English website is here .

研究者への軌跡

僕らが日々踏みしめているものとは

氏名:片山 郁夫

専攻:地球惑星システム学専攻

職階:教授

専門分野:レオロジーと地球科学

略歴:1975年生まれ。東京工業大学地球惑星科学卒業。同大学院博士課程修了。理学博士。学位取得後、米国エール大学で3年間学遊。帰国後、東京大学大学院新領域創成科学で研究員をした後、広島大学地球惑星システム学専攻助手に赴任。座右の銘は「急がば回れ」。

 

僕らが日々踏みしめているものとは何でしょう。それは校舎の床であったり道路のアスファルトだったりする訳で、みんなあまり気にも留めていないかもしれません。では、その下に何があるかと言うとそれは小さな頃、公園の砂場で掘ったら出てきた赤土であったりする訳ですが、さらにその下に何が隠れているかと言うと、それは岩石である訳です。そしてこの岩石は地球の中心まで約6400km続いて(途中、外核という溶けている部分もありますが)、ぐるっと回って反対側のブラジルまで約12800km延々と岩石でできています。そういうものの上で私たちは生活している訳ですから、この岩石というのは私たちが生きていく中でとても重要な役割を担っています。例えば、地震はこの岩石に歪みが蓄積されそれを解放するために起こりますし、火山も地球の内部の熱エネルギーを発散するためにこの岩石が融解して起こります。また、地球上の起伏はこの岩石の種類(成因)によります。例えば、ヒマラヤやアルプスのような山脈は岩石の衝突により数千万年前にできましたし、富士山やハワイ島などはここ数千年の何回かにわたる火山活動によって形成されたわけです。また、地球上の初期生命(約40億年前と言われています)はこれら岩石中の化学成分を栄養にして発生したとも考えられています。私たちはそのような地球を構成する本質的なものを研究している訳でまったく興味が絶えることはありません。
 

私が地球科学に興味を持ったのも、小さな頃に山登りやキャンプをする中で自然とそのような岩石に接していた点が大いにありますし、また阪神大震災などの災害を目の当たりにし自然の驚異を知らされた点もあります。私はそのような環境の中でたまたま地球科学という分野を選択した訳ですが、何に興味を持つかは十人十色です。私がここで言えるのは、何にでも興味を持ったらとことん追いかけてみる。それはどんな些細なことでも構わないのです。できるかどうかではなくて、何がしたいかなのです。周りの目を気にせず、がむしゃらに自分の目的に突き進んでみる。そうしたら、ぱっと道が開けてくるかもしれません。


up