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本研究成果のポイント
- 強誘電性は一般的に単一分子で発現することはないとされていましたが、単分子であっても強誘電性を示す「単分子誘導体(Single Molecule Electret、SME)」の存在を世界で初めて実証しました。
- 本研究で開発した「SME」をメモリーとして実装することで、市販されている不揮発性メモリーの記録密度を1000倍以上向上させることが可能になります。
- 「SME」特性は室温以上で観測されることから、実用化に適しています。
概要
近い将来、記録密度の限界【1Tbit/inchi2 (1×1012 bit/inch2)程度】が訪れ、それ以上の記録密度の向上は見込めないとされてきました。ところが、広島大学大学院理学研究科の西原禎文准教授、加藤智佐都博士(元大学院生)らの研究チームは、室温で強誘電性(メモリ効果)を示す分子の存在を世界で初めて突き止めました。今回開発した物質を用いることで、市販されている不揮発性メモリーの記録密度を1000倍以上向上させることが可能になります。
本研究成果は、独国学術雑誌「Angewandte Chemie International Edition」のオンライン版に公開されました。
(a) ポリオキソメタレートの構造。分子内部に1つのTb3+イオンを含んでおり、その安定サイトが2個所ある様子。
(b) Tb3+イオン停止するサイトによって分子分極が反転する様子。分極反転エネルギーよりも低い温度領域では、分子分極を凍結できる。
論文情報
- 掲載誌: Angewandte Chemie International Edition
- 論文タイトル: Giant Hysteretic Single-Molecule Electric Polarisation Switching above Room Temperature
- 著者: Chisato Kato, Ryo Machida, Rio Maruyama, Ryo Tsunashima, Xiao-Ming Ren, Mohamedally Kurmoo, Katsuya Inoue, Sadafumi Nishihara*
* Corresponding author(責任著者) - DOI番号: 10.1002/anie.201806803
【お問い合わせ先】
広島大学大学院理学研究科
准教授 西原 禎文