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国際シンポジウム「戦略としてのインターンシップ ― 北米の大学における実践例 ―」を開催しました

 319日、令和5年度採択 文部科学省「大学の世界展開力強化事業(米国)」の一環として、国際シンポジウム「戦略としてのインターンシップ ― 北米の大学における実践例」を開催しました。本シンポジウムでは、本事業の連携校であるアリゾナ州立大学(米国)および同大学と連携するAmazon Web Services(AWS)、ならびにインターンシップの先進的取組を行うウォータールー大学(カナダ)および同大学と連携するScotiabankより講演者をお招きし、北米における大学と企業の連携による戦略的インターンシップの実践事例についてご紹介いただきました。当日は、県内外の企業・大学関係者および一般の方々約60人が参加しました。

 開会挨拶では、越智学長より、本学がこれまで推進してきた国際連携教育の成果を踏まえ、AI時代における人材育成には企業と連携した実践的インターンシップの充実が不可欠であるとの認識が示されました。あわせて、大学院教育改革および産学連携の強化を通じ、国際的に活躍できる高度人材の育成を一層推進していく方針が述べられました。また、本シンポジウムが大学と企業の協働を一層深化させ、地域産業の発展につながる契機となることへの期待が表明されました。

 続いて、第一部では、カナダおよび米国の事例について、大学および企業それぞれの立場から報告が行われました。はじめに、ウォータールー大学 暫定副学長補佐(協同・体験型教育担当)のJudene Pretti氏より、学業と就業体験を体系的に組み合わせた教育モデルであるCo-op教育について紹介がありました。同大学では、年間26,000人以上の学生がCo-opプログラムを通じてインターンシップに参加しており、その規模は、次に続くカナダの他の2大学を合わせた数の2倍以上にのぼること、また、昨年度には70か国・8,000以上の企業が学生を受け入れ、52,000件ものジョブインタビューが実施され、98%の学生が採用となるなど、その規模の大きさが顕著に示されました。次に、同大学と連携してインターンシップを実施しているScotiabankの副社長(資産保険担当)で、Co-op教育の修了生でもあるJulie Cowan氏より、企業におけるインターンの活用方法とその効果について、数値分析に基づく説明が行われました。また、同社では、インターンを短期的な労働力ではなく、将来の優秀人材を見極め・育成するための中核戦略ととらえていることから、積極的に受け入れていることが紹介されました。続いて、米国アリゾナ州立大学・未来社会イノベーション学部長のEusebio Scornavacca氏より、エコシステム構築の重要性と、一過性にとどまらない長期的な関係構築の必要性が強調され、同大学における就労体験を組み込んだ教育プログラムの取組が紹介されました。最後に、同大学AI Cloud Innovation Centerにおいて社外コンサルタントを務めるAmazon Web ServiceのColleen Schwab氏より、同社では、学生を実務に近い形で業務に組み込み、長期的に実務を担う準社員的なポジションを付与していること、さらに、「Cloud Innovation Center(CIC)」の枠組みにおいて、実案件を通じて学ぶモデルを採用し、学生を価値創出の主体として活用していることが説明されました。いずれの事例においても、明確な目標設定のもと、インターンを組織の一員として受け入れることの重要性が共通して示されました。

 第二部のパネルディスカッションでは、前述の登壇者4人に加え、経済産業省中国経済産業局長の林揚哲氏を迎え、「日本企業と大学における戦略的インターンシップの在り方」をテーマに議論が行われました。まず林氏より、日本におけるインターンシップの現状として、インターンシップの多くが12日程度の短期間にとどまり、企業側においても戦略的な位置づけが必ずしも明確でないことが指摘されました。また、中小企業においては、受入体制の構築や人的余裕の不足が課題であることも共有されました。これを受けて、米国およびカナダの登壇者からは、インターンシップの設計においては「なぜ実施するのか」という目的の共有から出発することの重要性が強調されました。また、北米では、学生を将来の労働力として位置づけ、実務に近い業務機会を提供するとともに、相応の報酬を支払う仕組みや、公的資金による支援制度が整備されていること等が紹介され、学生を単なる受入対象ではなく「共に価値を創出する存在」として捉え、明確な役割や期待を設定することの重要性が共有されました。さらに議論は、インターンシップを支えるエコシステムの構築へと展開しました。日本においても、文化や制度の違いを踏まえつつ、地域の特性や産業構造に応じて、企業・大学・政府が連携しながら持続的な仕組みを構築していく必要性が指摘されました。

 本ディスカッションは、インターンシップを個別の取組として捉えるのではなく、地域や国の競争力向上に資する人材育成の基盤として位置づけ、その実現に向けた方向性について多角的な知見が得られる機会となり、参加者相互の理解を深める有意義なセッションとなりました。

 シンポジウムの終わりには、金子慎治理事・副学長(グローバル担当)が閉会挨拶を行い、本日の議論を通じて、北米におけるインターンシップの戦略的な位置づけと実践から多くの学びが得られたことに言及するとともに、今後、企業との連携のもとで本学のインターンシップの取組を一層充実させていく方針が示されました。また、登壇者および参加者への謝意が述べられるとともに、本シンポジウムで共有された知見が今後の取組の一助となることへの期待が表明されました。

 本シンポジウムを通じて、大学と企業が連携して学生の学びを支えるインターンシップの可能性と、日本においてこれをさらに発展させていくための重要な視座が得られました。本学は今後も、国際連携と産学協働を一層深化させ、実践的かつ先導的な人材育成の推進に取り組んでまいります。

越智学長 開会挨拶

Dr. Judene Pretti(ウォータールー大学)

Ms.Julie Cowan(Scotiabank)

Dr. Eusebio Scornavacca(アリゾナ州立大学)

Ms. Colleen Schwab(Amazon Web Service)

パネルディスカッションの様子

金子理事・副学長 閉会挨拶

【お問い合わせ先】

広島大学国際室国際部留学交流グループ

Email: kokusai-ryugaku*office.hiroshima-u.ac.jp
(*は半角@に置き換えた上、送信してください)


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