• ホームHome
  • 研究
  • 【研究成果】生きた植物乳酸菌がアルコール中毒症状を回復させる効果を発見しました~新薬の開発に期待~

【研究成果】生きた植物乳酸菌がアルコール中毒症状を回復させる効果を発見しました~新薬の開発に期待~

本研究成果のポイント

広島大学大学院医系科学研究科「未病・予防医学共同研究講座(杉山政則教授)」では、マウスにエチルアルコール (エタノール) を投与するとアルコール中毒症状が誘発されるが、植物乳酸菌ラクトバチルス・プランタルムSN13T (Lactobacillus plantarum SN13T) の生菌体をアルコールと同時に摂取させると、アルコール中毒症状が回避されることを発見しました。興味深いことに、この作用は生菌体特異的であり、加熱処理した死菌体の摂取ではまったく観察されませんでした。本研究では、 同講座の野田正文特任准教授を中心として、SN13T株生菌体の摂取によるアルコール中毒症改善メカニズムの解明に取り組みました。

概要

植物乳酸菌の保健機能性研究を推進している「未病・予防医学共同研究講座」では、 以前、「ヒト臨床試験」を通じて、SN13T株を用いて製造されたヨーグルトの経口摂取が、 肝機能不全の指標となるγ-GTP (γ-glutamyl transpeptidase) 値を有意に低下させることを見出しました。この発見により、2011年、栄養学分野の国際賞である第14回John M. Kinney賞を受賞しています。

今回、 過度のアルコール摂取により、 腸内細菌叢の破綻 (dysbiosis) が起きるが、 胃酸や胆汁酸に対する耐性が極めて高い植物乳酸菌SN13Tの生菌をマウスに摂取させると、アルコールによる腸内細菌叢のディスバイオシスが改善して、アルコール中毒症状が回復することを発見しました。

この研究成果は、「International Journal of Molecular Sciences」に掲載されました。

論文情報

  • 掲載誌: International Journal of Molecular Sciences. 2020, 21(5), 1896.
  • 論文タイトル: Improvement of Alcohol-Poisoning Symptoms in Mice by the Oral Administration of Live Lactobacillus plantarum SN13T Cells
  • 著者名:(*責任著者) Masafumi Noda 1, Masafumi Maruyama 2, Narandalai Danshiitsoodol 1, Fumiko Higashikawa 1 and Masanori Sugiyama 1,*
    1 Department of Probiotic Science for Preventive Medicine, Graduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University
    2 Chugoku Jozo Co., Ltd.
【お問い合わせ先】

<研究に関すること>
大学院医系科学研究科 未病・予防医学共同研究講座
教授 杉山 政則
Tel:082-257-5280
E-mail: sugi*hiroshima-u.ac.jp (注:*は半角@に置き換えてください)


up