第9回 国際協力研究科 教育文化専攻 M2 久松 祥子さん

写真 久松さん

取材実施日:2015年1月23日
第9回の研究留学コーナーは、国際協力研究科教育文化専攻博士課程前期(M)2年の久松 祥子(ひさまつ しょうこ)さんです。久松さんは、昨年度より開始した官民協働海外留学制度「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」を利用し、バングラデシュへ留学されました。
※2014年8月12日に久松祥子さんにインタビューをしました。
前回の記事については、研究留学コーナー第6回インタビューをご覧ください
今回は、2015年1月23日に広島大学学生プラザで開催されていた「官民協働海外留学支援制度~トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム~」の説明会に参加していただいた久松祥子さんに、留学時の様子やトビタテプログラムについて伺ってきました。
※「トビタテ!留学JAPAN 日本代表プログラム」について詳細はこちら

久松さんの研究留学について

〔 留 学 先 〕 バングラデシュ ジャハンギルノゴル大学 (Jahangirnagar   University)、障害者支援NGOのCDD(Centre for Disability in Development:開発における障害センター)及びAKK(Amra Kaj Kory:私たちは働く)
〔留学期間〕 2014年8月~2014月11月(M2時)
〔留学経緯〕 指導教員の紹介や以前の留学経験など
〔 支 援 〕 渡航費、宿泊費、生活費などを含む全費用
〔留学費用〕 渡航費約8万円、宿泊費約3万円、生活費約1万円

広島大学での唯一のトビタテプログラムの第一期生として、トビタテプログラムに受かったのは?

私の研究テーマは、バングラデシュにおける障害者支援の現状と課題です。トビタテプログラムは、企業が支援を行っているので、恐らく自分の研究テーマと企業の関心が合致したからではないかと思います。現在、バングラデシュでは、イスラム教徒が人口の8割以上を占めています。イスラム教徒は、食べ物や宗教など、いろいろな文化の違いがありますので、企業側も、外国人労働者を受け入れる時に悩みを抱えています。また、障害者支援についても、企業が力を入れている点ですので、私の研究が役に立つのではないかと思います。テーマ以外に、他の第一期生のメンバーを見てすごく感じたのは、留学に行きたいという気持ちが非常に強いということです。行きたい場所、そしてやりたいことが明確な人ばかりでした。

4つあるコースのうち、どのコースを選ぶか迷いましたか?

まず、4つのコースがあること自体に驚きました。なぜかというと、普通の留学制度は、行き先や目的が既に決められていて、その条件を満たす人だけに、奨学金を支給します。しかしながら、トビタテプログラムは、どの国に行っても、語学研修、インターンシップ、フィールドワークなど、様々な目的が採用されるので、すごく魅力的だと思います。私の場合は、留学先がバングラデシュで、留学の目的がフィールドワークであったため、新興国コースを選びました。
(注:4つのコース:1.自然科学系、複合・融合系人材コース;2.新興国コース;3.世界トップレベル大学等コース;4.多様人材コース)

留学を経ての収穫は?また今後どのようにこれを生かしていこうと考えているのでしょうか?

バングラデシュへ行くのは4回目です。その前に、2013年度は1年休学して10ヶ月間留学していました。しかし、今回の3ヶ月を通して、やはりバングラデシュにおける障害者支援について、より深く知ることができました。
いろいろな視点で障害者支援を見ることもできたし、多くの人と出会いもありました。また、調査の内容も深まり、自分の人生経験にもつがなったと思います。近い将来は、修士論文を書く上で活かしていき、またもう少し先の話になりますが、私は大阪の障害者支援をしているNPOで就職をする予定なので、仕事をしていく上で、この経験は役立つのではないかと思います。
また、バングラデシュでの障害者支援をやりたいという気持ちもより明確になりました。支援を行って行く上で、今後のプランや、いろいろなヒントを得ることができたと思います。

写真 バングラデシュの教室

企業から、インターンシップや就職などのお話がありましたか?

トビタテに受かる前の面接で、「修士課程が終わったらどうしますか?」と聞かれた時、「大阪の障害者支援のNPO法人での就職がすでに決まっています」と答えました。
トビタテプログラムの留学以外の趣旨としては、企業からの就職支援がありますが、私は進路がすでに決まっていたため、企業からのお話は特にありませんでした。

第一期生のメンバーとの交流について

二次審査では、グループディスカッションと面接がありました。面接に受かった人が決まった後、壮行会が行われました。壮行会は、第一部、第二部、第三部に分かれており、各部でグループが変わり、様々な人と交流ができました。コース別の懇親会で、バングラデシュに行く人を探してみたら、2人もいました。私を含めて第一期生300人の中で、バングラデシュに行った人は3人で、その中の1人とは、現地で会いました。
また、留学に行く前に、東京で事前研修が行われ、二泊三日の研修と一日研修があり、私は二泊三日の研修に参加しました。一番しんどかったのは、二日目の夜にいきなり、「明日の朝に留学のプランを発表するので、スライドを作ってください」と言われ、みんな徹夜で作って大変でしたが、だからこそみんな仲良くなれました。三日間で、本当にいろいろな人と話すことができて、今も一期生の人とFacebookで連絡を取っています。みんなは本当にやる気があり、帰ってきた第一期生の報告会を全国やそれぞれの地域ごとで開こうという話をし、トビタテの運営側の方だけではなく、一期生の学生がメインになって話が動いていて、メンバー同士とのやりとりが頻繁に行われています。これからも3月に東京で、去年12月までに帰ってきた人を対象にした3日間の事後研修があります。

事前研究(二泊三日)の詳細について

①自分の留学プランのブラッシュアップ。
②海外の人に日本を伝えるトレーニング:トビタテのコンセプトとして、日本のことを世界の人に知ってもらうということがあります。外国語で日本のことをどううまく伝えるのか、外国人とどう接するのが望まれるのか等も含まれます。
③留学計画改善セッション:グループワークで、それぞれの留学プランをみんなで発表しあって、「もっとこうした方がいいじゃないか」というディスカッションが行われました。
④グローバルに活躍する方々によるパネルディスカッション:女性指揮者の西本智実さんをはじめ、世界で活躍している日本人の方々の講演会がありました。日本人が世界で活躍するにはどういう人材が必要で、そのために私たちはどうしていくのが望ましいのかについて、いろいろ勉強になりました。

写真 現地の人と

どうやってプランを作るのかについて困っている人もたくさんいますが、留学プランの作成について何かアドバイスをお願いできますか?

私の場合は、先ほど述べたようにテーマが既に決まっていましたが、私と同じくバングラデシュに行った2人の場合は、
Aさん:ちょうど知り合いから現地のNGOのインターンシップの紹介がありました。プランとしては、現地の大学で3ヶ月の語学研修と3ヶ月のインターンシップからなっています。
Bさん:自分でNGOを運営していました。NGOをもっと良くしていくため、どうすべきかを模索しており、トビタテプログラムを利用して、国連開発計画(UNDP)のインターンシップに参加しました。
目的によって、受け入れ先も変わりますが、受け入れ先を見つけるためには、何かしらの方法があるはずです。そこで諦めてほしくないです。

※官民協働海外留学支援制度 ~トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム~
第3期募集開始(平成27年3月26日(木)まで)
https://momiji.hiroshima-u.ac.jp/momiji-top/learning/-japan.html
※2014年度 第一期生の留学計画がホームページに紹介されていますのでご参考ください。https://tobitate.jasso.go.jp/planning/

取材者:葉 夢珂(教育学研究科 言語文化教育学専攻 日本語教育学専修 博士課程前期2年)


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