Home“広島は私の第二の故郷”
本日は取材させて頂き、ありがとうございます。なぜ日本に留学しようと思ったのですか？
もともと日本の文化などに興味があったこともありますが、その当時、将来的に日韓関係の改善に貢献したいという思いがあって、日本の大学で勉強すれば、語学だけじゃなく日本の社会をより深く理解できると思い、留学を決めました。
広島大学を選んだ理由は何ですか？
国立大学に留学するには、日本留学試験の他に、英語の試験としてTOEFLを受験しなくてはならない場合がほどんどです。私は英語の試験はTOEICしか受験したことがなかったので、TOEICでも受験できる大学を探しました。そのTOEICと留学試験の成績から、進学可能な大学の中では広島大学が一番いいなと思ったというのが正直な理由です。それに、広大は他大学と比べて学部あたりの留学生数が少ないと聞きましたので、韓国の学部留学生が少ない大学を希望していた私には最適と思い、広大に決めました。
入試に向けての準備などは大変でしたか？
はい。広大の場合は、日本留学試験の他にTOEICかTOEFLの試験や口述面接を受けなくてはならなかったのですが、その口述面接の対策に関する情報が入手できなくて大変でした。韓国人学生の多い大学の場合は、塾やインターネットで試験や面接についての情報を手に入れることができますが、なぜか広大の情報はまったく見つかりませんでした。合格することができてよかったです。
韓国のどの地方の出身ですか？
ソウルです。
あの大都会から、この静かな西条へ来られたんですね。
はい、初めて来た時は驚きました。「広島」というと広島市内をイメージしていましたから。受験の時も広島市内のホテルに宿泊して、バスで広大まで来たんですが、何だかどんどん山奥に入っていって、バスを間違えてしまったのかと思い緊張しました。一時間も経ってやっと着いて、降りてみたら・・・そこは西条だったというわけです（笑）。
入学後は寮生活だったのですか。
はい、出来たばかりの新しくてきれいな寮でした。一年しか住めなかったのが残念でしたが、安くてよかったです。
買い物はどこでしているんですか。
近くのショッピングセンターです。日本で売っているものって、便利なアイデア商品とか可愛いものが多くて楽しいですね。
日本にあるサービスや物で、韓国にもあればいいな、と思うものはありますか。
日本の宅配サービスは、すごく便利だと思います。配達時に不在の時は、次に配達してほしい日だけじゃなく、「午後六時～八時まで」といった時間まで指定することができますね。韓国ではそういったサービスがあまりないので、荷物が届く日には自宅で待っていなくてはなりません。
あと、おもしろいのは、居酒屋の「飲み放題」ですね。あれも韓国では見たことがないです。韓国人はお酒が強いので、韓国であれをやると、お店がつぶれてしまうからかもしれませんけど（笑）。
友達とのつきあいやサークル活動などについて教えてください。
サークル活動には、残念ながらあまり参加できなかったのですが、私はもともと社交的なほうで、大学では良い友達に恵まれたと思います。例えば、入学時にはオリエンテーション・キャンプというイベントがあるのですが、そこでたくさんの友達ができました。その友達と飲み会や遊びに行ったりしています。オリエンテーション・キャンプに２年生として参加したときには、２年生４～５人くらいと１年生５～６人くらいで構成される班が２４班あって、その２４班全体の代表のような役目もつとめました。何か思い出になりそうなことがしたくて自分から立候補したんですよ。
留学生向けの大学紹介DVDの制作にも携わられていますね。あれも自ら進んで？
いいえ。あれは頼まれて、私で役に立つならと思い、お引き受けしました。大学院だけでなく学部を志望する海外の人たちにも、もっと広大の良さを知ってもらいたいですね。
なるほど。ところで、韓国と日本の学生生活に大きな違いはありますか。
はい。日本では友達の多くがアルバイトをしていて、日本の子たちは自立しているんだなと思いました。韓国の大学生の中にもバイトする子はいますが、家庭教師以外のバイトは時給があまり高くないこともあり、そんなことをする暇があったら勉強しなさい、と親に言われるんです。
勉学優先ということですか。
はい。というのも、韓国で良い条件で就職しようとすると、日本よりも圧倒的に環境が厳しいのです。韓国では主に大企業に人気が集中しますから、競争は熾烈です。ですので、ほとんどの学生が４年で卒業し就職する日本と違い、韓国ではいったん休学して留学するとか、就職に有利な資格の取得に励む学生が多いです。韓国で就活する子たちは大変だなあと思います。
なるほど。法学部での勉強はいかがでしたか。
実は、もともと法律よりも政治に興味があったのですが、いざ入学してみると、民法や刑法などの法律の授業が中心で、ついていくのが大変でした。正直、楽しむ余裕なんてまったくなくて、テキストも専門書も、内容をひたすら暗記するので精一杯でしたね。
日本語で授業を受けるのは、難しかったですか？
はい。韓国で勉強した丁寧な日本語と違って、日本に来てからは方言とか、いわゆる「生きた」日本語を話す先生方の授業でしたので、うまく聞き取れないこともありました。
私も来日して間もない頃には「しかし」とか「そして」といった、韓国で使っていた日本語の教科書にあるようなフォーマルな書き言葉を会話の中で使っていましたが、それも徐々になくなり、より自然な会話ができるようになりました。
来年からは、日本の企業で働くことが決まっているのですね。
はい。日本での経験や日本語を生かしたいということもありますし、現在は日本の企業から奨学金をもらって勉強しているので、日本の企業に貢献して恩返ししたいという気持ちが強いんです。そのために、人々に与える影響力が大きい、銀行や通信会社みたいな所で働きたいという思いを胸に、就職活動に励みました。幸いにも、日本の通信会社から内定をいただくことができました。
就活を振り返ってみて、どうですか。
そうですね、面接の前にエントリーシートを書いたり、テストの勉強をしていた期間が一番つらかったですね。むしろ面接が始まってからは、もともと人と話すことが好きなので、これといった苦労は感じませんでした。ただ、「させていただきます」といった、韓国にはない日本独特の敬語には少し苦労しました。それにしても、日本の就活は身だしなみに厳しいですね。ボタン二つのスーツを着て、カバンは床に置いて倒れないものでないとダメだとか（笑）。
就活も終わった今、一番したいことは何ですか。
遊びたいです（笑）。しかし、英語の勉強をしたり、通信会社に必要な資格を取得したり、やりたいことはたくさんあります。
そうですね。ところで、これから留学したいと思っている学生たちに何かアドバイスをいただけますか。
留学したいなと思ったら、勇気を出して行動に移してほしいです。それと、来たからには、何があっても、あきらめずにやり通してほしいと思います。友達や後輩の中には、実際日本に来てみて、想像していたのと違ってがっかりする人とか、こんなはずじゃなかった、韓国へ帰りたいと言う子もいます。しかし、学生生活すべてに満足できる留学なんてあり得ません。挑戦に挫折はつきものだと思って、うまく心のバランスをとって、前向きにやっていってほしいです。
あとは、学びたいことの計画を具体的に立ててから留学することですね。私は、政治に興味があって法学部に入りましたが、実際は法律の勉強がほとんどで、ついていくのに苦労しました。もちろん、それで得たものはたくさんありますが、できれば、私のような苦労を後輩には味わってほしくないです。
将来の目標について聞かせて下さい。
はい。私自身のアイデアで新しいサービスを開発して、日本の地方を、まずは広島や西日本から、盛り上げていきたい。それが私の夢です。
というのも、私は広島魅力発信メッセンジャーとして、広島の魅力を海外に伝えるために、パンフレットやホームページを作成したりといった活動を、県庁の方々などと一緒にやっていて、その活動のなかで色々な方々にお世話になりました。そういった方々に精一杯の恩返しをしたいという思いがあります。
入社後、まずやってみたいことは何ですか。
先の繰り返しになりますが、私が希望している部署はサービス開発なんです。文系なのにサービス開発？と思われるかもしれませんが、文系でもできます。ちなみにこの部署は、自分のアイデアで、インターネット通信に関連のある新しい商品を開発することができる部署です。そこで、地方を盛り上げることにつながるアイデアを出していきたいと考えています。
では最後に、ここまでの学生生活を振り返ってみて、何かコメントをお願いします。
私は、広島という地方に来て良かったと思います。東京などの大都市に留学した友達は、留学先の大学を誇りに思うことはあっても、そこの地元に対して私ほどには「地元愛」を感じないようです。しかし、私にとって広島は第二のふるさとです。入社して最初の配属先は、おそらく出身地や大学所在地以外の所になると思いますが、お世話になった広島の皆さんの恩に報いるためにも、そこで精一杯がんばります。そしていつか、必ず広島を盛り上げます！
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鳥取砂丘にて
「とうかさん」にて、浴衣姿で
世羅高原農場にて
カープ最高！
