アレルギー性結膜炎(眼科)

アレルギー性結膜疾患

アレルギー性結膜疾患とは「Ⅰ型アレルギーが関与する結膜の炎症性疾患で、何らかの自他覚症状を伴うもの」です。所見や患者さんの背景などによって、(1)アレルギー性結膜炎(季節性・通年性)、(2)アトピー性角結膜炎、(3)春季カタル、(4)巨大乳頭結膜炎の4種類に分類されます。

原因

アレルギーの原因で多いものはダニ・ハウスダスト・カビ・花粉(スギ・ヒノキなど)です。
 

症状

症状として代表的なのはかゆみですが、他にも充血・眼の異物感・めやに・涙目などの症状がでることもあります。

検査と診断

診断は眼科での診察や様々な検査によってなされます。

アレルギー反応が起こっていることを証明するための全身検査としては採血(IgEという抗体を検出できればアレルギー反応の証明になります)や診断用アレルゲンエキスを用いた皮膚テストがあります。また、眼局所でのⅠ型アレルギー反応の証明として、結膜をこすって採取した組織を特殊な染色法で染色して顕微鏡で観察することで「好酸球」というアレルギー反応に関与する細胞成分を検出するという方法もあります。

眼科の診察でアレルギー性結膜疾患の患者さんの結膜をみてみると、充血や濾胞(小さなブツブツで、リンパ組織が炎症のために腫れたもの)などの所見がみられます。充血はいわゆる「しろめ」といわれる眼球結膜にはなくても、まぶたをひっくり返した裏側(眼瞼結膜)にはあることも多く、濾胞もこの眼瞼結膜にでてきます。

アレルギー性結膜疾患のなかでも重症に分類される春季カタルやアトピー性角結膜炎では、眼瞼結膜に乳頭増殖(図1:上まぶたをひっくり返して裏側をみている)という所見がみられることもあります。これらの疾患ではアレルギー性結膜炎(季節性・通年性)よりも多くの好酸球がでており、その好酸球から放出される細胞障害性タンパク質が角膜にも傷を作ることがあります(図2:シールド潰瘍と呼ばれる角膜の傷)。

角膜に傷がつくと痛みがでたり視力が低下したりすることもありますし、傷が長期間続くと角膜に白い濁りが残って、一生見え方に影響がでてしまう場合もあります。

治療

基本は点眼治療です。アレルギー性結膜炎の場合は基本は抗アレルギー点眼薬を使い、それでも症状がおさまらない花粉飛散ピーク時にはステロイド点眼薬を追加しますが、ステロイド点眼薬には眼圧上昇などの副作用があるため、使用中は眼科で定期診察をうける必要があります。アトピー性角結膜炎と春季カタルはアレルギー性結膜炎よりも重症であり、抗アレルギー点眼薬に加えて免疫抑制剤の点眼薬を併用しますが、それでもコントロールできない場合はステロイド点眼薬も追加で使用します。免疫抑制剤には眼圧上昇の副作用はありませんが、使用中に角膜感染症を起こすことがあるため、こちらも使用中は眼科での定期診察が必要です。

 

図1:上まぶたをひっくり返して裏側をみている

図1:上まぶたをひっくり返して裏側をみている

図2:シールド潰瘍と呼ばれる角膜の傷

図2:シールド潰瘍と呼ばれる角膜の傷


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