第8回 ギュル・チャクマクさん(トルコ)

「留学は勉強だけではない」

名前:ギュル・チャクマク
年齢:24
国籍:トルコ
プログラム:HUSA(短期交換留学)(大学4年生)
趣味:水泳、読書、旅行、写真

『留学生インタビュー』バックナンバー

今回はトルコからの初めての広島大学短期交換留学プログラム(HUSA)学生である、ギュルさんにお話を伺いました。来日してまだ1年しか経たないにもかかわらず、ギュルさんはほとんどの学生が2,3年かけて経験する以上のことをやり終えています!ホームステイに始まり、旅行、宮島でのツアーガイドアルバイトやテレビ出演まで。彼女は非常に多忙な日々を送っています。そもそも何が彼女を日本へ導いたのでしょうか?なぜ彼女はテレビに出演することになったのか?その答えと続きは留学生インタビューで!

今日は取材させて頂き、ありがとうございます。早速ですが、ギュルさんが日本に留学するきっかけは何だったのですか?

私は大学で5年間日本語を勉強していたのですが、授業でしか日本語を話さなかったので、日本に来たら、今まで習ったことを日常的に使えるようになると思ったんです。日本語は喋らないと上達が出来ませんからね。

そうですね。広島大学を選んだ理由は?

実は私、HUSAでは初めてのトルコからの参加者なんです。最初は修士課程に入ろうと、別の大学に応募したんですが、人数がすごく限られていて、残念ながら入学できなかったんです。ちょっと落ち込んだんですが、これが機会になって、HUSAプログラムに参加することになりました。広大に留学する前に、1回短期留学で日本に来たことがありました。その時、広島大学を見学することがあって「いい大学だな」という印象を持ったので、安心して留学を決めました。

なるほど。HUSAのプログラムはどう思いますか?

とてもいいプログラムだと思います。でも最初はちょっと不安で緊張しました(笑)。HUSAのパンフレットやプログラムを見ると、アメリカやアジアからの留学生が多かった。同じヨーロッパからは少なくて、トルコからは私1人でした。留学生どうしだと英語で喋りますが、困った時はやっぱり同じ国の留学生と母国語で相談したいですよね。なのに、トルコ人は私だけだったので、どうしよう・・・?と思いました。でも、違う国の人々と友達になって、一緒にお喋りしたり、ご飯を食べたりすると色んなこと学びました。ほとんど毎日新しい発見があります(笑)。

「とてもいいプログラムです!」

いいですね。日本語を勉強するきっかけとは?

トルコでは、高校の1年生で教養教育を受けて、2年生になると、自分が勉強したいことを専門的に勉強するのですが、私は言語学を選びました。その時は英語の勉強を始めた所で、大学の入学試験も英語で受験しました。中学生の時からずっと英語を勉強してきたんですが、英語の先生になろうとは思いませんでした。大学ではもっと色んな言語を勉強したいと思っていました。英語は世界の共通語みたいなものなので、どうしようかと迷いました。その頃、トルコと日本との関係が近くなってきていたこともあり、日本文化や漢字に惹かれて、日本語を勉強してみようと決めました。これまでずっと5年間、英語を勉強してきたのに、いきなり日本語?!とみんなびっくりしましたね(笑)。「卒業したら日本語でどうするの?」とか言われましたけど、今トルコでは日本語ができるとトルコの日本企業に就職ができるので、「日本語を勉強すればよかった」という人が多くなってきています。

ナイスチョイスでしたね、ギュルさん(笑)。来日してからご自分の日本語は上達しましたか?

はい。授業で日本語を勉強しますが、多くの勉強はキャンパス外で(笑)。みんなと一緒に旅行したり、日常的に日本語を使ったりしているので、すごくいい勉強になりますね。来日前はとても緊張して、あまり話せなかったけれど、今は緊張せずに話せるので上達した気がします。

日本は何回もいらっしゃったことがあるとおっしゃいましたが、毎回どういう印象を受けますか?

トルコの大学で日本文化や社会についての授業を受けていたので、そんなにびっくりしたことはないですね。向こうの日本語教育プログラムに、長い間日本に住んだことのある1人のトルコ人の先生がいて、日本での経験をよく話してくれていました。だからすぐに馴染めましたし、印象は良かったです(笑)。でも西条は私の故郷に比べたら、確かに田舎ですね。田舎だけど、広大のキャンパスは広くて、学生も多くて・・・周りに友達がいっぱいいるから、毎日が楽しくて田舎だという気はしていません。ただ、お正月は友達と違って、どこも行かずに西条にいたので、あの時は「田舎って寂しい」と感じました(笑)。キャンパスがもっと都会の方にあればいいのになって。

留学生にとって、友達が家族代わりになりますよね。広島大学の留学生として、どんなことを経験しましたか?

たくさんありますが、友達や先生と一緒にお祭りに行ったり、ホームステイに参加したり・・・イベントがあれば、私はどんなイベントでも参加します(笑)。特にホームステイが楽しかったです。ホームステイ先の家族は小さい子供がいたので、一緒に遊んだりはしゃいだりしました。おかげでとても楽しいホームステイでしたけど、2日間と短すぎました。でも大学2年生の時、4日間ホームステイの機会がありました。しかも広島市内で。トルコに帰国してからも、広島のホームステイ家族とずっと連絡をとっていました。だから日本に戻ることになった時、「ぜひ遊びに来て」と言ってもらえました。広島市内は西条から近いので、2〜3週間は家に泊まったりします。第2の家族みたいな感じです。ホームステイのお母さんとお父さんを「ママ」、「パパ」と呼びます(笑)。おかげで、トルコにいる家族は私のことを心配せずに留学に行かせてくれましたし、ホームシックにもなりませんでした。もしここで何かあったら、第2の家族が助けてくれるから。

とてもいい家族と巡り会いましたね。話は変わりますが、初めて広大に来た時はどうでしたか?最初は不安がありましたか?

プログラムには42人も参加しているし、チューターもサポートしてくれるのであまり不安はなかったですね。でも毎日どんな風に過ごせばいいか色々と悩みました。やることがたくさんありすぎて困りました(笑)。最初はバタバタしました。寮は、生活用品が何もなかったので布団もカーテンも全部買わないといけなくて大変でした!しかも部屋の大掃除も必要でした。あまりにもびっくりして思わず泣いちゃった(笑)。日本の人と買い物に行って、掃除用品や必要なものを全部買いました。掃除して、かわいいものや飾りを買って、部屋は大変身しましたが、最初はやっぱり「どうかな」と不安でいっぱいでした(笑)。

ギュルさんは寮でお料理されていますか?

寮のキッチンは人も多くて大変なので、ほとんど外食です。たまには自分で作りますが、食べるのは1人だけ。外で食べたら友達と一緒にお喋りができるので、その方が楽しい!お好み焼きやカレー、お寿司など、色んな料理が楽しめます。トルコではよく家で家族と食事しましたけれど、大学生になって、寮に住むようになると、外食が多かったですね。外食が多いけど、よく自分の国の料理を作って他の留学生と一緒に食べることがあります。これまで留学生7人に、トルコの定番料理を作りました。トルコの料理を楽しめたので、違う種類の料理を何品も出して、とても楽しかった!材料は家族が特別に送ってくれたものもあったので、本場の味でしたよ。「美味しい!」と好評だったので本当によかった(笑)。

私もトルコの本場料理を食べてみたい!(笑)話は戻りますが、ギュルさんが漢字や日本文化に惹かれたとおっしゃいましたが、どういうところが魅力的なのですか?

絵を描くことが大好きなので、漢字を書くのが好きです。絵を描くように考えたら、漢字を勉強することもとても楽しくなるし、身につきます。書道も大好きです。そして第2の家族の「ママ」が書道の先生だったので、書道のコツをよく教えてくれます。日本文化の体験もたくさんあります。大学2年生の時に松下電器産業株式会社(パナソニック)がスポンサーされた日本文化研修に参加して、生花も茶道を体験しました。すごく楽しかった!とてもリラックスできました。最後は松下電器産業株式会社の社長の方と一緒にお食事ができました。おしゃれで綺麗な服を着て、レッドカーペットを敷いた特別に準備された広くてスタイリッシュな部屋でした。すごく緊張しましたが、この食事会は一生忘れません。

とてもいい思い出が出来ましたね!では、将来はどんなお仕事がしたいですか?やっぱり日本語の先生ですか?

もし文部科学省から奨学金を頂けるなら、日本で勉強を続けたいですね。日本語の先生になれるチャンスがあれば、是非なりたいです。でもそれより日本の会社で働いてみたいです。今まで習った日本語を活かしたいですね。

ここまで日本語がペラペラに話せますものね!広大に来る留学生へのアドバイスは何かありますか?

できるだけ、恥ずかしがらずに、そして積極的に色んなことに挑戦して、経験することですね。授業で習うこともありますが、授業以外で人と触れ合うことだけでも学ぶことがたくさんあります。留学は勉強だけじゃありません。例えば、私はトルコではアルバイトしたことがなくて、家族からお小遣いをもらっていました。日本では、奨学金もありますが、アルバイトを探そうと思いました。その時、チューターの方から「もみじ」で宮島の観光ガイドのアルバイト募集のトピックを見て「やってみたら」と勧められました。

緊張しながら最初の面接をクリアしたら、次の面接はなんと4人の会社役員の方もいて、頭が真っ白になりました!「また連絡します」と言われた時、「きっと不合格」と思いました。広島市内を歩きながら携帯を何度もチラチラ見ました。数日してから採用の連絡を頂き、思わず「本当ですか?私でいいんですか?」と言ってしまいました(笑)。その仕事では色んな人と出会うことができました。とても忘れられない経験もありましたよ。それは、広島テレビで取材されたことです。

「できるだけ、恥ずかしがらずに・・・」

知っています!私も観ましたよ(笑)。

テレビにも新聞にも出たので、絶対に一生忘れない経験でした。取材はとても緊張しました。何を言えばか、どう答えたらいいか分からなくて頭がいっぱいでした。最初は広島テレビの取材だけではなく他の取材の方も来ると言われたんですが、きっとあまり来ないだろうなと思っていました。しかし、次の日に宮島口で取材者がカメラを持って待っていました。「ギュルさんだ!」とみんながパチパチと写真を撮り始めて(笑)。周りの人がとてもびっくりしていました。「この人誰?有名人?」と騒いでいました(笑)。一日中緊張しながら取材を受けました。テレビで放送があった直後、たくさんの友達から「テレビで観たよ!!」とか「テレビで何してたの??」という連絡を貰いました(笑)。今ではその仕事で「トルコのガイドさんですよね?ニュースで観ました」と言って頂けるお客様が多いです。アルバイトが入ってない日も「今日はトルコのガイドさんいないのですか?」と尋ねてくれる人もいるそうです(笑)。

完全に有名人じゃないですかー(笑)。そのお仕事は、具体的にどんなことをされているのですか?

宮島口のフェリーは2種類あるので、外国の方はフェリーがどう違うかとか、切符はどうやって買うかなど分からなかったりするので、私が英語で案内します。「Good Morning」と挨拶して、パンフレットを渡して、観光客のお手伝いをする仕事です。勿論日本人に質問されても、日本語で対応できますので、宮島の観光客を全体的にサポートしています。

性格の明るいギュルさんはガイドの仕事にぴったり!(笑)多忙で充実した日々過ごしているみたいですね。

毎日がとても楽しいです!(笑)

最後になりますが、他にもアドバイスがあれば、ぜひ。

そうですね、留学する前は誰でも緊張や心配をしますが、私もそうでした。でも、日本の人は本当に親切なので、何かあったら、協力して助けてくれます。そして日本語が出来なくても、英語が話せる日本人や留学生もたくさんいるので、あまり困ることはありません。ですから、怖がらずに、心配せずに日本に留学してみてください!かけがえのない経験や思い出がきっと待っています。

いいアドバイスですね。ギュルさん、本当にありがとうございました。トルコに戻られても、チャンスがあれば、ぜひまた日本にいらしてください!

はい!ありがとうございます!

酒祭りにて。

友達の誕生日パーティにて。

ホームスティ家族と一緒に。


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