研究井戸端トーク#1 開催記録

研究井戸端トーク#1『COVID-19で考えた:「研究」ってなんだろう』を開催しました

<日時>  2020年12月11日(金)16:30~17:30
<場所>  Zoomにてオンライン開催
<参加者> 延べ30名(大学教職員、大学院生)
<プログラム>
話題提供者からの短い話題提供後、自由な対話
司会:馬場 卓也 教授(国際協力、数学教育)
話題提供者:話題提供者:
   金 鍾成 助教(教育学、社会科教育)
       有松 唯 准教授(考古学、古代オリエント/中近東)
   丸山 史人 教授(環境遺伝生態学)

初回でしたが、話題提供者の皆さんの興味深い話題提供や司会役の先生の名司会で、好奇心が刺激される楽しい会となりました。

司会役と話題提供者は会場に集合

終了後の立ち話も盛り上がりました

<話題提供>

  • 金先生は、小学校教員の経験もあり、国ごとの「語り」の違いや社会科教育に興味を持ち、「他者の語りに開かれた市民の育成」を研究テーマとしているそうです。韓国や米国と日本の生徒・学生をつなげて、各国の教科書の記載内容を題材にして〈平和〉について話し合う取組みについてご紹介いただきました。また、COVID-19 を受けて、大人だけでなく子供を対象としたインタビュー調査をオンラインに切り替える中で感じた困難などについても共有していただきました。
  • 有松先生は、日本の考古学では珍しく、西アジア(中近東)を扱うそうです。フィールドワークが困難な状況の考古学ですが、「あれもできないこれもできない」と研究を縮小するだけではなく、COVID-19禍だからこそ、人文学や考古学は何ができるのかという基本的な問い、学問の本質に迫り試行錯誤する良い機会となっているそうです。5年後の自分の研究、さらには10年後の考古学や人文学に思いを巡らせ、学術標本についての構想や国内外の研究者との学際的なプロジェクトなど、これを機に開拓を進めていることに関し刺激的な話題提供をいただきました。
  • 丸山先生は、今年設立した「未来共生建造環境センター」の様々な取組みについてご紹介くださいました。COVID-19 を受けて、研究として国外からグローカル、学際、産学連携へ、そして場所もフィールド(外)からオンサイト、リモート、スマート(建物内)へと重点を移しているそうです。遠くに行けないので、地元から一緒にやっていける体制を意識しているそうです。新センターでは、古民家の土壁や茅葺とそこの微生物や人の生活様式に着目し、病原性微生物と関連アレルギー疾患から守られる街づくりに取り組みたいとのことです。

<トークのハイライト>

  • 今回の話題提供者で重なり合うキーワードの一つは、「共生」かもしれません。人類の歴史の中でいずれの文明も長く続かなかったけれども在地の知が継続していることを想うと、変化の激しい時だからこそ一度立ち止まって考えることの必要性を考えさせられるようなトークでした。
  • 今回の話題提供者の皆様から活発な活動を紹介いただきましたが、普段から研究者のネットワークで活発に活動されたり、大学などにある色々な仕組みを活用しているとのことです。
  • COVID-19でオンラインのやり取りが増えていますが、人間関係が既にできている間柄でのオンラインでのやり取りは問題ないが、そうでない場合はやはり難しい面もあるとの声もありました。
  • COVID-19で国内外での移動や対面調査などに制約がある一方、今だからこそできる取り組みや、将来に向けてのビジョンの話題で盛り上がりました。新たな研究テーマの設定が必要であるとともに、新たな研究が発見されるチャンスであるとの指摘もありました。肯定的な変化や方法を能動的に探し、このような時期だからこそ先生方が新しい形で着々と研究や協働を活発に進めているお話は、とても刺激的でした。

<司会の馬場先生から>

3人の話題提供者の話は大変興味深かったです。話題提供者や URAの方々の協力を得て楽しい第1回となりました。このような好奇心を刺激する試みが今後とも続くことを祈念しています。

文責:URA部門(福本)

【お問い合わせ先】
学術・社会連携室 URA部門
研究井戸端トーク担当
ura■office.hiroshima-u.ac.jp (■を@に変更してください)


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