「ここがええね!広大」は、広島大学の構成員が、普段感じている広大の良さを語ります。
学内外を問わない、利用しやすさ
全国には、大型で超高性能な実験装置が設置された「共同利用施設」があります。これら装置の維持・管理は研究室単位では困難となるため、共同利用施設に集約し、大学や企業の研究者などが組織の枠を超えて共同で利用します。なかでも広島大学の共同利用施設は、全国的に評価されています。私が所属している自然科学研究支援開発センター(低温・機器分析部門)も、多くの高度研究機器を集約し、学内外の物質科学の研究者や学生が、最先端研究を日夜行っています。利用者数は、センター設置から10数年で3倍増です。
自然科学研究支援開発センター(機器分析棟)外観
広島大学の良いところは、ユーザーが利用しやすいことですね。広大は、全国で先駆けて文部科学省の設備サポートセンター整備事業(平成23年度~25年度)に採択され、全国のモデル大学となっています。設備マネジメント力や技術サポート体制の充実が、利用しやすさにつながっていると思います。
共同利用機器の1つ、超伝導核磁気共鳴装置(NMR)
構成員向けの手厚いサービス
大学から構成員へのサポート体制も充実しています。例えば、自由に見ることができる電子ジャーナルや学術データベースの数。その他、構成員が利用できるサービスもネットワーク上で豊富です。一例として、国際学会中に、アメリカから学内ネットワークにバーチャルにアクセスし、講演者の論文をダウンロードしてすぐ読めるのは重宝しています。これは博士課程の大学院生からの評判もいいですね。
教職員向け・学生向けの情報も豊富です。先日、学内のワークショップに参加しました。世界的に著名な学術誌(Nature)の編集者がイギリスから来られ、英語論文執筆の勘どころを2日間レクチャーし、大変勉強になりました。
情報共有と言えば、学部や大学院の垣根を越えたメーリングリスト(ML)も充実しています。私が参加しているのは化学系MLですが、理学・工学・医歯薬学などの研究者のつながりを深め、良い取り組みだと思います。
略歴
1997年総合研究大学院大学 数物科学研究科 博士後期課程修了。大阪大学、日本原子力研究所、千葉大学、スタンフォード大学などを経て、2011年から本学自然科学研究支援開発センター教授。大学院理学研究科(化学専攻)教授を併任。
研究概要
エネルギーを化学の切り口から研究。ネガティブな現象をポジティブな機能に、不要な物を有用な物質に、持続可能な社会形成のためのマテリアルサイエンスに取り組む。特に、既存の価値観をがらっと変える破壊的イノベーションにつながる「未知の学理」を構築したい。量子ドット、水素生成、高分子配向膜、電場増強効果、次世代デバイス(量子ドットLED、塗布型太陽電池)、光触媒など。同時進行で、これらの研究に取り組んでいる。
(2018年2月取材)