第20回 アレクサンダー・レッドマンさん&山根圭輔さん

「友達をつくって!」

名前:アレクサンダー・レッドマン (写真右)
国籍:アメリカ
専門:アジア言語・文学
所属:HUSA

名前:山根 圭輔 (写真左)
国籍:日本
専門:言語学
所属:総合科学部
趣味:旅行、ランニング、ドラマ観賞    
            
『留学生インタビュー』バックナンバー

 

第20回にあたる留学生インタビュー。今回は、海外留学した日本人学生と一緒にインタビューしました。

今日はインタビューを受けて下さりありがとうございます。 まず圭輔さんに伺いたいと思います。HUSA(Hiroshima University Study Abroad Program)プログラムによりミネソタ大学で勉強されたということですが、どうして海外に行こうと思ったのですか?

圭輔:はい、ずっとアメリカに興味がありました。例えば子どもの頃からハリウッド映画が好きでした。それで高校生の時に素敵な英語の先生に出会ったんです。彼の授業はとても楽しくて、惹きつけられました。彼のような英語の先生になろうと決めました。でも高校を卒業すると、気持ちが変わり、英語を使って海外で働いてみたいと思うようになりました。また、高校生の修学旅行で上海に行ったのですが、それが最初の海外経験で、違う文化の人達と話すのがとっても楽しかったんです。英語を身につけるには、初めて経験することに興奮したり、外からの刺激を受けることが必要だと気づき、日本を飛び出て海外に挑戦したいと思うようになったのです。そしてHUSAプログラムに参加することにしました。

なるほど、ではどうしてミネソタ大学にしたのですか?

圭輔:2年前に ミネソタ大学から来たHUSAの学生に会ったのですが、留学するならミネソタを選ばない手はないというぐらい、彼からミネソタ大学について情報をたくさんもらいました。

ミネソタではどんな所に住んでいたのですか?

圭輔:学生寮に住んでいました。

アレックスさんは、学生寮は知っていますか?

アレックス:もちろん、僕もそこに住んでいたから。1年生の時同じ建物でした。

同じ建物だったんですか?ではお互い知っていたんですか?

圭輔&アレックス:ええ、既に友達同士でした。

そうなんですね!ミネソタでの生活はどうでしたか?ミネソタに行った事がないのですが、冬は寒いというのを聞いたことがあります。

圭輔:はい、とっても寒いです。立っていられなかった(笑)

そんな天候でどうやって生活しているのですか?

アレックス:ミネソタでは、みんなジャケットとブーツを身につけています。雪が降って1メートルも積もっていました。それにトンネルがあって、あらゆる建物の地下で繋 がっているんです。たまに本当に寒いときはトンネルを使っていました。極端に寒いときは学校も休校になっていました。そんな時に外出するのは危険でしたか ら。そんなこんなで生きていました。でもアメリカでは建物の中はセントラルヒーティング(暖房)が効いていたので、暖かかったです。教室ではズボンではな く、短パンでもよかったぐらいです。

圭輔:トンネルを使うと、よく道に迷ったけどね。(笑)それに病院などを通らなければいけなくて迷いやすかったから、あまり使わなかった。

ミネソタでの食事はどうされていました?

圭輔:料理はというと、 とっても違うものでした。寮にいると食堂で食べなければならず、食事券を買う必要があった。だからお昼とか夕食とかはよく食堂で食べました。そこのフライドポテトが美味しかった。ビュッフェスタイルだったので、食べたいものが食べられました。おかわりもできたし・・・

アレックス:2杯目、3杯目、何杯でも・・・

圭輔:そう、簡単に太っちゃう。

アレックス:サラダバーもあったし、スープも。ヘルシーなものもあった。でも大半は僕みたいに(そういうのは)食べない。

ミネソタで日本食は食べられましたか?

圭輔:はい、キャンパスの周りに日本食レストランがいくつかありました。高かったからそんなには行かなかったな。でもミネソタに10年とか15年とか住んでいる方々が組織しているJapanese Student Connection(ミネソタに永住しているか長期滞在している日本人のグループ)があって、日本人学生の生活などを支援して下さいました。(その中で)日本食も1ヶ月に1回は食べられました。

アレックス:そうそう。 圭輔はユナイテッド・ヌードルには行かなかった?アジア料理の店があるところ。日本のお菓子のようなインスタントラーメンのようなものが食べられた。

圭輔:行った!行った!

ミネソタ大学では何を勉強されたのですか?

圭輔:僕の専門は言語学。ミネソタ大学でも言語学の授業やESL(*)の英語の授業を取りました。言葉の勉強が好きなので、中国語の授業も取りました。
*ESL:English as Second Language

もちろん授業は英語ですよね。どのように頑張ったのですか?

圭輔:そうですね、先生が何を言っているのか分からなかったし、授業の前後に教科書を読まなければならなかったんですが、教科書を読むのも難しかった。とにかく時間がかかりました。教科書を読むときは単語を一つ一つ辞書で調べました。でも同じ単語が出てくるので、暫くしたら、スムーズに読めるようになっていきました。次第にネイティブの方の話す速さにも慣れていきました。でも最初は本当に大変でした。

学生を支援してくれるチューターやボランティア学生はいなかったのですか?

圭輔:もちろん、国際バディプログラムという相棒のようなパートナーがいて、いつも助けてくれました。ミネソタ大学に行くために申請していたときから助けてくれた学生もいました。彼女は授業期間が始まる前にホストファミリーを紹介してくれました。ホストファミリーの家に滞在していたのですが、彼らは私にまるで息子のように接してくれました。

ミネソタ大学は世界でも教育・研究でとても有名なトップの大学の一つだと思うのですが、世界中から多くの学生が来ていたんじゃないかと思います。たくさんの留学生に会いましたか?

圭輔&アレックス:特に中国と韓国からの学生が多かったですね。

キャンパスの多様な環境というのは如何でしたか?

圭輔:とても面白かったですよ。みんな別々の見方をしていて別々の習慣がある。それが面白かったです。広島大学ではアメリカからの学生は少ないですよね。キャンパスはここよりも広かったと思う。

アレックス: 5万人の学生がいます。だから巨大なキャンパス。

日本人の学生は何人かいましたか?

圭輔:そんなにいなかったですね。多分、20 か 30人ぐらいでしょうか。

アレックス:ずっとアメリカに住んでいる日本人学生や日系アメリカ人は何人かいました。でも日本からの1年間の交換留学生はいつも15人前後ですね。

圭輔:少ないですよね。

アレックス:少ない。だから英語を学ぶには理想的なんです。

アレックスさんは日本語をとても流ちょうに話しますが、いつ勉強されたのですか?

アレックス:高校のときに始めました。4年間勉強しました。それで大学に行ってアジアの言語と文学、特に日本語を専攻しました。大学では、もう一度あいうえおの初級から勉強しました。高校時代に勉強しているので、ちょっと無駄になったかな。そうでなければ、もっと上手になっていたはず。

どうして日本語の勉強に興味を持ったのですか?

アレックス:6年生のときに、千葉から交換留学でアメリカに来た子がいたんです。彼は超クールで超優しくて。僕の親友なんか日本語が流ちょうに話せてコミュニケーションを取っていた。それが羨ましかったんです。僕も彼と喋れたらいいなと思っていました。こんなのフェアじゃないって。それが元で、「日本語を勉強したい」と思うようになりました。 だって面白そうだったから。それで、高校生になって日本語を始めたのですが、教員交流で外国から来られた2人の先生と話す機会が持てました。高校時代の先生も大好きで、彼女は自信を与えてくれる本当に楽しい人でした。ミネソタ大学に進学したのは、彼女が勧めてくれたからです。

そうなんですね。ミネソタ大学では何を専攻したのですか?

アレックス:アジアの言語と文学で、特に日本語です。そしてESLもです。

ミネソタにいても日本についてたくさんの情報が得られるし、日本人との交流も可能ですよね。実際に日本に来られたのはどうしてですか?

アレックス:日本には3回来ているんです。1回目は本州を旅行しました。それで日本が大好きになりました。ホストファミリーも大好きでした。彼らは超優しかった。料理も美味しかった。ここの人たちを僕は尊敬していて、また戻ってきたいと思いました。2回目は昨年の夏だったんです。福岡で英語を教えました。それがまた楽しくて、日本の生活スタイルが更に更に大好きになったんです。また戻ってきたいと思いました。広島大学で勉強したセンパイがいろいろと教えてくれて、広島で勉強したいと思うようになりました。勉強に自信をつけてくれたんです。また教授も「日本で勉強した方がいい、良いプログラムがあるよ」と行ってくれたんです。

西条に着いたとき、どんな事を感じましたか?  

アレックス:西条…。大学って広島市にあると思ってた。だからみんなが「広島市じゃないよ、西条だよ」って言うのを聞いてびっくりしたんです。ここは本当に気に入っています。だって、英語を話す人がそんなにいなくて、日本語を話す機会が多いから。東京じゃなくて、ここに来たかったんです。

西条での生活を始めたとき、何か不安はなかったですか?

アレックス:それは少しあったけど、幸運にも圭輔っていう友達がいるのを知っていたからラッキーでした。日本人の友達もいっぱいいるので、分からないことがあったら、質問できるし、みんな助けてくれます。

HUSAでの経験はどうですか?

アレックス:HUSAプログラムは本当に素晴らしいです。他の留学生と日本語の授業を一緒に受けるのは楽しいし、授業も僕にとってちょうどよいレベルの内容でした。(授業は)挑戦するに値するし、それでいてリラックスした雰囲気です。

日本人学生が受けている授業にも出てみましたか?

アレックス:はい、いくつか受けました。今受けている授業は、半分が日本人学生です。授業はほとんど英語なんですが、日本人学生が分からないときには、日本語に切り替わります。多くの日本人の友達に出会ういい機会で、楽しいです。

広島大学で面白い授業はありましたか?

アレックス:面白い授業…、僕は教育学の授業が楽しかったな。堀田泰司先生(国際センター国際教育部門 准教授)の授業です。先生は僕みたいな若輩者とも意見を交換してくれました。将来は英語の先生になりたいから、(堀田先生と)日本の英語教育について、何が良くて、何が課題になっていて、どう変わっていくのかなど、たくさん話をしました。先生は地位もあり尊敬されている方だから、そんな話ができて、すごくよかった。
あとは、日本語の授業は大好きです。

そうなんですね。放課後の西条での生活はどうですか?

アレックス:放課後の時間はいっぱいあるので、友達と連れ添ってカラオケに行っています。
バスケットボールとバレーボールのサークルにも入っていて、日本語を話す機会になっています。みんな英語を話さないようにしているので、それがとっても楽しい。

それは面白いですね。では圭輔さん、ミネソタ大学でのHUSAに参加して得たことは何かありますか?

圭輔:英語の能力が更に身に付きました。HUSAプログラムのおかげで、以前に増して英語を話せるようになりました。

アレックスさんは広島大学で何かを得ましたか?

アレックス:日本語の能力が伸びました。 僕はそんなに勉強しなかったけど、友達と連れ添って日本語を話すことが勉強になっていた。将来のための友達を持てて幸せです。日本に戻ってくるつもりだから、友達を持つことは大切なことですよね。

圭輔さんは今4年生ですが、将来はどうされますか?

圭輔:もう既に内定を頂いていて、来年から東京で働きます。海外で展開している仕事なので、きっと海外に行くチャンスがいっぱいあると思います。

アレックスさんはどうですか?

アレックス:僕は(ミネソタ大学での)卒業までもう一年あります。できればJETとして日本に戻ってきたい。または、ミネソタ州にはJET(*)と同じような特別プログラムがあって、千葉県で勉強することが出来るのですが、千葉は都会だし、まだ分かりません。
*JET:The Japan Exchange and Teaching Programmeの略。

ありがとうございます。最後の質問ですが、留学したいという日本人学生に何かアドバイスはありますか?

圭輔:そうですね、まず、日本人学生には広島大学で英語を使ってほしい。私もアメリカに行ったとき、英語を話すのがとっても難しかった。みんなが何を話しているのか分かったけれど、自分の気持ちを伝えることができなかった。ここでは英語を使うチャンスがいっぱいある。だから特に英語を話すようにしてほしい。引っ込み思案な性格に打ち勝つためにも、実際にネイティブの人と話すことはとても大切ですよね。

アレックスさんも、日本に来たいと思っている留学生の人にアドバイスをお願いします。

アレックス:日本に来るなら、絶対に友達を作って下さい。勉強するだけならそんなに難しい事じゃないだろうけど、時間を無駄にしないでほしい。絶対に、友達を作って、部屋に閉じこもっていないで。それに日本に来る前に勉強しておくのも大切。日本の人と話をすることを恐れないで。みんな貴方と話したがっているから、そんな中に入っていって。クラブやサークルに入ったりするのも友達を作りやすくて、日本語を学べるからお勧め。一番言いたいのは、日本語を使うようトライしようってこと。間違いなんか恐れずに。それが勉強の近道。失敗から学ぶんだから。

とてもいいアドバイスですね。ありがとうございます。

圭輔・アレックス:ありがとうございます。

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ミネソタにて(1)

ミネソタにて(1)

ミネソタにて(2)

ミネソタにて(2)

HUSAの仲間と

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