第3回 黒木 伸一郎(ナノデバイス・バイオ融合科学研究所 准教授)

「ここがええね!広大」は、広島大学の構成員が、普段感じている広大の良さを語ります。

私たちが半導体・ナノテクノロジー分野の先導役

私が所属している「広島大学ナノデバイス・バイオ融合科学研究所」では、半導体・ナノテクノロジー分野の研究を行っています。日々たくさんのプロジェクトが進行していて、現在の共同研究プロジェクトは約50件、文部科学省ナノテクノロジープラットフォーム事業による支援も60件ほど進行中です。

これらのプロジェクトを支えているのが、2棟のスーパークリーンルーム(空気清浄度の高い部屋、いわゆる防塵室)です。技術革新の著しい半導体・ナノテクノロジー分野においては、非常に厳しい清浄環境が要求されます。広大以外の大学・研究機関もスーパークリーンルームを所有していますが、広大は特にアクティブに稼働しています。世界的に著名な研究者も広大に来て実験するなど、他機関の研究者から使い勝手が良いと評判の施設です。ナノデバイス・バイオ融合科学研究所はその前身の集積化システム研究センター設立から数えて30年以上が経過。半導体デバイスに関する研究、関連する施設・装置の整備を長年に渡り行い、積み上げてきたノウハウが群を抜いています。

スーパークリーンルームで実験を行う黒木先生と学生

超微細パターン形成装置。最小6 ナノメートル(1ナノメートル=0.000001ミリ)!薄膜形成装置、物性測定装置などが施設内にはざっと80種類以上ある。一つの建物内にこれだけの装置がまとまっているのも良い

元気な学生と垣根なく、研究の議論に没頭

私たちの研究は、例えば、電気自動車のモーターへの電力を直接制御する半導体デバイス(パワー半導体デバイス)を開発するといったように、産学官の共同研究となることがほとんどです。ナノデバイス・バイオ融合科学研究所には30人超の学部生、大学院生が在籍。企業の研究者・エンジニアが集う場で、さまざまな議論ができることは彼らにとって、とても有意義なことでしょう。

逆に、学生の元気のよさに私が圧倒されることもしばしば。「この国際学会で研究発表したい」「この実験データについて議論しましょう」と、学生の方からどんどんリクエストがきます。教員と学生の立場を気にして、お互いに必要以上の気遣いをすると、研究の話に力が入らない。それはもったいない。研究のコアな部分に集中して議論し合える、この雰囲気が私は好きです。

年末の忘年会では、その年の学会や研究室イベントなどの写真をコラージュした1枚を作成し、全メンバーにプレゼントしている

原発廃炉、宇宙、医療で活用できるシリコンカーバイド半導体

日常ではあまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、私は今、「シリコンカーバイド半導体」の研究・開発を進行中です。この半導体の特徴を生かして、極限環境、特に「原発廃炉」「宇宙探査」「医療用精密機器」などで活用できる半導体の回路の研究を進めています。現在の半導体は放射線に弱く、このような場所では長時間使用できません。福島第一原発の廃炉作業や惑星探査などを進めるためには、必須の研究です。早急に成果が求められますが、今の研究環境を活かし、徐々に回路規模が大きいデバイスを作って、社会貢献につなげたいと思っています。

頭を整理したいときにはジャグリングをするという黒木先生。気づくと30分以上経っていることも

略歴

広島大学大学院理学研究科博士課程後期修了。東北大学助教などを経た後、2012年から現職。2013年からはスウェーデン王立工科大学(KTH)で客員研究員として共同研究も行う。

研究概要

シリコンカーバイド(SiC)を用いた極限環境エレクトロニクス、シリコン薄膜トランジスタなどを研究。放射線曝露下や超高温環境でも動作するシリコンカーバイド集積回路を構築することで、宇宙や深地下などの新しいフロンティアを切り拓くことを目指している。科学研究費助成事業では、2016-17年に国際共同研究加速基金(国際共同研究強化)に採択されたほか、現在、福島第一原発の廃炉作業にも使用可能な、シリコンカーバイド・デバイスの研究開発などを国内外の研究者と共に進めている。

(2018年2月取材)


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