【スタートアップチャレンジ2023】採択チーム紹介③(池田チーム)

「東広島市・学生発スタートアップチャレンジ2023」では、広島大学・近畿大学工学部・広島国際大学の学生による、自由で創造的なアイディアや起業してみたいという意識の具体化に向けた活動を支援しています。
このたび、12月17日(日)に開催する成果発表会(Demo Day)に向けて、本事業に採択されている10チームのインタビュー記事を掲載いたします。

第3回は、「誰一人取り残さないキャンパスアクセシビリティ 東広島キャンパスへのHirodaiMAPsの展開」のテーマで活動している池田有之介さんのチームです。
(記載の情報は掲載時点のものです。)

スタートアップチャレンジで事業化を目指すテーマについて教えてください!

私たちHirodaiMapsグループは、「広島大学を訪れるすべての人が迷わず目的地に辿り着けるようにしたい」というゴールのもと活動しています。

このテーマはどのようにして思いつきましたか。

自身が新入生の時、キャンパス内の移動に際して非常に苦労した経験があり、資格試験や学会のために一時的に来構した友人・他大学の教授からもスムースに会場に移動できないという声を多数聞きました。
さらに、留学生や新入生に何度も道を聞かれたことも重なり、自分と同じ課題に直面している人がたくさんいるので、自分の力でこの課題の解決に貢献したいと考えました。

このサービスの強みはなんですか。

HirodaiMapsは、迅速な情報提供・アクセシビリティ・スケーラビリティ、の三つの観点から他サービスとの差別化を図っています。
迅速な情報提供に関して、キャンパス内でのGoogle Mapsの使用を例に挙げると、起動から検索、経路案内画面に辿り着こうと思った際、十数秒の時間がかかってしまいます。そのため、いちいち建物名を入れて経路案内してもらうより、とりあえず歩きながら探そう、という選択に至ることが少なくありません。HirodaiMapsはそこに目をつけ、広島大学構内限定という制約を活かして、あらかじめ現在地の情報を持たせた二次元バーコードを主要なチェックポイントに配置することでスキャンするだけでHirodaiMapsのトップページに飛び、あとは行きたい建物を選択するだけで経路案内を開始するという「Rapid Travel」システムを考案しました。このシステムはQRコード読み込みから約5秒以内に建物の経路案内を開始可能です。
次に、アクセシビリティについて、「車椅子利用者の地図の利用」について考えると、車椅子専用トイレの検索や車椅子が通れない経路の除外等の処置が必要になってきます。GoogleMapsやiPhoneのMapsアプリはこの機能を提供していません。そのため、HirodaiMapsでは、キャンパスのことをよく知る学生が建物内の設備や車椅子が通れない経路などを逐一確認して地図に落とし込みます。
最後に、スケーラビリティに関して、HirodaiMapsはWEBベースということもあり、バックエンド側で地図を動的に書き換えることが可能となっています。これによって、臨時の機能の実装要請に柔軟に応えることが可能となっています。たとえば、大学の周囲を巡回する形で運行しているバスの時刻表をリアルタイムで拾ってくることで、最寄りのバス停の次のバスの時刻を瞬時にユーザーに提供することができます。また、オープンキャンパスや大学祭などの大規模な学内イベントが発生した際に、特定のエリアの混雑状況や特定のイベントやコーナーへの経路案内の提供なども行うことができるようになります。

チームメンバーはどのようにして集まりましたか。

松田さんには、広島大学が開講している"Agile entrepreneurship program"という、グローバル志向の起業家養成ワークショップで出会いました。
どちらも地図作成に興味があるという話になって、このプログラムに応募しようと決めました。
メンバーはどちらもアメリカ帰りのため、国際的な取り組みも容易に展開できるポテンシャルを備えたチームです。

スタートアップチャレンジ2023のことは、どのようにして知りましたか?

応募締め切りの5日前にもみじ掲示板のお知らせにて知りました。

応募してみようと思ったきっかけを教えてください。

広島大学へのオンライン地図の展開ということもあり、広島大学関係者にこのサービスを知ってもらうきっかけになるのではないかと思い、このプログラムに応募しました。
また、ビジネス面での経験があまりないので、どうすれば出資者を説得できるかなどを現役のビジネス最前線の専門家たちに聞けるという仕組みも魅力的でした。

スタートアップチャレンジの支援期間中はどのような活動をしていますか。

サービスの開発(池田:Geoコーディング,松田:QGISでのマッピング)とビジネスモデルの改良を同時進行で進めています。
また、このようなサービスは、展開初期の知名度が重要だと考えているので、HirodaiMapsという名前を広める活動を行なっています。

サービス開発の様子①

サービス開発の様子②

授業や研究室など忙しいと思いますが、いつ活動していますか。

平日は朝9時から夜の3時まで研究に割いているので、土日に一気に進めています。
結構ハードスケジュールですが、このプロジェクトで試行錯誤した技術が研究の方にも活かせているので、良い恩恵を受けられているなと感じています。

ベンチャーキャピタルのメンタリングを受けながらプロジェクトを進められていますが、どんな学びがありましたか。

研究活動でのデータの見せ方と、ビジネス面でのデータの見せ方はかなり違うということを学びました。研究の方では厳密な定量化、ロジックが要求されますが、ビジネス面ではいかに相手にわかりやすく伝わるか、が重視されていて、「厳密な正しさ」が常に人の心を動かすわけではないということを改めて感じました。
また、自分が思う「こんなサービスがあればいいな」は、必ずしも他の人と共有できるわけではなく、常にサービスの提供相手目線で考えないといけないことも学びました。たとえば、自分目線でこのようなサービスがあれば便利だと考えていたとしても、実際に突き詰めるとサービス提供先からの需要は極めて低く、架空のニーズに対して解決策を考えてしまいかねないことになるからです。

プロジェクトを進める中で、難しいと感じる部分はありますか。

地図作成に関しては、建物名の表記ゆれが激しく、データの正規化に苦労しています。
たとえば、広島大学の教育学部は研究棟がいくつもあり複雑ですが、6年間教育学部に在籍している学生ですら、どの研究棟がどのように呼ばれているかを把握できていないケースが見受けられました。

どんな思いを持って活動していますか。

代表の池田は、広島大学の交換留学プログラムと米国IBMで学んだ地理データの解析、経路探索アルゴリズム、WEB開発関連のスキルをどこかで活かせないかという思いでこのサービスの実装に取り組んでいます。
メンバーの松田は、これまで地図の作図やWeb開発などの経験はないものの、キャンパス内で地図を通して「障害」を取り除き、より多くの方にとって東広島キャンパスがより訪れやすくなるような場所を提供する一つの方法としてこのサービスを展開したいという思いで活動しています。

今後の展望を教えてください。

WEBサービスの良いところの一つとして、一旦サービスのフレームができると、他の類似サービスの実装が非常に高速になる点があります。これを活かし、HirodaiMaps展開後は、システムのアップデートとともに、他大学への展開を考えています。たとえば、米国ミネソタ大学では、キャンパス内で銃撃や強盗事案がたびたび発生しますが、そのアラートはメールで簡易的にしか届かないシステムとなっています。そこで、そのような事案が発生した際に地図上にリアルタイムで場所を描画するというアプローチを取ることができます。この件に関しては、実際にミネソタ大学のsafeUalertシステム担当と話をしています。他にも、エリア限定的という強みを活かして、商業施設やテーマパークなどの案内システムにも展開していくことが可能だと考えています。
これらのサービス拡大を達成するために、まずは母校である広島大学構内で検証を重ねることで、サービスをより良いものに変えていきます。

最後にDemo Dayを見に来る方々に向けて、一言お願いします!

もし、Demo Day会場に来る際に少しでも迷った場合は、本チームにお声かけください。

お問い合わせ先

広島大学 オープンイノベーション本部 産学連携部 スタートアップ推進部門
TEL : 070-1542-7123
Mail:psi-office※ml.hiroshima-u.ac.jp(注:※は半角@に置き換えてください)


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