第11回 Salla Salmelaさん(フィンランド)

名前:Salla Salmela (サラ・サルメラ)
年齢:22歳
国籍:フィンランド
プログラム:HUSA(教育学部)
趣味:スポーツ、読書、音楽、映画
将来の夢:ジャーナリスト
初めて覚えた日本語:コーヒーを下さい。

『留学生インタビュー』バックナンバー

今日はお越し頂き有り難うございます。ではサラさん、まず日本を選んだ理由は何ですか?

フィンランドの大学(University of Jyvaskyla)ではジャーナリズムを専攻していて、特にアジアを専門にしたいと考えているからです。それに、ずっと日本語と日本文化に興味を持っていました。

どうしてジャーナリズムに興味を持ったのですか?

興味はずっと前からで、自分でもよく覚えていません(笑)。でも一つだけ確かなことは、自分が色んなことに関心があり、色んな人と出会うのが好きな事だと思います。それに、書くことが好きなので、ジャーナリズムは全てにおいて性に合っている気がします。

特に、アジアを専門にしたいということですが。

ええ、ここのところずっとアジアに興味を持っています。どうしてアジアなのかを考えた時、「母国(フィンランド)にアジアの専門家が少ないから」かもしれません。だって、自分のキャリアに新しい扉を開くことに繋がるかもしれないでしょう。

アジアに関心を持ち始めたのは、やはり魅力的な文化があるからです。勿論、アジアとして一つの文化があるわけではないのですが、エキゾチックです。でも、何となくフィンランドの文化と通じる部分もあるんですよ。

例えば?

そうですね、他のスカンジナビアの国々の人と比較したとき、「フィンランド人は大人しい」と言われます。そして、初めて会ったばかりの人に対して、余り心を開きません。初めはとっつきが悪いようですが、いったん親しくなると、いつまでもずっと友達です。

日本の文化にも、似たような面を感じます。日本人は礼儀正しいですが、それではまだ友達とは言えないですよね。でもいったん友達になると、本当に親しくなる。そこが共通点です。

そうですね。ところで、どうして広島大学を選んだのですか?

実際、出身大学から(広大に)派遣されてきたのは、私が初めてです。よって、前任の学生から情報を得ることも出来ませんでした。でも、いつか留学したいとは思っていました。そこにこの新しいプログラムが出来たことで、留学のチャンスが訪れたのです。すぐに申請し、運良く(!)許可されました(笑)。

サラさんの大学は、アジアの他大学と何か交流プログラムをもっていますか?

私の知る限りでは、中国、韓国、タイとプログラムがあるようです。でも、以前から日本語の授業をとっていたので、日本語をもっと学びたいという気持ちもあって、広大に来ました。

フィンランドの日本語教育は広大と比較してどうですか?

来日したとき、日本語の教え方というのは、「先生が何かを喋って生徒が繰り返す」方法でした。それを何度も何度も繰り返すのですね。

でも、フィンランドでは何というか・・・、先生が質問をして生徒が答えるとか、文章を作るとか、そ んな感じでした。ペアで作業したり、話す機会がもっと多かったように思います。

授業はスピーキング、リーディング、リスニング、ライティングを一つにまとめた総合的なものでした。ここでのように、それぞれ個別の授業ではありませんでした。

広大に来る前、どれくらい日本語を勉強したのですか?

日本語は専攻でも第2専攻でもなかったので、自分に時間があるときだけ日本語の授業をとることができました。他と重なる時は、授業には参加出来なかったので、私の日本語は本当に未熟でした。

でも、今では随分良くなったと思っています。授業だけでなく、日本にいるからだと思います。フィンランドでは、漢字の読み書きは勉強しますが、授業が終わると漢字を目にすることもありません。日本では至る所で漢字を目にするので、生活そのものが日本語の上達を手助けしていると思います。

分かります。広大の授業でこうなって欲しいというようなものはありますか?

日本人学生と留学生が一緒に受けられる授業がもっと欲しいです。私の知る限り、そのようなコースは余りないと思います。それに、仮にそういうコースがあったとしても、日本人学生が本当にとっても少ないのです。それに、2~3回授業に参加したあと、コースを止めてしまいがちです。どうしてかは分からないのですが・・・。でも、全体的には、かなり満足しています。そのために来たのですから(笑)。

広大または日本について、何か驚いたことなどありますか?

勿論沢山ありました。来日した昨年の9月から大分経って、そういう驚きも既にどこかへ行ってしまいましたけど。でも、沢山の宿題があって、実に厳しく体裁を整えなくてはなりません。些細なミスがあった場合でも、再度やり直すよう突き返されます。最初はそれで少しストレスがたまりましたが、今は慣れました。フィンランドでも「お役所的」なところはありますが、日本ほどミスをした時に厳しくはありません。でも、一番驚いた事は、自分が考えていたよりもはるかに「日本が暮らし易い」ということです。

日本もしくはアジアは今回が初めてですか?

ええ、日本に来たことはありません。休暇でタイを訪れただけです。だから、今回が本当にアジアを垣間見る初の機会だと言えると思います。

来日してみて、自分がフィンランドにいる時と同様に物事をみていることに気付きました。また、フィンランドの文化がもっ とよく見えるようになったと感じています。例えば、国に帰ると、私は多数派の中の一人です。でも、ここでは自分が少数派です。

フィンランドは日本同様単一 民族国家なので、「フィンランド人でない」場合はすぐに分かります。移民はさほど多くないですからね。でも、ここに来て、移民の人達がどんな風に感じてい るか(少数派であること)が分かるようになったと思います。

つまり、フィンランドに居れば自分がフィンランド人なので、少数派であることがどうだとか真剣 には考えなかったと思います。でも、日本での経験のお陰で、自国に戻った時これまでとは違って、自分が何をすべきかが分かりました。

まさに開眼するような経験だったようですね。経験といえば、HUSAについてはどうですか?

大変満足しています。ここに来てすぐに寮に入りました。オリエンテーションは着いた日の翌日、その後授業が始まりました。HUSAは、とても整ったプログラムです。大抵の事柄が学生の為に手配済みで、ほとんど心配は要りません。

このプログラムで得たことは何かありますか?

自信です。日本人だけでなく、世界中から多くの人と出会いました。彼らが私に与えた影響と異なる価値観の交流は、本当に大きな意味を持ちます。

それを聞いて嬉しく思います。日本は世界中で人気が集まっています。広大にこれほど多くの留学生がいる理由の一つでもあるのですが、フィンランドでの日本のイメージはどうですか?

若い世代には、アニメを観たり漫画を読んだりするのが人気ですね。日本をポップカルチャーの発信地としてみています。年配の世代は、経済や電化製品を連想するでしょうね。日本はとにかく遠く離れていますから、とてもエキゾチックです。

日本へのイメージは変わりましたか?

日本も、他の国々と一緒です。一般の暮らしをみてきたことで、もはやエキゾチックな存在ではなくなりました。来日する前の日本に対する“夢見がち”なイメージよりも、今の自分の認識の方が好きですけどね。

今後サラさんに続くフィンランドの学生たちに、何かアドバイスはありますか?

心を開くこと!内に閉じこもっていると、周りにいる人も殻を閉ざしてしまいます。だから、積極的になって友達をつくることです。新しい価値観にも心を開き、冒険として受け入れることです。小さなことにくよくよしないで、前向きな姿勢である限り、全てが上手くいきます。日本でホームステイや旅行を経験しましたが、大事なことは色々な人とのふれあいでした。誰かから「○○に行きなさい」と言われたら、まずは行ってみて、ひとつひとつのチャンスを受け入れることです。

一年だけの滞在ですからね!これまで日本のどこを訪れましたか?

広島周辺、大阪、京都、神戸、東京などです。神戸は本当に素敵な街で、観光し易かったです。東京はメトロポリタン(国際都市)で、この手の場所が私は好きです。沢山の人も煩わしいとは思いません。今とは全く逆ですが・・・。東京は活気があって、本当に気に入りました。自分は都会志向ですが、時々無性にハイキングに行きたくなります。フィンランドは、人よりも木の方が多いですからね!首都ヘルシンキの一番高いところに登ると分かりますよ。街の中心部でさえ、本当に多くの森に囲まれています。

東京とは随分違いますね。ちょっとジャーナリズムに話を戻しますが、日本語の新聞など読んでいますか?

日本語では読んでいませんが、ジャパンタイムズやオンラインの英語版ニュースは読んでいます。

フィンランドのジャーナリズムとの相違点や類似点はありますか?

日本語のニュースは、情報源に政府発表などを多く使っているように思います。政府側が何か発表すると、一言一句記録されますね。でも、フィンランドでは、記者が取材に出て、政府発表に対する一般大衆の意見を聞くように思います。勿論、日本のメディアでも同様のことが行われているとは思いますが、それが多いかどうか・・・は分かりません。政府から一般大衆へ向けたニュースが多いように思います。

ニュースの中で、何に一番興味がありますか?

そうですね、一般ニュースですね。娯楽関連部署で働いたことがありますが、娯楽・文化関連のニュースも良いのですが、一般ニュースに従事していると、読者にとって役立つ事をしていると感じます。

夏場だけは、新聞社で働いていたんですよ。今も、ちょうど大学近くにあるフィンランドの新聞社に、日本に関するコラムを出してきたばかりです。自分が出会った人、聞いたこと、日本に関する自分の考えなどを書いています。

それは素晴らしいですね。読者はきっとサラさんの次の号を楽しみにしていることでしょう。最後に、日本人学生もしくは留学生に何かアドバイスはありますか?

日本人学生の多くが「英語は苦手」と言いますが、実際に話を見てみると、実はとても上手だということが分かります。自分にとっても、英語は母国語ではありません。だからミスもしますが、それを気にしたりしませんし、他の人のミスも気になりません。

自分が日本語を話したら、必ずミスをすると思いますよ。ひどいミスをね!だからといって、日本人学生が私を冷たくあしらうこともなかったですよ。だから、ミスを恐れる必要はありません。私達みんな同じ学生で、人生の同じ場所にたっているのですから。怖がらないで。

私はミスをいつもチャンスだと思っています。留学生の友人をつくる最高の時期は、新入生が入った直後です。なぜなら、私達はみんな、古い友人を見送り、新しい友人を必要としているからです。だから、気軽に“ハイ!”と声をかけてもらえると嬉しいです。

いいアドバイスですね!これで今日のインタビューは終了です。有り難うございました。日本での残りの時間を楽しんで下さいね。

ありがとう!

留学生からの一言!

広島大学は…心地いい!

留学は…冒険。


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