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研究者への軌跡

自分の一途な志を忘れずに

氏名:江幡 孝之

専攻:化学専攻

職階:教授

専門分野:分子クラスター科学

略歴:1954年 高岡市生まれ。富山県立高岡高校、東京工業大学理学部卒、同大学大学院理工学研究科博士課程修了。東北大学理学部助手、同大学大学院理学研究科助教授を経、現在広島大学大学院理学研究科化学専攻教授。平成8年:高岡賞受賞。平成10年:科学計測振興会賞受賞。大学時代にテニスをはじめ、テニス歴34年です。

 

中学校のときに「物質の世界」というタイムライフ社の自然科学の本を読み、素粒子を研究する物理学者にあこがれました。現在、専攻は化学ですが、やっていることはかなり物理よりです。科学者になれるとは思いませんでしたが、一途に科学が好きだと思い続けた結果かもしれません。

私はレーザー分子分光という分野で研究をしています。分子や原子にレーザー光を照射すると、いろいろな応答(発光、散乱、イオン化)が観測できます。レー ザー分子分光は、レーザー光を照射による原子分子の応答を解析し、構造や化学反応を研究する分野です。化学でありながら物理に非常に近い基礎科学分野の一 つです。中でも現在最も力を入れているのが、水素結合などの分子間力で結びついた分子集合体の研究です。この分子集合体は分子クラスターと呼ばれ、超音速 分子線という特殊な装置で作られますが、得られる結果は、我々の身の回りの液体や生体分子の水素結合構造の理解に重要な基礎的概念を与えてくれます。最 近、我々のアミノ酸の水和の研究がPhysical Chemistry and Chemical Physics というヨーロッパの科学雑誌の表紙に掲載されました。

研究をやっているといろんなことが出てきます。自分の予想したとおりの結果が出る場合、また逆に全く予想しなかった場合など。実は、予想しなかった場合の方が新しいものを生み出すことが多いのです。いろいろな失敗の中から、自分の直感力を生かして、新しい現象を発見したとき、問題を理解したときの興奮や喜びは今でも忘れません。またそれが、新しい研究を進める原動力にもなっています。皆さん、失敗することを恐れないでください。古人が言うように、失敗はやはり成功のもとです。
毎日の学生との談笑や議論、また海外の研究者との議論は、脳を活性化させてくれます。いつまでも、心身共に若く研究を続けていきたいと思います。


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