71.14
110070xx0200xx 膀胱腫瘍

膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし
41 9.22 7.31 0.00 71.29
100180xx04x0xx 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍

腹腔鏡下副腎摘出術等 手術・処置等2 なし
26 10.23 10.72 0.00 49.92
130070xx99x00x 白血球疾患(その他)

手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
25 7.52 8.79 0.00 65.72

前立腺がん患者数は現在増加しており、泌尿器科で最も多い入院は、前立腺がんに対する前立腺悪性腫瘍手術を受ける患者さんでした。その中で最も多いのが、ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術を受ける患者さんでした。次いで多いのが、膀胱がんに対する、経尿道的手術(経尿道的膀胱腫瘍切除術)でした。(膀胱がんに対しては、副傷病名の有無 でDPCの扱いが異なっています。)

また、副腎腫瘍など良性疾患に対する手術に関して、これまでに多くの症例に対して行っています。通常の腹腔鏡下副腎摘除術のほか、さらなる低侵襲性を求めた単孔式手術や、腹部手術後にも対応可能な後腹膜鏡下手術など、多くの術式にて対応が可能です。

進行性や再発性の膀胱がんに対しては、抗がん剤を用いた化学療法を行っています。副作用の管理などについて、入院にて対応しています。

呼吸器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
040040xx9910xx 肺の悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし
117 3.25 3.59 0.00 70.59
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし
114 11.15 11.99 2.63 70.18
040110xxxxx0xx 間質性肺炎

手術・処置等2 なし
107 13.55 19.65 11.21 65.73
040040xx99000x 肺の悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
29 12.48 14.60 48.28 74.83
040040xx9905xx 肺の悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 5あり
16 24.69 18.99 0.00 69.69

呼吸器内科では、呼吸器疾患の診断や病態の解明をするために、呼吸機能検査、FeNO(呼気中一酸化窒素)、呼吸気道抵抗測定を行っています。また肺癌、間質性肺炎などの診断のために気管支鏡検査を行う際には、安全性を重視し基本的には3日間の入院で行っています。

間質性肺炎の診断のために、呼吸器外科と連携し、胸腔鏡下肺生検を行い、ステロイド治療や免疫抑制剤等による治療を行うにあたり、治療効果や副作用を十分に把握するために入院の上で治療を開始するようにしています。

肺癌については放射線治療科および呼吸器外科の先生と連携をはかり個々の患者さんごとに治療方針を決定しています。化学療法や放射線治療を行う際には副作用や合併症の発現に注意し迅速に対応するために入院で治療を開始しています。外来化学療法への移行をスムーズに行い、抗癌剤の変更が必要になった際には入院していただいた上で安全性を確認後、再度外来化学療法へ移行できるようにしています。

循環器内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈

経皮的カテーテル心筋焼灼術 手術・処置等2 なし
316 4.35 5.30 0.63 63.04
050050xx02000x 狭心症、慢性虚血性心疾患

経皮的冠動脈形成術等 手術・処置等1 なし、1、2あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
104 4.90 4.62 0.00 68.04
050050xx99100x 狭心症、慢性虚血性心疾患

手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
101 3.50 3.03 1.98 69.64
050080xxx9910xx 弁膜症(連合弁膜症を含む。)

手術なし 手術・処置等1 1あり 手術・処置等2 なし
52 10.06 5.96 1.92 75.58
050070xx9700xx 頻脈性不整脈

その他の手術あり 手術・処置等1 なし、1、3あり 手術・処置等2 なし
39 9.49 13.40 5.13 60.33

循環器内科では、心臓や血管の病気を中心とした全身疾患の診療を行っています。高齢化や生活習慣の変化により、心臓の血管の病気(狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患)や加齢とともに増加する心房細動という頻脈性(脈が速くなる)不整脈やそれらに伴う心不全は年々増加してきています。一方で、その治療方法・医療機器や医療技術も急速に進歩を遂げています。

当科は中国・四国地方の循環器病において最も高度な診療体制を整えており、虚血、不整脈、心不全、肺血管、下肢血管、心エコー・心臓CTなど画像診断と各分野のスペシャリストが一致団結して治療にあたっており、その診断能力には定評があり、高度救命救急センター、心臓血管外科とも協力の上、重症患者の治療も行っています。

全国に先駆け開設された心不全センターでは、広島県内・近郊に回復期リハビリテーションを実施する心臓いきいきセンターを整備し多職種で協力して、心不全に対する包括的治療を行っており、厚生労働省のモデル病院になっています。

不整脈治療においても全国トップの実力を有し、最新の機器を使用して経皮的カテーテル心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)などの治療を行っています。高周波カテーテルに加え、クライオバルーン、ホットバルーンなどのバルーンアブレーション、各種の3Dマッピングも使用可能でアブレーション治療数は県内最多です。突然死の原因となるブルガダ症候群など致死的不整脈などの重症例の薬物療法、カテーテル治療やデバイス治療、突然死予測の遺伝子診断やリスクの層別化なども行っています。デバイス治療の後は、遠隔モニタリングを導入し、患者さんの状態を常に把握できるようにアフターフォローもしっかりしています。

虚血性心疾患については、心筋虚血の評価を十分に行い、複雑病変については心臓血管外科と協議のうえ、治療方針を決定しています。カテーテル治療に加えて、心臓リハビリ、リスク軽減など2次予防にも力を入れ、包括的治療を行っています。通常の冠動脈形成術以外にもロータブレーターやエキシマレーザー治療も可能です。

重症心臓弁膜症については、全例心臓CTおよび 3D経食道心エコーを用いて、正確な術前評価がされています。ハートチーム多職種カンファレンスにて、最前の治療戦略を追求しています。

いずれの疾患も侵襲的治療のみならず、リスク因子への介入や再発予防にも心がけており、かかりつけ医と密に連携をとりながら大学病院ならではのきめ細かい治療を行っています。

内分泌・糖尿病内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
100180xx9910xx 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍

手術なし 手術・処置等1 あり 手術・処置等2 なし
41 5.32 4.02 0.00 49.32
100180xx99000x 副腎皮質機能亢進症、非機能性副腎皮質腫瘍

手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
40 6.33 5.76 0.00 61.20
100071xx99x100 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く。)(末梢循環不全あり。)

手術なし 手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし 85歳未満
14 17.79 14.63 0.00 62.21

内分泌・糖尿病内科では、外来通院では血糖管理の難しい方、そして当院での手術が予定され厳格な血糖管理が必要な方などを対象に入院による糖尿病治療(1型糖尿病8例、2型糖尿病42例、その他の糖尿病13例、糖尿病性ケトアシドーシス4例)を行っています。細小血管症(眼、腎臓、神経)や動脈硬化症(脳、心臓、下肢)の合併症精査も同時に行います。併せて、糖尿病療養指導士の資格を持った看護師や栄養士、理学療法士、薬剤師など多職種に渡るチーム体制のもと、糖尿病専門医の責任下に糖尿病教育にも力を入れています。

また、最近では持続血糖モニター(CGM: continuous glucose monitoring)による詳細な血糖プロファイルの管理や、CGM機能付きインスリンポンプの導入も積極的に行っています。

副腎腫瘍は、CTなどの腹部画像検査を行った方の1%程度に認め、決して稀な疾患ではありません。副腎腫瘍のうち悪性が疑われる際は積極的な手術適応ですが、ホルモン過剰産生を示す際も手術適応となります。ホルモン過剰産生を示す代表的な疾患として、クッシング症候群、原発性アルドステロン症、褐色細胞腫などがあげられますが、手術加療により生命予後が大幅に改善されます。当院では、副腎腫瘍に対する精査を積極的に実施しており、副腎腫瘍の早期診断・早期加療に努めています。

腎臓内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
110280xx991x0x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全

手術なし 手術・処置等1 あり 定義副傷病 なし
46 5.54 7.35 0.00 45.89
110280xx99000x 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全

手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
23 13.61 12.23 8.70 65.04
110280xx02x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不

全 動脈形成術、吻合術 その他の動脈等 手術・処置等2 1あり
20 28.80 36.38 5.00 70.70

腎臓内科では、検尿異常や腎機能異常の患者に対し、尿検査、血液検査、画像検査、腎生検などの検査を駆使して正確な診断をつけます。

また、様々な原因で起こる腎不全の患者を診察しています。腎生検の試行数は全国でも有数であり、安全に検査を行うことができるよう心がけています。

昨年度の入院で多かった病名は、慢性腎炎症候群、慢性間質性腎炎、慢性腎不全でした。

慢性腎炎症候群はたんぱく尿や血尿が持続する病気で、病気が進行するまで気付かず、腎不全に移行してしまうケースもあります。間質性腎炎は薬剤のアレルギー反応になどにより腎臓の機能異常を来たしますが、検尿異常は明らかでない場合も多い疾患です。いずれも、腎生検を含む検査を早期に行い、診断結果に基づく治療が必要です。

慢性腎不全の原因は様々ですが、慢性腎不全によって起こる体の異常はある程度共通しています。慢性腎不全の進行を防ぐため、それぞれの病態に合った治療を行います。末期腎不全患者に対しては血液透析のほかにも、自宅で行うことのできる腹膜透析を行っています。

救急科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒)

手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
35 2.14 3.58 17.14 42.51
161070xxxxx10x 薬物中毒(その他の中毒)

手術・処置等2 1あり 定義副傷病 なし
14 2.43 6.19 21.43 41.14
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷

その他の手術あり 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
13 4.38 9.68 38.46 52.54
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷

手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
10 7.10 7.34 30.00 48.90
180010x0xxx3xx 敗血症(1歳以上) 手術・処置等2 3あり - - 39.40 - -

救急科は、広島大学病院の高度救命救急センター・集中治療部(ICU)における診療を担っています。高度救命救急センターとは、極めて重症度や緊急性の高い病気や外傷(ケガ)を、幅広く治療する医療施設です。

当院は広島県で唯一の「高度救命救急センター」として認定を受けており、地域の最重症救急患者を集約化して診療しています。また、ICUでは院内重症患者さんの集中治療を行っています。

高度救命救急センターでは、24時間体制で専属の医師(救急科専門医)が常駐し、交通事故や災害による重症外傷、急性呼吸不全(急性呼吸窮迫症候群、重症肺炎、間質性肺炎)、急性心不全(急性心筋梗塞、急性心筋炎、重症不整脈)、重症感染症(敗血症、軟部組織感染症、髄膜炎)、脳卒中(脳出血、クモ膜下出血)、けいれん、急性肝不全、急性腎不全、消化管出血(吐血、下血)、高体温症・低体温症、減圧症、窒息、溺水、刺咬傷(マムシ、ハチ)、多臓器不全など、多彩な疾患の診療を行っています。その他、通常の病院では治療困難な広範囲熱傷、指肢切断、急性中毒などの特殊疾患も受け入れています。人工呼吸器、体外循環(人工心肺)、血液透析、血漿交換、大動脈内バルーンパンピング、心臓ペーシング、頭蓋内圧モニターなど、様々な先進医療機器を用いて最善の医療が提供できるよう努めています。

救急科では、多様な専門分野を持った救急集中治療医が中心となり、各専門診療科の医師、看護師、薬剤師、理学療法士、臨床工学技士などが、チームとして機能し、力を合わせて様々な疾病・傷病に対応します。医療従事者が知識と技術を集結してひとつひとつの命を丁寧に救って行くことを目標としています。

*DPCコードによる診断群分類別患者数等は上記のとおりですが、診療実績による受け容れ患者さんが多いのは、1)敗血症、2)呼吸不全、3)多発外傷の順となります。(現行のDPC制度における今回の集計方法では、各診療科の診療実績が正確に反映されるものではありません)

敗血症:肺炎や尿路感染症、腹膜炎など様々な感染症が原因となり発症する急性の多臓器障害を敗血症と呼びます。敗血症は致死率が30%にも及ぶ重篤な感染症の病態です。感染症専門医資格を有する救急科専門医が中心となり、最新のエビデンスに基づいた適正抗菌療法を行い感染症の治療に当たります。あわせて、人工呼吸管理、血液浄化療法などの臓器機能代替療法、循環作動薬や抗菌薬などを用いた急性期の総合的集中管理を行うことにより救命率の向上を目指しています。

中毒:広島県内唯一の高度救命救急センターとして、薬物を含めた急性中毒患者を積極的に受け入れ治療を行っています。とりわけ重篤で生命に危機がおよぶ中毒患者に対しては、血液浄化療法、体外式心肺補助療法などの、高度処置による救命を試みています。また、救急認定薬剤師資格を持つ薬剤師との協力により、原因薬物の同定や血中濃度把握などを行い迅速かつ適切な治療に役立てています。

多発外傷(頭部外傷を含む):交通事故、転落などにより受傷された、頭部外傷を含む生命維持に危険のおよぶ多発外傷患者さんを受け入れています。脳神経外科専門医資格を持つ救急科専門医が中心となり、人工呼吸、感染症対策を中心とした全身管理のほか、頭蓋内病変に対する緊急手術を脳神経外科や脳神経内科と共同で行っています。

呼吸不全:様々な原因により発生する重症の呼吸不全である急性呼吸窮迫症候群(ARDS)患者さんの治療を中心に、幅広く人工呼吸を要する呼吸不全患者さんの治療を行っています。呼吸器科専門医、あるいは呼吸療法専門医資格を持つ救急科専門医が中心となり、最新のエビデンスを取り入れた人工呼吸療法に加え、人工呼吸器のみでは治療困難な最重症呼吸不全患者に対して、体外式膜型人工肺(VV-ECMO)を用いた先進医療も行っています。

また、急性期の人工呼吸器早期離脱や早期離床のためのリハビリテーションにも力を入れ、速やかに亜急性期における回復に進んで頂けるように援助しています。

血液内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
130030xx99x40x 非ホジキンリンパ腫

手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし
85 17.27 16.48 2.35 62.99
130010xx97x2xx 急性白血病

手術あり 手術・処置等2 2あり
39 31.08 40.97 0.00 52.46
130030xx97x40x 非ホジキンリンパ腫

手術あり 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし
20 34.70 33.42 15.00 65.15
130030xx99x30x 非ホジキンリンパ腫

手術なし 手術・処置等2 3あり 定義副傷病 なし
17 21.94 17.04 0.00 62.88
130060xx97x40x 骨髄異形成症候群

手術あり 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし
16 19.00 21.28 6.25 71.44

血液内科では、あらゆる血液疾患の診療が可能ですが、特に白血病やリンパ腫・骨髄腫などの造血器悪性腫瘍の治療に力を入れており、関連診療部門との緊密な連携体制のもと、新規治療薬の臨床試験(治験)と造血幹細胞移植を積極的に行っています。また、中四国地方におけるHIV/エイズ診療拠点病院としての役割も担っています。

造血器疾患の治療成績は年々向上していますが、依然として治癒をもたらすことが難しい病気も多く存在しています。また、必ずしも治癒を目指さなくても、QOLの高い生活を維持することが可能な場合もしばしばあります。したがって、私たちの診療科では、納得のいく医療を受けていただくために、患者さんやそのご家族との「対話」を最も重視しています。患者さん・ご家族の不安や疑問に時間をかけてお答えしていきたいと考えていますので、ご病状・診療方針についてお尋ねになりたいことがありましたら、何でもお気軽にご相談下さい。

•非ホジキンリンパ腫:手術なし 手術・処置等2 4あり

非ホジキンリンパ腫に対して、リツキシマブという薬剤を使用して治療を行い、輸血や手術は行わなかった患者さんの入院数を表しています。

•急性白血病:手術あり 手術・処置等2 2あり

急性骨髄性白血病や急性リンパ性白血病に対して、化学療法で治療を行った患者さんの入院数を表しています。

•非ホジキンリンパ腫:手術あり 手術・処置等2 4あり

非ホジキンリンパ腫に対して、リツキシマブという薬剤を使用して治療を行い、輸血や手術を行った患者さんの入院数を表しています。

•非ホジキンリンパ腫:手術あり 手術・処置等2 3あり

非ホジキンリンパ腫に対して、(リツキシマブを含まない)化学療法で治療を行い、輸血や手術を行った患者さんの入院数を表しています。

(放射線療法を行った場合は除かれています)。

•骨髄異形成症候群:手術なし 手術・処置等2 4あり

骨髄異形成症候群に対して、アザシチジンという薬剤で化学療法で治療を行い、輸血を行わなかった患者さんの入院数を表しています。

麻酔科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
010120xx99xxxx 特発性(単)ニューロパチー

手術なし
10 2.00 6.72 0.00 70.70
180060xx99xxxx その他の新生物

手術なし
- - 6.32 - -

麻酔科では、手術のための周術期管理と急性期・慢性期の痛みの診療を担当しています。周術期管理は手術患者さんの手術中の麻酔管理のためであり、それを安全に行うための手術前の診察や検査、手術後の重症者の集中治療など、手術の前中後の管理を含みます。手術患者さん個々にきめ細かく対応するために麻酔科専門医の力が重要です。痛みの診療は手術後においては手術部位の痛みの治療を主に病室で行っています。外来では主に慢性化した痛みの診療をしています。がん緩和に関係する痛みは緩和医療チームで診療しています。

消化器・代謝内科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。)

その他の手術あり 手術・処置等2 なし
299 10.99 11.44 1.67 72.65
060020xx04x0xx 胃の悪性腫瘍

内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術 手術・処置等2 なし
170 7.32 8.73 1.76 71.44
060010xx02x00x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。)

内視鏡的食道粘膜切除術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
109 8.14 9.52 0.00 67.69
060035xx03xxxx 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍

早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術
109 9.22 7.37 0.00 68.77
060050xx99x00x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。)

手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
97 9.11 9.90 6.19 66.74

消化器・代謝内科では、臓器別にチーム医療を行っています。

肝臓領域では、B型肝炎、C型肝炎に対する最新の抗ウイルス治療に積極的に取り組んでいます。また、非アルコール性脂肪性肝炎に対する治療に対しても、栄養指導、運動療法、薬物治療に積極的に取り組んでいます。肝癌に対しては、内科、外科、放射線科による合同カンファレンスにて治療方針を話し合い、患者さんの予後向上を目指した集学的治療を行っています。移植も念頭に置いた急性肝不全の治療や、胃食道静脈瘤、腹水、肝性脳症など肝硬変の合併症に対する治療も行っています。

膵臓・胆道領域では、膵臓がん・胆道がんなどの悪性腫瘍を中心として、自己免疫性膵炎や IgG4関連硬化性胆管炎など の炎症性疾患、良性疾患である胆石や膵のう胞など、さまざまな疾患に対する診断・治療(内視鏡的・経皮経肝的治療や 化学療法など)を行っています。特に内視鏡を用いた超音波内視鏡(EUS)や内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)関連手技を積極的に施行し、良悪性疾患の早期診断や治療に努めています。

消化管領域では、日本および世界で最先端の消化器内視鏡診断と治療を行っており、その実績は国際的にも評価されています。食道癌、胃癌、大腸癌などの消化管腫瘍や潰瘍性大腸炎、クローン病など多岐にわたる消化器疾患に対する診療を行っています。

消化器外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
060050xx02x1xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む。)

肝切除術 部分切除等 手術・処置等2 1あり
92 18.20 19.92 5.43 68.75
060010xx99x40x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む。)

手術なし 手術・処置等2 4あり 定義副傷病 なし
75 7.47 9.69 0.00 63.59
060020xx02x0xx 胃の悪性腫瘍

胃切除術 悪性腫瘍手術等 手術・処置等2 なし
59 18.07 17.27 3.39 70.15
060035xx01000x 結腸(虫垂を含む。)の悪性腫瘍

結腸切除術 全切除、亜全切除又は悪性腫瘍手術等 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
53 16.08 15.61 3.77 68.62
060040xx02x00x 直腸肛門(直腸S状部から肛門)の悪性腫瘍

肛門悪性腫瘍手術 切除等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
41 17.27 17.49 12.20 64.85

消化器外科では、食道・胃から大腸・肛門に至る全ての消化管と、肝臓・胆道・膵臓を対象として、悪性疾患や難治性疾患を中心に高度な外科医療を提供します。

臓器別のキャンサーボードにより、内科や放射線科など他診療科と協議の上で治療方針を決定し、患者さんに最先端・最高レベルの外科医療を提供することを心がけています。

病態を正確に把握することにより、根治性と低侵襲を両立します。可能な限り低侵襲で、可能な限り根治性を求めて摘出あるいは再建し、手術による不利益を最小限にとどめることを目指しています。内視鏡手術を推進し、多くの日本内視鏡外科学会の技術認定医を養成しています。2018年度より保険適応となったロボット支援下内視鏡手術(食道、胃、直腸)を施設内で適応基準を設け、有効性および安全性に対して評価を重ねながら施行しています。また肝胆膵外科学会の高度技能修練施設Aとして、肝胆膵高度技能専門医の育成を行っています。決して妥協しない姿勢で難治癌の研究に取り組み、新しい治療法の開発に努めています。

移植外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎

限局性腹腔膿瘍手術等 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
24 13.38 10.61 4.17 63.58
060340xx99x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎

手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
- - 9.85 - -
060280xxxxxxxx アルコール性肝障害 - - 15.23 - -
060210xx99000x ヘルニアの記載のない腸閉塞

手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
- - 8.98 - -
060130xx99000x 食道、胃、十二指腸、他腸の炎症(その他良性疾患)

手術なし 手術・処置等1 なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
- - 7.39 - -

移植外科では、日本移植学会認定医、日本臨床腎移植学会認定医の指導の下、肝臓移植・腎臓移植・膵臓移植を行っています。その実績から各臓器とも脳死移植施設にも認定されており、膵腎同時移植、肝腎同時移植も行っています。患者さん個人に応じた必要最小限の免疫抑制療法を行うため、独自に開発した新規試験を臨床応用し、拒絶反応の診断や免疫抑制薬の適正化を行っています。

さらにこれまで培った研究成果をもとに、血液型不適合移植や適応外とされている既存抗体陽性症例に対する移植も積極的に行っており、国内外より患者を受け入れています。

また認定レシピエント移植コーディネーターが2名常駐しており、休日・夜間問わず迅速に対応しています。

リウマチ・膠原病科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
070560xx99x0xx 全身性臓器障害を伴う自己免疫性疾患

手術なし 手術・処置等2なし
89 12.22 17.16 7.87 55.56
040110xxxxx0xx 間質性肺炎

手術・処置等2 なし
21 8.14 19.65 4.76 45.43
070470xx99x4xx 関節リウマチ

手術なし 手術・処置等2 4あり
13 4.46 13.17 0.00 60.08
070470xx99x0xx 関節リウマチ 手術なし

手術・処置等2 なし
- - 13.72 - -
070470xx99x2xx 関節リウマチ

手術なし 手術・処置等2 2あり
- - 23.43 - -

リウマチ・膠原病科では、全身性エリテマトーデス、皮膚筋炎・多発性筋炎、各種血管炎などの難治性の膠原病患者の入院が多く、ステロイド療法、免疫抑制療法を行っています。また、膠原病は複数の臓器障害をきたす病気ですので、関連診療科と密に連携をとり、質の高い医療の実践に努めています。退院後は当院で引き続き専門医による外来管理を行っており、急変時においても、適切な対応ができる体制を構築しています。

乳腺外科

DPCコード DPC名称 患者数 平均

在院日数

(自院)
平均

在院日数

(全国)
転院率 平均年齢
090010xx03x0xx 乳房の悪性腫瘍

乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 手術・処置等2 なし
118 5.11 6.37 0.85 56.81
090010xx02x0xx 乳房の悪性腫瘍

乳腺悪性腫瘍手術 単純乳房切除術(乳腺全摘術)等 手術・処置等2 なし
101 9.15 10.15 0.00 59.23
090010xx01x0xx 乳房の悪性腫瘍

乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。))等 手術・処置等2 なし
52 9.31 11.45 1.92 55.44
040050xx99x0xx 胸壁腫瘍、胸膜腫瘍

手術なし 手術・処置等2 なし
- - 14.48 - -
090010xx99x00x 乳房の悪性腫瘍

手術なし 手術・処置等2 なし 定義副傷病 なし
- - 9.58 - -

乳腺外科では、広島県・中国地方の乳がん治療の中心を担うべく、日本乳癌学会乳腺専門医7名が在籍し、最先端の乳がん診療および乳がん専門医の育成を行っています。

•外科治療

乳がんを確実に切除すること(根治性)は当然ですが、根治性を保ちつつ整容性(美しさ)も重視した手術を行っています。内視鏡による小さな傷での手術やすべての乳房を取り除いた際も、膨らみのあるむねにする整容性を考慮した再建手術を形成外科と協力し積極的に行っています。

•診断のための最新検査

正確な診断のため必要に応じて、3Dマンモグラフィ(トモシンセシス)検査、造影乳房超音波検査、乳房専用PET検査を組み合わせて、乳がんの状況を診断します。

•遺伝性乳がん

遺伝子変異により乳がんを発症する可能性の高い(遺伝性乳がん卵巣がん症候群)ことがこれまでの研究でわかってきました。遺伝性乳がん卵巣がん症候群の可能性の高い患者さんやその家族の方に対しては、遺伝の可能性を含めて診療を進めてまいります。遺伝性乳がん卵巣がん症候群の方には、リスク低減手術(予防的手術)を行う体制を整えています(自由診療)。

•妊孕性温存

乳がん治療により、生殖機能が低下することや、妊娠出産の時期を逸してしまうことがあります。妊娠出産希望がある際は必要に応じて生殖医療提供施設と連携して、治療を進めています。

•臨床研究・臨床試験・治験

複数の臨床研究・臨床試験・治験を行っています。適応のある患者さんによっては臨床研究・臨床試験・治験を提案することがあります。

•最後に

我々は患者さん一人一人の病状に合わせた最適な検査と治療を行うことにより、患者さんに優しい診療を提供できるように努めています。

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初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数

 5大癌(胃癌、大腸癌、乳癌、肺癌、肝癌)について、国際対がん連合(UICC)によって定められたTNM分類別の初発患者数を集計し、延患者数、期間内の再発患者(再発部位によらない)を示しています。

【 TNM分類 】

国際対がん連合(UICC)によって定められた病期分類です。原発巣(癌が最初に発生した場所にある病巣)の大きさと進展度(T) 、所属リンパ節への転移状況(N) 、遠隔転移の有無(M)の要素によって各癌を0期~IV期の5病期(ステージ)に分類するものです。

  初発 再発 病期分類

基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 159 14 - 21 25 47 1 第7版
大腸癌 99 37 40 36 36 37 1 第7版
乳癌 129 70 17 - 51 11 1 第7版
肺癌 160 45 80 175 46 227 1 第7版
肝癌 53 60 68 41 16 457 1 第7版

※ 1:UICC TNM分類、2:癌取扱い規約

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成人市中肺炎の重症度別患者数等

成人市中肺炎の患者数を重症度別に集計し、患者数、平均在院日数、平均年齢を示しています。 

成人市中肺炎とは、病院の外で日常の生活を送っている人が感染し発症する肺炎のことです。20歳以上の患者さんを対象に重症度はA-DROPスコアを用いて評価し、1項目に該当すれば1点、2項目に該当すれば2点というように計算しています。

軽症 :0点の場合。
中等症 :1~2点の場合。
重症 :3点の場合。
超重症 :4~5点の場合。ただし、ショックがあれば1項目のみでも超重症とする。
不明 :重症度分類の各因子が1つでも不明な場合。

 【 A-DROPスコア 】

日本呼吸器学会が2005 年に作成した成人市中肺炎診療ガイドライン(JRSガイドライン)で採用されている重症度分類です。

A(Age(年齢)) :男性70歳以上、女性75歳以上
D(Dehydration(脱水)) :BUN 21mg/dl以上または脱水あり
R(Respiration) :SpO2 90%以下(PaO2 60torr以下)
O(Orientation(意識障害)) :意識障害あり
P(Pressure(収縮期血圧)) :血圧(収縮期)90mmHg以下
  患者数 平均

在院日数
平均年齢
軽症 16 9.88 61.44
中等症 56 10.73 72.48
重症 10 15.60 77.60
超重症 - - -
不明 - - -

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脳梗塞の患者数等

 脳梗塞(ICD10がI63$)の患者数を集計し、患者数、平均在院日数、平均年齢、転院率を示しています。

【 ICD10 】

世界保健機関(WHO)が世界保健機関憲章に基づき作成した、傷病に関する分類を表すコードです。International Classification of Diseases and Related Health Problems(疾病及び関連保健問題の国際統計分類)の略称で、世界の異なる国における傷病の状況を比較できることを目的とした標準的分類であり、第10回修正版を『ICD10』として呼称されます。

発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 50 23.18 70.06 40.00
その他 - - - -

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診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)

 実施された手術の術式別患者数を診療科別に集計し、上位3位までのKコード、術式名称、患者数、平均術前日数、平均術後日数、転院率、平均年齢を示しています。

【 Kコード 】
診療報酬医科点数表で定められた術式を表すコードです。このコードに基づいて診療報酬保険請求が行われます。

小児科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K9221イ 造血幹細胞移植(骨髄移植・同種移植の場合) 10 34.60 125.20 0.00 7.40
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取・自家移植の場合) - - - - -
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) - - - - -
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む。) - - - - -
K735-2 小腸・結腸狭窄部拡張術(内視鏡によるもの) - - - - -

現在までに約300例の造血幹細胞移植を実施しており、当科の特徴としては慢性肉芽腫症や重症先天性好中球減少症などの食細胞異常症に対して、約40例の造血幹細胞移植(同種骨髄移植)を実施し、全国からの紹介を受けています。

難治性小児がんに対しては末梢血幹細胞移植を含む集学的治療を行い、治療成績の向上を目指しています。

リンパ節腫脹に対しては摘出術による確定診断を行い、治療に臨んでいます。

経口摂取困難例に対しては胃瘻造設術を導入し、栄養管理に努めています。

小腸・結腸狭窄例に対しては拡張術を実施しています。

整形外科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K0821 人工関節置換術(肩、股、膝) 97 1.51 21.42 16.49 67.42
K079-21 関節鏡下靱帯断裂形成手術(十字靱帯) 56 1.00 22.89 1.79 30.54
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(多椎間又は多椎弓の場合を含む・椎弓形成) 38 5.11 12.71 10.53 66.97
K066-21 関節鏡下関節滑膜切除術(肩、股、膝) 28 1.00 17.86 7.14 35.07
K068-2 関節鏡下半月板切除術 26 1.00 15.50 0.00 38.65

K0821

人工肩関節手術:変形性肩関節症は退行性変化を基盤として関節軟骨が摩耗・欠損することにより、運動時痛や夜間痛、また可動域制限といった症状を呈します。股関節や膝関節のように体重を支えるところではないので体格の比較的小さいアジア人にはあまり多くないと言われていましたが、近年人口の高齢化により増加傾向にあります。手術は肩前方に約10cm程度の皮膚切開を加えて関節を展開し、上腕骨側には金属製の半球を、肩甲骨側にはポリエチレン製の受け皿を挿入します。また2014年からは肩腱板断裂を起こした後で続発的に変形性関節症となる、いわゆるcuff tear arthropathyと呼ばれる変形性肩関節症に対応した人工関節も本邦で使用可能となっています。これは先ほどとは逆に肩甲骨側に金属性の半球を、上腕骨側にポリエチレン製の受け皿を鼠入するのでリバース型人工肩関節と呼ばれています。どちらの手術も除痛および可動域改善に優れています。(平成29年度 6件)

人工股関節手術:変形性股関節症は骨盤あるいは大腿骨の形態異常により徐々に関節軟骨が摩耗・欠損して股関節に変形を来す病気です。特にわが国では、骨盤側の受け皿(寛骨臼)の形成不全のために股関節症へと進行する患者さんが多くおられます。骨盤や大腿骨の骨切り術などの関節を温存する手術が適応にならないほどに関節変形を来し、股関節痛が増強する場合に人工股関節置換術の適応となります。手術は関節変形の程度にもよりますが、関節の前方あるいは後方から関節を展開して変形した骨を切除した後に、骨盤側には金属製カップを設置し、大腿骨近位部には金属製のステムを設置します。カップ内にポリエチレン製の受け皿がはまり、ステム先端に設置したセラミック製のボールが受け皿の中で摺れることにより関節が動きます。一般に良好な術後成績が報告されており、極めて有益な手術の一つと位置付けられています。(平成29年度 57件)

人工膝関節手術:中高齢者の膝痛で最も多いのは、関節で骨の表面をおおっている関節軟骨が傷んだりすり減ったりする「変形性膝関節症」によるものです。60歳以上になると、男性の47%、女性の70%が変形性膝関節症になるとも言われています。膝の関節軟骨がひどくすり減り、歩行など日常生活でも膝痛が強く、関節への注射や薬などの治療を続けても痛みが続く場合には、「人工膝関節置換術」が行われます。この手術では膝の前面に切開を加えて関節を展開し、傷んだ膝の骨の表面を切り、大腿骨側と脛骨側に金属製の部品と、摩耗に強いポリエチレン製の部品をはめて固定します。膝蓋骨の軟骨が強く傷んでいる場合には、ここの骨も一部切ってポリエチレン製の部品を固定します。変形性膝関節症による膝痛が強い患者さんに対する治療として人工膝関節置換術を行うことは、世界中のガイドラインで推奨されています。(平成29年度 34件)

K079-21

前十字靭帯損傷はサッカー、バスケットボールなどのスポーツをしている際、方向転換や片足着地などで膝を捻った時に受傷することが多い外傷です。前十字靭帯が損傷すると、関節の安定性が損なわれることで次第に不安定感を生じ、日常生活・スポーツに支障をきたすようになります。前十字靭帯は治癒能力が乏しいため、手術以外の方法で損傷した靭帯が十分な機能を保って治癒することはほとんどありません。そのため、日常生活において膝の不安定感に不自由する場合やスポーツ復帰を望まれる場合はもちろん、半月板や関節軟骨損傷の進行を防ぐためにも、自家腱(自分の体から採取した腱)移植による靭帯再建術が必要となります。移植材料としては、膝屈筋腱、骨付き膝蓋腱、大腿四頭筋腱などを用いることが多く、いずれも良好な成績が得られています。当科では以前から膝屈筋腱もしくは大腿四頭筋腱を用いての靭帯再建術を行っています。その再建方法も、損傷した前十字靭帯の状態や膝屈筋腱の太さ、スポーツ活動量などに応じ、患者さんに合わせた解剖学的靭帯再建術や靭帯補強術を行っています。

K1426

椎弓形成術は、ヘルニアや加齢によって生じた骨棘などにより、脊髄が圧迫されて起きる頚椎症性脊髄症や脊柱管狭窄症対してよく行われる手術です。頚椎に対しては、我々は1990年以降、片方の骨を繋げたまま片開き式にドアを開くように脊柱管を拡大する「片開き式」の椎弓形成術を行い良好な成績を収めています。この手術法は拡大した椎弓が構造的に強いだけでなく、同時に椎間板ヘルニアを摘出可能で、神経根の圧迫も取ることができる優れた方法です。手術時間は3時間以内、出血量はごく少量で済みます。腰椎の場合には、頚椎の場合と異なり腰椎では椎弓を形成する必要はなく、圧迫している後方の椎弓を切除するだけです。どちらも手術の2日後には歩いてもらうことが可能で、手術後2、3週間で退院出来ます。手術の効果ですが、脊髄は圧迫が解除されると少しずつ回復しますが、回復力にはかなりの個人差があります。いずれにしても脊髄は脳と同じで一旦障害が起こると回復力に乏しいため手術のタイミングを逃さないことが肝心です。

K066-21

関節滑膜炎は、関節を囲んでいる袋である「関節包」の内面を覆っている滑膜に炎症が生じた状態です。関節内に滑膜炎が生じると、関節に痛みが生じたり水がたまってきたりします。関節滑膜炎は肩、股、膝関節をはじめ、色々な関節に生じます。原因には軟骨がすり減ることや感染、関節リウマチをはじめ、いくつかのものがあります。関節滑膜切除術は、この痛みや腫れの原因となっている、炎症を起こした滑膜を取り除く手術のことです。関節鏡を用いて鏡視下に滑膜切除を行うことで、大きく皮膚や関節を切開することなく、体に負担をできるだけかけないようにして手術を行っています。

K068-2

膝関節の半月板損傷は、膝関節痛の主な原因であり、適切な治療が必要です。若年者の円板状半月やスポーツ外傷による半月板損傷、年齢とともに傷んでくる半月板損傷などに手術を行っています。関節鏡を用いて、修復できる場合は、半月板縫合術を行い、損傷程度が強い場合には、関節鏡手術で損傷部を部分的に切除します。膝前十字靭帯損傷の手術や、関節軟骨の修復術に合わせて行うこともあります。

形成外科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K628 リンパ管吻合術 54 1.00 5.81 1.85 65.70
K476-4 ゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術(乳房切除後) 35 1.00 5.89 0.00 50.09
K020 自家遊離複合組織移植術(顕微鏡下血管柄付きのもの) - - - - -
K0171 遊離皮弁術(顕微鏡下血管柄付きのもの・乳房再建術の場合) - - - - -
K0221 組織拡張器による再建手術(一連につき・乳房(再建手術)の場合) - - - - -

K476-4

ゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術(乳房切除後)は、人工物を用いた乳癌術後乳房再建術で、手術が可能な医師・施設が限られるため、この領域の手術が多くなっています。

脳神経外科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 78 5.21 21.62 17.95 50.29
K171-21 内視鏡下経鼻的腫瘍摘出術(下垂体腫瘍) 34 3.82 9.44 2.94 55.32
K1781 脳血管内手術(1箇所) 31 1.55 9.45 6.45 62.77
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 20 2.45 6.40 5.00 73.00
K6101 動脈吻合術、吻合術(頭蓋内動脈) 12 3.75 14.00 0.00 36.67

K1692

広島大学病院は、中国四国圏内のみならず、全国的にみても脳腫瘍の治療件数の多い施設です。脳実質から発生するグリオーマの手術、頭蓋底に発生する腫瘍の手術、トルコ鞍近傍に発生する腫瘍の手術など、多岐に渡ります。当院は「小児がん拠点病院」に指定されていますが、多いときには入院患者の1/3が小児脳腫瘍患者のこともあります。年間160-190件合計で行っています。最近は顕微鏡下のみならず、神経内視鏡も併用して行っています。また、情報統合型手術室(スマート治療室、SCOT)も設置され、より正確で安全な手術の実施にむけて稼働しています。

K1781

従来脳血管障害の外科的治療は、開頭して手術顕微鏡下に行われるものが殆どでした。しかし、1995年ごろより徐々に血管内からカテーテルを介して脳動脈瘤を内側から柔らかい白金製のコイルで詰める、動脈瘤コイル塞栓術が可能となり、当科でも徐々にその技術を高めてきました。また、関連する器具も日進月歩で新しい、より質のいいもの、安全性が高いもの、が出てきて、使用できるようになりました。当科では年間脳血管障害の手術を80-100件行っていますが、かなりの部分をこの血管内治療が占めています。

K609-2

生活様式や食生活の欧米化により、頚部内頚動脈の起始部の狭窄性病変が増えてきました。脳循環障害の原因となりうる場合、あるいはその部分に出来た動脈内膜の肥厚部分や潰瘍部分からの血栓が原因で脳梗塞や脳塞栓を起こす場合、従前から厚くなった動脈内膜ごと切除する方法(血栓内膜摘除術、CEA)が行われていましたが、最近血管内治療にてステントを留置する治療(頸動脈ステント留置術、CAS)もかなり行われるようになりました。当科では、独自の安全なCAS方法を生み出し、好成績で実施しています。年間40-50件治療しています。

K171-21

トルコ鞍近傍に発生する腫瘍でも、鼻の孔を介して(経鼻的に)神経内視鏡のもと、摘出できる腫瘍があります。実際この数年、この部の腫瘍の代表である下垂体腺腫は開頭しないで摘出術を行っています。また、頭蓋咽頭腫や鞍結節部髄膜腫なども、トルコ鞍底の骨の開窓部分を拡大して行う、拡大経蝶形骨洞法により、それらの一部は摘出できるようになりました。年間20-30件行っており、他施設からの見学者を受け入れています。

K6101

脳血管障害の中で、血液のめぐりが悪くなって発症した場合、何らかの血行再建(新たな血液が流れるルートを作成する)が必要になります。特に、脳の底の動脈が細くなりモヤモヤとした異常血管が発達して脳梗塞や脳出血をひきおこす「モヤモヤ病」に対して、血行再建術は主要な治療となります。非常に稀な疾患ですが、最近では発見率が上がり、発生頻度は100万人に7.5人と言われています。当科では年間15例前後そのような患者さんの治療を行って、広島地区の治療センターになっています。

【追記】脳神経外科では、難治性てんかんに対する外科治療を1999年から開始し、現在中国四国圏内では最多の手術件数となっています。脳磁図などの先進医療技術を用いて、てんかん焦点診断を正確に行い、手術を実施します。焦点の原因には海馬硬化、生まれつきの皮質形成異常や、脳腫瘍など 様々なものがありますので、てんかんに対する術式も多く、てんかん焦点切除術、頭蓋内電極設置術、迷走神経刺激装置埋め込み術などのてんかん手術を年間 40-50件行っています。2014年には病院内にてんかんセンターを開設し、2015年11月20日厚生労働省のてんかんの地域診療連携体制の整備事業に広島県が採択されたことに基づき、広島県知事から、広島県における「てんかん診療拠点機関」に本院が指定され、てんかんセンターが、県内てんかん診療の中心的役割を担っています。

呼吸器外科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(肺葉切除又は1肺葉を超えるもの) 61 2.23 8.82 1.64 68.82
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(部分切除) 58 2.16 6.17 1.72 68.09
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術(区域切除) 50 2.30 8.34 2.00 69.76
K5132 胸腔鏡下肺切除術(その他のもの) 13 2.38 5.85 0.00 58.08
K5131 胸腔鏡下肺切除術(肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの)) - - - - -

呼吸器外科では、すべての手術は胸腔鏡という内視鏡を用いてより小さな傷で、からだにやさしい手術を目指しています。肺がんの手術は、がんのできた袋(肺葉)を切除するのが標準治療ですが、早期の小型肺がんに対しては肺の切除範囲を小さくした部分切除、区域切除を行い、体の負担軽減を図っています。進行がんに対しては術前に抗がん剤や放射線治療を行い、腫瘍を小さくした上で切除手術することで根治率を高めています。

心臓血管外科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K5611 ステントグラフト内挿術(胸部大動脈) 31 3.81 10.13 19.35 71.55
K5612 ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 23 3.83 12.43 13.04 75.83
K5551 弁置換術(1弁のもの) 19 6.11 25.47 15.79 73.53
K617-4 下肢静脈瘤血管内焼灼術 18 1.33 1.17 0.00 73.28
K5603ニ 大動脈瘤切除術(吻合又は移植を含む・上行大動脈及び弓部大動脈の同時手術・その他のもの) 14 2.50 29.93 21.43 66.64

心臓血管外科では、治療法として、1)人工心肺を使用する疾患、2)人工心肺を使用しない疾患、の二つに大きく分けられます。人工心肺を使用するものの代表は、弁膜症手術と急性A型大動脈解離に対する手術です。人工心肺を使用しないものの代表は、ステントグラフト内挿術と、腹部以下の大動脈および末梢動脈手術、オフポンプ冠動脈バイパス術、下肢静脈瘤手術、透析用ブラッドアクセスの作成があります。いずれも症例数は県下有数であり、広島県のみならず中四国より患者さんをご紹介いただき、難易度の高い症例や、複数の合併疾患がある患者さんの手術を多く行っているのが特徴です。

以下に上位5つの手術術式に関する説明をします。

ステントグラフトとは、人工血管の内側に自己拡張する金網を貼り付けたもので、瘤化した大動脈の内挿することにより、大動脈瘤の治療を行うものです。近年では、解離性大動脈瘤や急性大動脈解離といった、大動脈の内膜に傷が入って穴が開いている場合に、その穴を閉じるために内挿することもあります。胸部、腹部ともに数は増加傾向です。単純なステントグラフト内挿術に加えて、デブランチと呼ばれる、頭や手、肝臓、消化管、腎臓に行く末梢動脈へのバイパス(迂回路)を先に作成しておいて、それらの動脈の根元が瘤化あるいは解離している病変も含めてステントグラフトを内挿する方法もありそれらを合わせると、胸部、腹部ともに年間50例、合わせて100例程度の治療を行っています。

弁置換術には、主に大動脈弁狭窄症に対する大動脈弁置換術と、僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁置換術が含まれます。いずれの疾患も高齢化による増加から近年は横ばいの症例数で推移しています。弁膜症は、これら以外に、大動脈弁狭窄症に対するカテーテル大動脈移植術(一部循環器内科に計上されるものあり)や、僧帽弁閉鎖不全症に対する僧帽弁形成術などがあり、むしろこちらの方が増加傾向です。

下肢静脈瘤に対する治療は、多くの症例で、従来のストリッピングと呼ばれる、切開して静脈瘤を引き抜く術式から、瘤化した静脈の中にカテーテルを通して、内側から焼灼することにより、血管の退縮と血栓化を促す治療法に変わってきています。焼灼する方法も何種類かのレーザーを用いる方法、ラジオ波を用いる方法がありますが、いずれの成績も良好かつ同等であり、患者さんの病態に合わせて、最も適した焼灼方法を選択して治療を行っています。

弓部大動脈の手術は、通常の大動脈瘤に対する術式としての弓部大動脈人工血管置換術と、急性大動脈解離に対する弓部置換術とが主なものです。同時に上行大動脈も病変が及んでいることが多いため、上行・弓部大動脈手術として行うことが多いです。近年は、前者はしばしば胸部ステントグラフトを併用する術式でも行われています。急性大動脈解離は、上行大動脈人工血管置換術が従来のスタンダードな術式でしたが、近年では成績が向上していることから、広島大学病院では、上行・弓部置換術を行うことにより、遠隔期の成績向上に努めています。

産科婦人科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K867 子宮頸部(腟部)切除術 62 1.05 1.89 0.00 42.85
K877 子宮全摘術 61 1.79 8.97 0.00 50.49
K879 子宮悪性腫瘍手術 58 2.43 11.97 0.00 56.50
K8881 子宮附属器腫瘍摘出術(両側・開腹によるもの) 40 1.93 8.50 0.00 43.68
K861 子宮内膜掻爬術 31 1.19 1.68 0.00 55.32

【産科】

•頸管無力症に対する予防的頸管縫縮術を行い、早産の予防をはかっています。

•通常の帝王切開、緊急帝王切開に加えて、麻酔科、手術室、小児科、NICUとの連携により超緊急帝王切開を迅速に行うことが可能です。

•弛緩出血や子宮型羊水塞栓などの産後大量出血に対して、放射線診断科(IVR部門)の協力により、緊急動脈塞栓術(UAE)を行うことも可能な施設です。

【婦人科】

•婦人科がんに対する集学的医療の一環として、適応症例には手術療法を行います。

•子宮頸癌に対しては、診断も含めた円錐切除術から広汎子宮全摘出術まである手術手技の中から、各症例の状況に応じて最も適切な治療法を選択して行います。

•子宮体がん、卵巣がんに対しても子宮頸癌と同様に、各症例に適した治療法を選択して実行します。

•良性疾患での腹腔鏡手術、子宮内腫瘤に対する経頸管的腫瘍切除(TCR)や過多月経に対するマイクロ波子宮内膜アブレーション(MEA)などの子宮鏡下手術などの低侵襲手術も積極的に行っています。

•良性疾患に対する子宮全摘出術として、腹式、腟式に加え腹腔鏡下の全摘出術も含め術式を選択して実行します。

•早期子宮体がんに対しても従来の腹式に加えて腹腔鏡下の根治術も含め術式を選択して実行します。

眼科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K2801 硝子体茎顕微鏡下離断術(網膜付着組織を含むもの) 529 0.83 4.97 0.38 62.39
K2821ロ 水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合・その他のもの) 422 1.00 2.05 0.00 72.84
K2683 緑内障手術(濾過手術) 380 1.10 5.15 0.00 72.10
K259 角膜移植術 111 1.06 4.28 0.90 68.09
K2802 硝子体茎顕微鏡下離断術(その他のもの) 87 0.95 3.52 0.00 55.37

1番目と5番目の「硝子体茎顕微鏡下離断術」とは、眼の奥にある網膜という部分の病気に対する手術のことです。網膜がはがれる網膜剥離や、網膜に膜が張る網膜前膜、穴が開く黄斑円孔などが代表的な病気です。

2番目の「水晶体再建術(眼内レンズを挿入する場合)」とはいわゆる白内障手術のことです。症例数は白内障単独手術のものが主にカウントされており、緑内障手術などと同時に手術しているものは除外されているので、実際の白内障手術件数はもっと多いです。

3番目の「緑内障手術(濾過手術)」は眼内の水を眼外に逃がすバイパスを作る手術です。緑内障は通常は点眼で治療しますが、点眼で進行を抑えられない方は手術が必要になります。

4番目の「角膜移植術」は角膜(黒目)が濁ったり不整になったときに角膜を移植する手術です。

耳鼻咽喉科・頭頸部外科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K3772 口蓋扁桃手術(摘出) 35 1.74 6.43 0.00 21.83
K319 鼓室形成手術 28 1.86 8.14 0.00 46.64
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術Ⅳ型(汎副鼻腔手術) 17 1.94 5.82 0.00 55.76
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) 15 1.33 2.13 0.00 62.73
K4631 甲状腺悪性腫瘍手術(切除) 15 1.93 6.60 0.00 51.13

耳鼻咽喉科・頭頸部外科では、耳、鼻、のどおよび、頸部の良性疾患から悪性疾患まで様々な手術に対応できる人材、システムを構築しており、さらに最先端の器機の使用や技術の向上に日々励んでいます。

Kコードでの上位4位までの手術は良性疾患ですが、悪性腫瘍に対する再建手術を必要とする拡大手術や機能温存手術も多数行っており、悪性腫瘍に対する手術は平成29年では162件でした。鼻副鼻腔手術も拡大副鼻腔手術まで行っており、内視鏡下鼻内鼻副鼻腔手術は84件でした。また、全身麻酔下で行う人工内耳埋込術、鼓室形成術などの耳科手術は64件でした。救急疾患も多く、外傷に対する手術は21件、異物摘出術は132件および、頸部膿瘍などの急性感染症手術は22件となっています。

皮膚科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K0072 皮膚悪性腫瘍切除術(単純切除) 56 0.61 6.73 7.14 72.30
K0022 デブリードマン(100c㎡以上3,000c㎡未満) 14 5.14 24.86 35.71 59.36
K0051 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部・長径2cm未満) 10 0.00 2.30 0.00 61.30
K0064 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外・長径12cm以上) - - - - -
K0301 四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術(肩、上腕、前腕、大腿、下腿、躯幹) - - - - -

皮膚科では、皮膚悪性腫瘍の入院が多いのに伴い、皮膚悪性腫瘍の手術も多く行っています。局所麻酔の方には、火曜日午後に手術を行っています。全身麻酔の方には、火曜日もしくは水曜日に入院の上、翌日手術を行っています。術後は約1週間で退院となっています。

デブリードマンとは、傷んだ(壊死した)皮膚を除去する手術のことです。皮膚悪性腫瘍や皮膚腫瘍の切除後に生じた皮膚欠損創や、やけどなどの皮膚が傷んでいる疾患に対して行われます。

皮膚、皮下腫瘍摘出術とは、皮膚良性腫瘍に対する手術で、手術の多くは局所麻酔で日帰り、もしくは1泊2日の入院で行っています。

四肢・躯幹軟部腫瘍摘出術とは、多くは脂肪腫に対する手術です。5cm未満のものは局所麻酔で、それ以上のものは全身麻酔で行っています。

泌尿器科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 103 2.09 9.94 0.00 68.85
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術(経尿道的手術・電解質溶液利用のもの) 87 2.18 5.32 0.00 70.72
K773-5 腹腔鏡下腎悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 27 2.26 8.56 0.00 62.22
K754-2 腹腔鏡下副腎摘出術 26 2.19 7.04 0.00 49.92
K773-2 腹腔鏡下腎(尿管)悪性腫瘍手術 25 2.48 10.36 0.00 68.92

泌尿器科では、泌尿器がんに対する新しい治療法の開発と導入に力を入れています。その1つは腹腔鏡手術です。1991年から泌尿器領域の腹腔鏡手術に取り組んでおり、その件数は1,453件となりました。現在まで、多くの患者さんにその低侵襲性が受け入れられています。

これまで培われた高い技術レベルと実績をもとに、難易度の高い腎細胞がんに対する腎部分切除術や前立腺がんの腹腔鏡手術を独自に完成させるとともに、より高度な世界最先端技術である手術ロボット「ダ・ヴィンチ」を用いた手術へと発展させています。2010年に中国四国地方で初めて手術ロボットを導入し、現在、年間ロボット手術件数は全国で第4位にランクされています。

泌尿器科において手術件数の上位に上がるのが、前立腺がんに対するロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘除術、膀胱がんに対する経尿道的膀胱腫瘍切除術、副腎腫瘍に対する腹腔鏡下副腎摘除術、腎がんに対する腹腔鏡下腎摘除術および腎盂尿管がんに対する腹腔鏡下腎尿管全摘除術でした。

平均入院期間は1、2週間程度といずれも短期間の入院でした。悪性腫瘍においては平均年齢が70歳前後であるなど、多くは高齢者に対して手術を施行しています。なお、入院の標準化および最適化を目的として、クリニカルパスを手術症例に対して用いています。

循環器内科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術(心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの) 240 1.67 1.64 0.00 65.31
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術(その他のもの) 83 2.29 2.20 1.20 69.88
K5952 経皮的カテーテル心筋焼灼術(その他のもの) 76 1.68 1.91 2.63 55.41
K5972 ペースメーカー移植術(経静脈電極の場合) 33 2.61 9.61 6.06 77.27
K555-22 経カテーテル大動脈弁置換術(経皮的大動脈弁置換術) 23 8.17 10.17 8.70 84.43

経皮的カテーテル心筋焼灼術(カテーテルアブレーション)については、平成30年度は心房細動が最もアブレーション数が多い不整脈でした。カテ先の心筋へのコンタクトや焼灼される心筋の厚さをリアルタイムにモニター可能な高周波イリゲーション(カテ先から水を出しながら焼灼)カテーテルなど最新デバイスの使用により治療成績が向上しています。高周波バルーンによるホットバルーンアブレーションや液体窒素によるクライオバルーンなどバルーン治療も行っています。発作性上室性頻拍に関しては子供からお年寄りまで幅広く治療を行っています。その他、最新鋭の3Dマッピング機器を用いての心房頻拍や心室頻拍など難しい不整脈の治療も行っています。特に心室頻拍、心室細動など致死的不整脈については特化した施設で、他施設での治療困難例などの紹介を受け治療も行っています。徐脈性不整脈については洞不全症候群と房室ブロックや洞不全症候群が主な病気です。近年、MRI対応のペースメーカーが普及し、患者さんの制限も随分軽くなっています。

現在主に行われる冠動脈カテーテル治療は、冠動脈狭窄を拡張しその後ステントを留置するステント留置術です。なかでも、再狭窄をひき起こす内膜増殖をおさえるための薬剤が塗付してある薬剤溶出性ステントが多くの症例で使用されており、再狭窄率は10%未満となっています。非常に石灰化の強い病変では血管そのものの拡張が得られないため、ロータブレーターという血管内腔をけずる治療を行います。ステント内に再狭窄を起こした場合には、エキシマレーザーや薬剤塗付バルーンを用いた治療を行い、良好な成績が得られています。血管内超音波や血管内視鏡などの画像診断のほか、冠血流予備能(FFR)測定により病態にもせまり、安全かつ最大限の治療効果が得られるよう心がけています。動脈硬化の原因となったリスクの軽減や心臓リハビリなど包括的治療が重要な病気ですので、積極的に導入しています。

経カテーテル大動脈弁留置術(TAVI) については、ハートチーム多職種カンファレンスにて、TAVIの適応および治療戦略を厳密に検討しています。結果、院内死亡ゼロを継続しています。術前からリハビリを開始し、ほとんどの患者さんが、短期間で元の生活に戻っておられます。このように患者ファーストの治療が実践できています。

腎臓内科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K610-3 内シャント又は外シャント設置術 29 8.79 17.24 0.00 66.62
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) 12 10.42 20.25 8.33 73.42
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 - - - - -

末期腎不全の患者が行う血液透析の治療を受けるためには1分間に200-300 mlの血液を透析器に送り込む必要があります。これだけの血液量を確保するためには血液流量の多い太い血管が必要となります。そこで、手首近くの動脈と静脈を手術でつなぎ合わせることによって血管を太くします。これが内シャント設置術です。

腕の静脈が細いために内シャント設置術を行うことできない方もおられます。そのような場合には人工血管を用いて血管をつなぐ、血管移植術を行います。

また、自宅で透析治療を行うことができる腹膜透析のために、腹膜透析カテーテルを腹部に埋め込む手術も行っています。

血液内科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取・自家移植の場合) 12 15.17 3.25 0.00 59.83
K9221イ 造血幹細胞移植(骨髄移植・同種移植の場合) - - - - -
K9223 造血幹細胞移植(臍帯血移植) - - - - -

造血幹細胞移植には、患者さん自身の造血幹細胞をあらかじめ採取・凍結保存しておき、必要な時に移植を行う「自家移植」と、他人(ドナー)から採取した骨髄・末梢血・さい帯血を移植する「同種移植」の2つの方法があります。これらは疾患の特性に応じて使い分けられており、前者は主にリンパ腫や骨髄腫、後者は主に急性白血病や骨髄異形成症候群に加え、一部のリンパ腫と再生不良性貧血を対象に選択されることが一般的です。

当院では過去5年間(2013年~2017年)に約150件の造血幹細胞移植を実施しています。K9212は自家移植を行うために、末梢血から体外循環を用いて造血幹細胞を採取した患者さんの数を表しています。なお、K9212, K9221, K9223はDPCの対象外となっています。

麻酔科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K196-2 胸腔鏡下交感神経節切除術(両側) 13 0.00 2.23 0.00 21.85

麻酔科の外来(ペインクリニック外来)で行う診療のうち、入院治療が必要な方があります。なかでも多汗症で手術を希望される方は、3日程度の入院期間が必要な入院治療をしています。その他、難治性の疾患で処置に時間のかかる病気の方も対象となります。

消化器・代謝内科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 580 0.27 1.20 0.17 65.54
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 199 2.22 9.94 2.01 72.89
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍粘膜下層剥離術) 177 0.98 5.41 1.69 71.46
K6153 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(その他のもの) 171 2.44 9.56 3.51 71.58
K721-4 早期悪性腫瘍大腸粘膜下層剥離術 167 2.19 6.60 0.00 68.29

肝癌に対する肝動脈化学塞栓術(TACE)やラジオ波焼灼療法(RFA)、食道静脈瘤に対する内視鏡的静脈瘤硬化療法(EIS)や内視鏡的静脈瘤結紮術(EVL)、胃静脈瘤やシャント脳症に対するバルーン下逆行性経静脈的塞栓術(BRTO)など肝疾患に対するさまざまな専門的治療を行っています。

胆道疾患では、閉塞性黄疸に対する内視鏡的および経皮経肝胆道ドレナージ術やステント留置術、総胆管結石に対する内視鏡的治療など、膵臓疾患では超音波内視鏡下穿刺吸引法(EUS-FNA)やEUS下膵のう胞ドレナージなどを積極的に行い、さまざまな疾患に対して早期診断や内科的治療を行っています。消化管疾患では、早期の食道癌、胃癌、小腸/大腸癌に対して最新の機器による高度な精査を行い、大きな腫瘍でも適応のあるものは外科手術することなく、内視鏡的切除によって根治的治療を行っています。特に内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)は、国内外でも有数の診療実績です。

消化器外科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 65 4.60 11.54 3.08 67.77
K7032 膵頭部腫瘍切除術(リンパ節・神経叢郭清等を伴う腫瘍切除の場合又は十二指腸温存膵頭切除術の場合) 44 6.73 24.32 0.00 66.86
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 40 2.33 5.20 0.00 62.98
K6952 肝切除術(亜区域切除) 35 2.80 12.49 5.71 67.91
K740-22 腹腔鏡下直腸切除・切断術(低位前方切除術) 35 4.66 14.09 17.14 62.89

<根治性と低侵襲の追求>

 (根治性)病態や病状を正確に把握して、可能な限り低侵襲で、可能な限り根治性を求めた外科治療を提供します。化学療法や放射線療法と併用することにより、手術適応も拡がっています。

 (低侵襲性)臓器の保護・温存や、安全で迅速な手術を行うことも含めて低侵襲な手術に取り組み、手術による不利益を最小限にとどめることを目指しています。内視鏡手術を積極的に推進し、多くの日本内視鏡外科学会技術認定取得者を養成しています。

(年間手術件数の主な内訳:2017年)

•食道切除:33例(対象:食道癌など)

•胃切除:102例(対象:胃癌、胃粘膜下腫瘍、肥満減量手術など)

•大腸切除:193例(対象:結腸癌、直腸癌、潰瘍性大腸炎など)

•肝切除:155例(対象:原発性肝癌、転移性肝癌など)

•胆道癌手術:18例(対象:肝門部胆管癌、遠位胆管癌、胆嚢癌など)

•膵切除:112例(対象:膵癌、膵管内乳頭粘液性腫瘍など)

移植外科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 20 5.45 6.40 10.00 62.55
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 - - - - -
K682-3 内視鏡的経鼻胆管ドレナージ術(ENBD) - - - - -
K6072 血管結紮術(その他のもの) - - - - -
K6331 ヘルニア手術(腹壁瘢痕ヘルニア) - - - - -

(年間手術件数の内訳:2017年)

 肝臓移植8例(うち脳死提供下肝臓移植2例)

 腎臓移植16例(うち脳死提供下腎臓移植1例)

 膵臓移植0例

•肝臓移植:2017年12月までに計258例(うち脳死提供下肝臓移植19例)、2017年は8例(うち脳死提供下肝臓移植2例)の肝臓移植を行いました。

•腎臓移植:2017年12月までに計334例(うち脳死提供下肝腎同時移植1例)、2017年は16例(うち脳死提供下腎臓移植1例)の腎臓移植を行いました。

•膵臓移植:2017年12月までに計9例(うち脳死提供下膵腎同時移植8例)の膵臓移植を行いました。

乳腺外科

Kコード 術式名称 患者数 平均

術前日数
平均

術後日数
転院率 平均年齢
K4762 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術・腋窩部郭清を伴わないもの) 118 0.99 3.12 0.85 56.81
K4763 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術・腋窩部郭清を伴わないもの) 82 1.29 6.70 0.00 60.70
K4765 乳腺悪性腫瘍手術(乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの) 36 1.11 7.25 2.78 57.06
K4768 乳腺悪性腫瘍手術(乳頭乳輪温存乳房切除術・腋窩部郭清を伴わないもの) 18 1.00 8.06 0.00 51.50
K4764 乳腺悪性腫瘍手術(乳房部分切除術・腋窩部郭清を伴うもの(内視鏡下によるものを含む。)) 10 1.00 5.90 0.00 52.80

•乳がんを確実に切除すること(根治性)は当然ですが、根治性を保ちつつ整容性(美しさ)も重視した手術を積極的に行っています。整容性を高める工夫として「内視鏡補助下手術」を積極的に行っています。内視鏡を使用することにより、傷が目立ちにくい乳輪周りや腋窩(わき)の小さな傷で、乳がんを確実に切除することが可能です。

•乳房全摘が必要な場合、患者さんの希望に応じて、乳房再建を積極的に行っています。整容性を考慮し、皮膚の温存や、乳頭乳輪を温存し手術を行うことも可能です。また乳房外側の目立ちにくい傷で手術ができることがあります。

•遺伝性乳がん卵巣がん症候群の方には、リスク低減手術(予防的手術)を行う体制を整えています(自由診療)。

病気の状態によっては、再建手術や内視鏡手術が適応にならない場合があることをご了承ください。

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その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)

 感染症と手術・術後の合併症について集計し、症例数、全退院患者数に対する発生率を示しています。

DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる - -
180010 敗血症 同一 33 0.19
異なる 26 0.15
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 115 0.68
異なる 13 0.08

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更新履歴

2018/09/28
DPCデータに基づく病院指標(平成29年度)公開


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