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2024年8⽉7、8⽇に、第18回AIMS年次レビュー会議が、広島国際会議場にて開催されました。同会議は、AIMSプログラム1参加国の教育省関係者、プログラム参加大学関係者等が参加し、プログラム運営に係る参加国間の調整および提供される教育の質の向上を目的に、毎年加盟国が持ち回りで開催するものです。同会議は通常秋に開催されますが、本学創立75周年目にあたる今年、「平和を希求する精神」を理念5原則のひとつに掲げる本学が、「Reimaging Mobility for Peace and Sustainability(平和と持続可能な未来に向けた新しいモビリティの創造)」の下に開かれる同会議の開催地にふさわしいとして、8月6日の平和記念日に合わせて主催することとなりました。日本での開催は、2015年に会場となった筑波大学に続く2回目となります。
同会議には、ASEAN10カ国、韓国及び⽇本より158人の政府関係者及びAIMS加盟⼤学関係者が参加しました。越智光夫学⻑は歓迎の辞の中で、AIMSプログラムがアジア地域の⾼等教育機関における質の保証を伴った学⽣交流の重要なプラットフォームとして、関係⼤学の弛まぬ貢献により継続して実施されてきたことに敬意を表するとともに、世界的に急務とされている半導体⼯学やAI等最先端分野への交流拡⼤の必要性について述べました。続いて、東南アジア教育⼤⾂機構・⾼等教育開発センター (SEAMEO-RIHED)・センター⻑ Romyen Kosaikanont⽒及び⽂部科学省⼤⾂官房審議官(⾼等教育局及び科学技術政策連携担当)奥野真⽒が開会挨拶を⾏いました。
その後会議では、各国政府代表が登壇し、各国の⾼等教育に関する政策等の最新情報を共有しました。午後には政府関係者、教員、国際部⾨職員及びAIMSプログラム修了⽣がそれぞれの⽴場で交流事業における課題の共有や将来への提案を行うパラレルセッションを⾏いました。なお、当会議への出席に合わせて、⽂部科学省奥野審議官が本学の霞キャンパスを訪問し、大学病院のスポーツ医科学センターや手術室等診療施設と原爆放射線医科学研究所のRI施設を視察しました。特色ある施設に関心を寄せられ、田中純子理事・副学長、安達伸生病院長との懇談では、医師の働き方改革や関連した国の事業について、広島大学病院に期待する発言がありました。
なおこのたび、本学の提案により、AIMSの取組における初の試みとして、加盟大学の学生を本学へ招き、同会議と並行して学生セミナーを開催しました。「学生の視点から見た高等教育の将来像」をテーマに実施した8日間のセミナーでは、7カ国21人の海外大学等の学生が本学学生6人とともに協働学習を行いました。多様な背景を持つ学生らが分野横断的なグループワークを体験するとともに、8月6日の平和記念式典への参列や被爆体験講話の拝聴等、平和学習に参加しました。マレーシア国立大学サバ校から参加した、天然資源学部3年Syarifah A’eesyah Binti Syed Shikhさんは「セミナーを通じて、常に自分の中に成長と発見を感じていた。セミナー中、批判的に考え、視野を広げる挑戦を求められたからだ。このセミナーは、コミュニティ意識を育み、多様な背景を持つ他の学生たちと協働する機会を与えてくれるなど、全体として非常に充実していた。そして「平和に対する権利」に対し、感謝の念を新たに抱くことができた」と8日間のセミナーを振り返りました。
AIMSレビュー会議の2日目と重ねた同セミナーの最終日には、レビュー会議参加者の前で最終発表を行い、会場からのフィードバックを得て、同会議及びセミナーの全⽇程を終えました。文部科学省大臣官房付 安藤博氏は閉会挨拶の中で、学生たちのプレゼンテーションを通し、アジア地域の若い世代の明るい未来への確信を深めたと述べました。また、AIMSプログラムの今後の発展に期待を寄せ、参加者にこの機会を最大限に活用することを激励するとともに、同会議の成功に貢献した全ての参加者に心からの感謝の意を表しました。
会議の最後には、参加12カ国の国旗及び広島大学旗とともに会場を飾ったSEAMEO-RIHED旗が、次回第19回AIMS年次レビュー会議の開催国・マレーシアに引き渡されました。同国より出席した、AIMSマレーシア事務局長・Fiffy Hanisdah Saikim博士は「AIMSプログラムは、学生交流や文化交流、知識の共有を通じて、加盟国間の高等教育の調和と国際化を進めるものであり、この地域にとって非常に重要な取り組み。マレーシアが来年の年次レビュー会議を開催できることを誇りに思う。今回の広島での会議で得られた成果をもとに、我々が平和で持続可能な発展に向けて協力し合うことを期待している。また、地域の教育の発展、共に成長すること、革新、そして持続可能な発展に貢献していきたい」と次回会議への意欲を述べました。
同会議終了後、Romyen Kosaikanont⽒(SEAMEO-RIHED・センター⻑)は「平和記念日に合わせて広島を訪れたことは、参加者にとって広島の復興の力強さを直接感じる特別な機会となった。また、広島大学の創立75周年をお祝いできたこと、そして広島とともに歩んできた大学の平和や持続可能性への取り組みについて学ぶとともに、若い世代から高等教育の未来に対するビジョンを聞けたことを大変嬉しく思う。今回の会議が成功したのは、広島大学の多大な支援のおかげであり、心に残る素晴らしい経験となった」と広島で同会議を開催した意義に触れ、この2日間を総括しました。
会議参加者は、広島の地で平和への思いを共有しつつ、世界の平和と安定に貢献する高等教育及び交流事業拡大に向け、自由闊達な意見交換を行った貴重な2日間を過ごし、広島を後にしました。学術交流の拡⼤や、新たなパートナーシップ構築に向けた情報交換、更に平和に向けたコミットメントを示す場として機能した本会議での成果を踏まえ、今後の域内交流の更なる活性化が期待されます。
⽤語解説:1 AIMSプログラム:東南アジア各国政府が加盟する東南アジア教育⼤⾂機構(SEAMEO)の⾼等教育開発センター(RIHED)の元で⾏われている質の保証を伴った域内学⽣交流プログラム。本学は 2013年より参画しており、現在は主に⼯学分野及び農学分野での交流を⾏っている。

AIMS年次レビュー会議参加者

越智学長挨拶

AIMS学生セミナー参加者の発表

文科省・奥野審議官霞キャンパス訪問
広島大学国際室国際部留学交流グループ