広島大学病院の主な取り組み

広島大学病院に救急救命士5人 高規格病院救急車も配備

 広島大学病院は2025年度、初めて救急救命士5人を採用しました。救急診療チームの一員として、救急患者さんの初期対応のほか、消防との情報共有、医師や看護師のサポート、他の病院との連携にも取り組みます。救急患者さんに対して、医師の指示により、機材を使った処置や薬剤投与などの救命措置を行います。

 消防署の救急隊などから救急患者さんの一報が届いたら、患者さんの状態を聞き取り、病院到着後にいち早く診療を始められるよう、医師や看護師に連絡します。病床が足りないケースでは、受け入れが可能な近隣の協力病院との調整役も担います。

 2026年には、重症患者搬送に特化した高規格病院救急車が配備されました。心肺補助装置(ECMO)や人工呼吸器を装着した重症患者を安全に搬送できる装備と、遠隔医療機能を併せ持つ“走る集中治療室”とも言える車で、日本初の取り組みです。文部科学省の高度医療人材養成事業の採択を受けて実現しました。

 5G通信を活用し、搬送中に依頼元の病院と救急車内、広島大学病院の間で、リアルタイムの情報共有が可能です。主に救急救命士が運転し、出動エリアは広島県全域を想定。従来の「患者を待つ医療」から「現場へ向かう医療」の役割も担います。地域の医療機関のスタッフや臨床実習中の学生に対する教育にも活用し、災害時には治療と搬送も担います。

学長開発の自家培養軟骨移植治療が「変形性膝関節症」にも保険適用 根治の可能性開く

 広島大学の越智光夫学長が開発・技術移転した「自家培養軟骨移植治療」が、2026年1月に「変形性膝関節症」へ保険適用を受けました。本治療は、国内に1,000万人いるとされる変形性膝関節症患者の医療費負担を軽減するとともに、根治の可能性を開く新たな治療法として期待されます。

 保険適用を受けたのは、株式会社ジャパン・ティッシュエンジニアリング(J-TEC、愛知県蒲郡市、山田一登社長)が製造販売する医療製品、自家培養軟骨「ジャック」です。患者さんご自身の正常な膝軟骨細胞を採取し培養したゲル状の培養軟骨で、欠損部位に移植し再生を促します。高額療養費制度の適用により、自己負担額は月額約6万~25万円程度に抑えられます。

 越智学長は、1996年に自家培養軟骨の技術を開発。2012年に「外傷性軟骨欠損症」と「離断性骨軟骨炎」で、国内初の製造販売承認を受け、2013年に保険適用を受けました。これまで約2,000人の患者さんが治療を受けています。

 広島大学大学院医系科学研究科の安達伸生教授が2019年から始めた臨床試験で、膝機能の大幅な改善が確認されるとともに、有害事象が認められないなど有効性と安全性が評価され、保険適用が広がりました。

世界初、小児がん患児専用治療支援VRソフト「はたらく細胞VR」完成

 広島大学病院が3年以上かけて開発を進めてきた、小児がん患児の治療への意欲を高める世界初の治療支援VR(仮想現実)ソフト「はたらく細胞VR」が2026年3月に完成しました。

 「はたらく細胞VR」では、プレイする子どもたちが自分の身体の中に入り込み、おなじみのアニメキャラとともに身体の仕組みを学びながら、白血球とともに細菌やがん細胞と闘うなど、物語の主人公となって疑似体験します。強いがん細胞に苦戦するも、抗がん剤の助けを借り、ついに強敵を打ち倒す。がん細胞と闘うバトルや、細胞の働きを出題するクイズもあります。アニメにも出演している7人の声優さんたちの熱演で、臨場感あふれる仕上がりです。子どもたちが、自分の身体の中で目には見えない「味方=細胞たち」が必死に頑張っていることを感じ、治療への前向きな気持ちや身体への理解、「ひとりじゃない」という安心感を育めるようにしました。

 講談社(東京)の協力を得て、公募で選んだVR制作会社ビーライズ(広島市)が制作しました。寄付金は132件総額1,510万9,000円をお寄せいただき、別途助成金等を合わせて開発に取り組みました。ソフトは日本全国の小児がん治療病院に利用を広げていく考えです。

©清水茜/講談社・アニプレックス・davidproduction

広島大学は広島県と「高度医療・人材育成拠点の整備に関する協定」を締結しました

 広島県がJR広島駅北側に2030年度の開院を予定している高度医療・人材育成拠点(新病院)の整備に向け、広島大学は2025年7月、広島県と協定を締結しました。地域の医療提供体制の維持・発展と医療水準の向上が目的です。広島大学は、世界トップ水準の医療構築を目指し、広島県唯一の医育機関としての役割をしっかりと果たしてまいります。

 広島大学と広島県が協働して取り組む事項として、(1)地域のニーズに即した最高水準の医療を提供(2)質の高い医療人材の育成のための環境の整備(3)高い水準の医療を提供するための臨床研究の充実(4)地域のニーズに即した医療提供体制の維持・確保-の四つを掲げています。

 本学霞キャンパスでは2026年度に、平時はバイオ医薬品、パンデミックなど緊急時にはワクチンを製造する「ワクチン・医薬品製造拠点」が稼働し、2027年1月には放射線影響研究所が移転する予定です。広島大学は新病院とともに、広島の地から世界の医療の発展に貢献してまいりたいと考えております。

協定書を囲む、右から安達伸生・広島大学病院長、越智光夫学長、
湯﨑英彦知事(当時)、北原加奈子・広島県健康福祉局長


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