令和8年度 原爆死没者追悼式

広島大学原爆死没者追悼式 追悼の辞 (令和8年8月6日)

 被爆80年という節目の「原爆の日」を迎え、本日ここに「広島大学原爆死没者追悼式」を執り行います。広島大学を代表して、原爆の犠牲となられた教職員と学生、生徒、児童の方々の御霊(みたま)に、謹んで哀悼の誠(まこと)をささげます。

 今年も「原爆の日」を迎えました。本日ここに、広島大学を代表して、原爆の犠牲となられた教職員、学生、生徒、児童の方々の御霊(みたま)に、謹んで哀悼の誠を捧げます。
本日は、ご遺族や同窓会、大学関係者の皆様に加え、国内外の大学から平和学長会議にお越しいただいた学長の皆様にもご参列いただいております。心より感謝申し上げます。先ほど、本学の「原爆死没者追悼之碑」に、この1年で新たに確認された10人のお名前を書き加え、合わせて2,122人の方々の名簿を奉納させていただきました。

 81年前のあの日、広島大学の前身諸学校の多くは壊滅的な被害を受け、留学生を含む学生、生徒、児童、教職員の尊い命が失われました。人類史上初の原子爆弾により、日常の暮らしや未来への夢を一瞬にして絶たれた無念さを思うと、言葉もありません。

 今年7月時点で、ご存命の被爆者は全国で9万1千人余りに減る一方、平均年齢は86.66歳と高齢化が進みました。社会全体で被爆の記憶を継承し、教訓を世界へ伝えることが極めて重要な課題となっています。被爆地の大学として、本学が果たすべき責務はさらに重くなっています。

 世界に目を向ければ、核兵器を巡る情勢は一段と厳しさを増しています。ロシアによるウクライナ侵攻や中東での武力衝突など、今なお世界各地で戦火が絶えず、核兵器使用のリスクは冷戦終結後で最も深刻な状況にあると言わざるを得ません。

 だからこそ、大学には、立場や価値観を越えて理性的に対話を重ね、平和への道を切り拓く役割が求められています。「自由で平和な一つの大学」を理念に掲げ、原爆の廃墟から立ち上がった広島大学は、これからも「平和を希求し,チャレンジする国際的教養人」の育成に尽力してまいる所存です。

 こうした理念のもと、本学では、世界各地の大学トップが広島で被爆の実相に触れ、持続可能な平和について議論する「平和学長会議」を主催し、今回で6回目を迎えました。また、毎年100人を超える世界各地の学生を広島に招き、平和を学ぶ「ピーススタディーツアー」も今年で4回目となりました。一人一人が知り、考え、行動することが、核兵器や戦争のない世界を築く大きな力になることを願っています。

 さらに明日は、ここ東千田キャンパスで、モニュメント「不滅の学灯」の除幕式を執り行います。このモニュメントは、原爆の犠牲になられた前身諸学校の方々をはじめ、本学に連なる人々が受け継いできた「平和の希求」「知への探求」「社会への貢献」の志を未来へつなぐ象徴として建立します。また、趣旨にご賛同いただいた同窓生や教職員の皆様のお名前を刻んだ顕彰プレートの掲示板も設置し、本学を支えてこられた多くの方々との絆を形として刻みます。この灯が、現在を見つめ、未来へ希望をつなぐ象徴として末永く受け継がれることを願っております。

 広島大学は、原爆で犠牲となられた方々への追悼の思いを胸に100年後も「平和の大学」として、世界に希望の光を灯し続けることをお誓い申し上げ、追悼の辞といたします。

 

令和8年(2026年)8月6日
広島大学長 越智光夫


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