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【研究成果】新しいペプチドベクターの同定と組み換え人工転写因子蛋白質による細胞加工技術開発 - 組み換え蛋白質によるマウスiPS細胞の作製 -

近年の再生医療の進歩によって、体細胞に複数の転写因子を同時に発現すると、肝細胞や心筋細胞などの目的とする細胞が作製できることが分かってきました。しかし、これまでの方法では、ウイルスベクター等の遺伝子導入法が使用されてきたため、ゲノム構造異常を誘発する可能性の無い安全な細胞加工技術が求められてきました。今回、国立国際医療研究センター(NCGM)難治性疾患研究部 石坂 幸人 部長 および 広島大学大学院理学研究科 山本 卓 教授らによる共同研究の成果として、 NCGMが既存の分子よりも機能性に優れたペプチドベクターを発明し、これを広島大学が開発したゲノム認識分子と組み合わせることで、組み換え蛋白質による「人工転写因子システム」を開発しました。今回の報告では、マウスiPS細胞を組み換え蛋白質で作製し、本システムの機能性と安全性を証明しました。今後、本システムは、再生医療における基盤技術として機能することが期待されます。

研究の背景

複数の転写因子を同時に発現することで、間葉系幹細胞や線維芽細胞から目的細胞を作製できることが報告されています。本プロジェクトでは、NCGM難治性疾患研究部 石坂 幸人 部長 および 広島大学大学院理学研究科 山本 卓 教授らによる研究成果として、 NCGMが発明したペプチドベクター(NTP: nuclear trafficking peptide)と広島大学が開発したゲノム認識分子(プラチナTALE: transcription activator-like effector)を組み合わせることで、人工転写因子システムを確立しました(特願2018-069936、発明名称:「細胞のダイレクトリプログラミング方法」出願日:平成30年3月30日、発明人 :NCGM・広島大学)。特に今回の論文では、人工転写因子システムを用いてマウスiPS細胞を作製し、本システムの機能性と安全性を証明しました。

本研究の概要

今後の展望

間葉系幹細胞や線維芽細胞からの肝細胞や膵β細胞へのダイレクトリプログラミング法を開発し、臨床応用の可能性を明らかにします。

発表雑誌

  • 雑誌名:Biomaterials
  • 論文名:Identification of a cell-penetrating peptide applicable to a protein-based transcription activator-like effector expression system for cell engineering.
【お問い合わせ先】

国立国際医療研究センター研究所 難治性疾患研究部
責任著者役職名 難治性疾患研究部・部長 石坂 幸人
電話:03-3202-7181(内線 2806)
FAX:03-3202-7364
E-mail: zakay*ri.ncgm.go.jp(*は半角@に置き換えてください) 

《取材に関するお問合せ先》
国立国際医療研究センター 企画戦略局 広報企画室 広報係長
担当:三山 剛史
電話:03-5273-5258(直通) <9:00-17:00>
E-mail: tmiyama*hosp.ncgm.go.jp(*は半角@に置き換えてください)


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