学長式辞 令和8年秋季入学式 (2026.10.1)
本日、広島大学に入学された389人の皆さんに、学長として、また本学同窓生の一人として、心よりお祝い申し上げます。また、今日まで皆さんを支えてこられたご家族や関係者の皆様にも、深く敬意と感謝を表します。
海外から大きな志を抱いて広島に来られた皆さんの中には、期待と同時に、見知らぬ土地での生活に不安を感じている方もいるでしょう。私も若いころに海外留学を経験しましたので、その気持ちはよく分かります。広島大学で安心して学び、新たな挑戦に踏み出せるよう、教職員一丸となって支えてまいります。
広島大学は、最も古い源流である1874年創立の白島学校から数えると、150年以上の歴史があります。1945年8月6日、一発の原子爆弾により広島の街は壊滅し、本学の前身校でも多数の学生、生徒、留学生、教職員の尊い命が失われました。
その4年後の1949年に広島大学は、焦土となった広島の地に開学しました。以来、「平和を希求する精神」は一貫して本学のDNAとして受け継がれています。この精神を、ぜひ皆さんの胸にも刻んでいただきたいと思います。
今や広島大学は12学部、4研究科、1研究院を擁し、約1万6,000人が学ぶ総合研究大学へと発展しました。近年は国の大型研究事業への採択も相次ぎ、世界トップレベルの研究と教育を推進しています。英国の高等教育専門誌「Times Higher Education」が行っている「サステナビリティ・インパクト・レーティング2026」では世界77位、国内2位にランクされるなど、SDGsへの貢献も高く評価されています。
3つのキャンパスには現在、世界92カ国・地域から合わせて1,933人の留学生が学び、学生の約8人に1人が留学生です。また、広島大学の9学部は文部科学省の「国際競争力けん引学部」に認定されました。優秀な外国人留学生の受け入れと日本人学生との共修を通じて、グローバルに活躍できる人材育成を促進することを目的としたもので、今後も共に学びやすい環境づくりに努めてまいります。
さらに、この8月には東広島キャンパス内に、半導体人材の育成を目指す「アイダホ大学広島キャンパス」が開校しました。工学分野の外国大学日本校としては国内初であり、本学が誇る国内有数の半導体研究拠点との相乗効果も期待されています。
さて、世界ではウクライナや中東などでの戦争に今も終わりが見えず、核兵器使用のリスクも高まっています。一方で、AIをはじめとする科学技術の急速な進歩に、人間が追いつけないという状況も生まれています。こうした時代だからこそ、広島大学で学ぶ皆さんには、専門性を磨くだけでなく、幅広い教養を身に付けてほしいと思います。
16世紀フランスの思想家モンテーニュは、著書『エセー』の中で「一杯に詰まった頭」よりも「よくできた頭」を重んじるべきだと述べました。知識をただ蓄えるだけではなく、自ら考え、判断し、世界を主体的に生きる力を育むことこそ、学びの本質であるという深い洞察です。大学は、まさにその力を養う場所です。
皆さんには、この自由な知の空間で常に「なぜ(WHY)」を問い続け、多様な価値観に触れ、失敗を恐れず挑戦してほしいと思います。そして、その力を、いつの日か社会のため、世界の平和のために生かしてくれることを心より願っています。
終わりに、皆さんの広島大学での学びが実り豊かなものになることを心より願い、私からのお祝いの言葉といたします。
あらためまして、本日はご入学おめでとうございます。
令和8(2026)年10月1日
広島大学長 越智光夫

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