「ここがええね!広大」は、広島大学の構成員が、普段感じている広大の良さを語ります。
附属学校が教育実習先に
広島大学は、広島市(翠地区・東雲地区)、福山市、三原市などに附属学校があります。これらの附属学校は、広島大学の学生の教育実習先になっています。毎年、数多くの学生を受け入れるため、附属学校の教員は実習生(学生)の指導には慣れているし、フォローが手厚い。さらに、附属学校の生徒は粒ぞろいの子ばかり。教員を目指す学生にとっては、とても充実した教育現場です。
普段、大学の授業で学んでいる科目内容に関する知識や、教育の実践力を高められるだけでなく、教育実習では学校の仕事を幅広く学びます。教えるだけでなく、校務もあれば部活動も、生徒への生活指導もある。学生はその大変さを、身を持って体験します。実習生の数が多い分、自らの成功・失敗をたくさんの仲間と共感したり、ディスカッションしたりすることができるのも、広大の教育実習の良い点ではないでしょうか。
地元企業と教育を育む
私は小・中学生への技術教育に力を入れています。コベルコ建機(株)と共催している「中学生レスキューロボットチャレンジ」は前身の大会から数え、今年で14回目になりました。毎年多くの中学校からチームが参加し、アイデアあふれるロボットでレスキュー活動に挑みます。ロボットの設計・製作を通じて、学校の授業では得られない技能や知識が身につきますし、チームで問題解決に挑みながらコミュニケーション能力も育むことができます。
大会の運営には、教育学部の技術・情報系コースの学生が携わっています。学生は、コベルコ建機(株)の社員さんとルールの策定を行ったり、参加する中学校へ赴き製作の指導をしたりしています。大学生にとっても、中学生や社会人と交流できる経験の場になっています。卒業生が教員になって、再び大会に参加してくれた時はうれしかったですね。
授業以外で「教育の場」を育むことは大切ですが、企業にご支援いただいているおかげで運営ができています。企業や地域の皆さまに、「広大なら…」と前向きに協力いただけるのも素晴らしいことだと思います。産学連携事業の一環として、コベルコ建機(株)と広大は共同研究講座を2015年に開設しています。今後も、連携の拡大に期待が持てます。
第3回中学生レスキューロボットチャレンジ [2017年開催]
(オレンジ色のジャンパーを着用しているのが本学教育学部 技術・情報系コースの学生)
ロボット操作で課題をクリアする中学生たち
技術教育者として柔軟に何でもやる
私の元々の専門は機械工学ですが、今はいわゆる「何でも屋」です。教育分野では、子どもが習慣を身につけることを支援する教具を考案しています。例えば、「声を出すゴミ箱」。ゴミを捨てると「ありがとう」と言い、逆にゴミが捨てられないと「さみしいなぁー」と言ってくれる。楽しみながらゴミを捨てるという社会性を身に付けられます。福祉分野では、自分で身体を動かすことができない重度障害の子どもたちに、ボタンを押せば「何か新しいことができる」装置を開発しています。
さまざまな分野のことをやるには協力者が必要ですが、幸いにも広大にはオールジャンルの教員がそろっています。特に私は、教育学研究科の特別支援教育の先生方や工学研究科の先生方と研究の交流があります。プライベートでも、異分野の先生と知り合いになれて刺激を受けています。
研究室の学生たちと
略歴
広島大学大学院教育学研究科博士課程後期修了。香川県立多度津工業高等学校教諭、高松工業高等専門学校講師、広島大学大学院教育学研究科講師を経て、2011年から現職。
研究概要
専門は技術・工業教育内容学(メカトロニクス)。主に制御工学的アプローチによる技能評価や、技能獲得支援システムの開発、技術科や工業科の教材の作成などを行う。
(2018年3月取材)