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【開催報告】ひろしまバイオデザインpresents 第17回医工連携セミナーを開催しました!

2026年7月28日、広島大学霞キャンパス凌雲棟にて、ひろしまバイオデザインPresents第17回医工連携セミナー「なぜ、現場に届かない医療機器が生まれるのか―UXデザインが埋める開発と臨床の溝」を開催しました。本セミナーはZoomとのハイブリッド形式で実施し、広島大学バイオデザイン部門 特任学術研究員/メディカルデザインラボ株式会社 代表取締役の北村竜也先生にご講演いただきました。

講演では、医療現場へのヒアリングを重ね、医療者のニーズを反映して開発したにもかかわらず、実際には十分に使用されない医療機器が生まれる理由と、その対策について解説がありました。その背景には、ニーズ発見後の設計段階で、「誰が、どのような状況で、どのような価値を得るのか」という体験価値が十分に検討されないまま、製品コンセプトや製品要求事項が決定されているという問題があることが示されました。

その対策として、ニーズ発見と製品要求事項の作成の間にUXデザインを組み込む方法が紹介されました。医師だけでなく、看護師、臨床検査技師、患者、家族、調達担当者など、製品に関係するステークホルダーを幅広く捉え、それぞれが求める価値やアウトカムを明確にすることの重要性について説明がありました。また、製品の機能から考えるのではなく、最初に実現したいアウトカムを定め、そこから必要な機能や操作方法を導くという考え方も示されました。

長時間ビデオ脳波モニタリングの事例では、実際の医療現場における使いにくさが紹介されました。電極装着に時間を要すること、複数の医療従事者による作業が必要となること、患者の行動が制限されること、記録の判読に大きな負担がかかることなど、現場観察によって明らかになった課題が示されました。

また、現在の使用フロー(As-Is)を整理して負担や停滞の原因を特定し、UXデザインによる改善を加えた理想的な使用フロー(To-Be)を描き、そこから現場で実際に使われる製品の要件を導き出す一連のプロセスが重要であることが示されました。

その具体例として、実現すべきアウトカムが明確に設定されたAEDが紹介されました。AEDの事例では、アウトカムとアウトプットの違いについて、次のように説明されました。

・アウトカム:訓練を受けていない一般市民が、倒れた人の救命に貢献できる 
・アウトプット:慣れていない人でも、操作を間違えずに起動して使用できる

AEDのボタンや操作手順が少なく、音声案内に従って操作できるのは、「訓練を受けていない一般市民が救命に貢献できる」というアウトカムが明確に定められ、そこから必要な機能や操作方法が設計されているためであると説明されました。

後半には、匿名化した観察ログとヒアリング記録を生成AIで分析するデモが行われました。生成AIを用いて、ステークホルダーの抽出、使用フローの時系列での再構成、待ち時間や作業中断の特定、発言の背景にある課題の分析、設計上の改善案の検討などを行う方法が紹介されました。一方で、AIによる分析はあくまで仮説であり、最終的には人による確認と検証が必要であることや、医療情報の匿名化とセキュリティに十分配慮する必要があることも説明されました。

本セミナーを通じて、医療機器開発では、ニーズを発見して直ちに製品要求事項を作成するのではなく、ニーズと製品要求事項の間にUXデザインを組み込み、体験価値を設計することの重要性を学ぶ機会となりました。

ご参加ならびに開催にご協力いただきました皆様に、心より感謝申し上げます。

お問い合わせ先

広島大学
学術・社会連携室オープンイノベーション本部
産学連携部 バイオデザイン部門
TEL: 082-257-1992
biodesign@office.hiroshima-u.ac.jp


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