
越智学長、金子理事・副学長とプライマリー・コース研修員23名
広島大学は今年度より、外務省委託「平和構築・開発におけるグローバル人材育成事業」を実施しています。プライマリー・コース研修はこの事業の一つで、平和構築・開発分野で今後キャリアを形成していく意志を持つ人を対象としているプログラムです。今年度は、日本人研修員13名とバングラデシュ、フィジー、エルサルバドル、ウクライナ、レバノン、パレスチナ、マリ、南スーダン、ウガンダ及びアフリカ連合委員会から10名の外国人研修員が参加し、2025年1月26日から2月22日まで4週間の国内研修を行いました。
まず1月26日から2月2日までオンラインで研修を実施した後,2月3日から研修員全員が東京に集合して、外務省を表敬訪問し藤井外務副大臣より歓迎と激励のお言葉をいただきました。翌日、研修員たちは東広島へ移動し、2月5日から広島大学での実地研修が始まりました。

(写真提供:日本国外務省)

外務省表敬訪問時(写真:藤井外務副大臣から研修員への激励)

外務省表敬訪問時(写真:研修員からの挨拶)
研修員たちは、国際機関の現役職員や平和構築・開発分野の専門家から国連の理念や活動内容、キャリア構築に必要な知識とスキル、人道支援が必要な現場の背景や社会情勢、紛争を経験した地域から参加している研修員からは実際に必要とされている支援などについての話を聞くことで平和構築や人道支援についての理解を深めていきました。またグループワークなどの実践的な演習では、国際機関での実際の勤務を想定したプロジェクト運営や交渉方法などについて意見を出し合い、様々な視点から分析を行いました。多くの演習を通してプレゼンテーションのスキルを身に付け、さらには課題解決のためのチームワークの大切さも学びました。研修員たちは休憩時間や日々の研修後にも講師や仲間たちと意見交換を行い、プログラムの時間内外で様々な人の実例にふれて経験的な知識を広げました。
面接の練習
グループワークの発表
研修員たちは講義を受ける一方で,広島平和記念公園も訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花を行い平和への祈りを捧げました。平和記念資料館では被爆体験者の講話に興味深く耳を傾け、世界恒久平和象徴の地である広島で平和構築への思いをさらに深めました。
また、研修員のうち,国内研修後に1年間海外派遣される日本人研修員を対象に海外安全実地訓練を実施しました。今回の訓練では海外における様々な不測の事態を想定した演習を行い、緊急時の安全対策や応急救護法だけでなく平時の予防策、必要な準備についても学ぶことができました。
広島平和記念公園訪問
被爆者体験者による講和
2月22日をもって4週間の国内研修を終え、日本人研修員は国連ボランティアとして平和構築・開発分野の現場で活動している国際機関等へ1年間海外派遣され、外国人研修員は各国の任務地へと戻ります。それぞれの目的や派遣先は違っても、同じ志を強く持った仲間や講師との出会いは、今後の国際機関等の現場だけでなく、これから先の人生においても大きな心の支えとなることでしょう。
本コースは、広島大学が国連訓練調査研究所(UNITAR)と協力し研修を行いました。