ブラジル留学生活レポート(第3回)

2017年3月9日
社会科学研究科法政システム専攻
神代 貢志

 3月になりました。サンパウロ大学では新学期が始まり、新入生歓迎のイベントも開かれています。法学部では大講堂でバンドの演奏があったり、コーラス隊による国家斉唱が行われたりしていました。

 

カーニバル

 すこし時間を遡った2月の下旬はブラジル各地でカーニバルが開催されていました。日本ではリオのカーニバルが有名ですが、実はここサンパウロやその他ブラジル各地でも開催されており、地域ごとに異なる様式があるようです。大きく分ければ二つの形式があります。一つはエスコーラと呼ばれる大きな会場で山車や大掛かりな衣装と共に行進し、審査によって優勝者等が決まるもの。もう一つはブロッコと呼ばれる路上での行進です。打楽器隊も組織されていますが、一般人も各自思い思いの仮装をして行進に参加します。

 私は両方に参加したことがあります。前回留学時の2015年には、日伯外交樹立120周年をテーマに設定したアギア・ジ・オーロ(黄金の鷹)と呼ばれるチームに参加し、農民の格好で行進に加わりました。直接見ることはできませんでしたが、山車にはジーコが乗っていたそうです。

 今年は路上で遭遇したブロッコについて行進する程度でしたが、それでも打楽器の大音量は体に振動として直接伝わるほどの迫力で、「カーニバルのために生きている」とすら言われる人たちのエネルギーを直接感じることができました。

写真①:(2015年)アギア・ジ・オーロ本番直前。頭の上には野菜と果物が。打楽器隊やメインのダンサー達を含めて2000人ほどいたかな?この年は青森からねぶたの山車も参戦。

写真②:(2017年)あるブロッコの出発前の様子。彼らが行進を始めると、どこからともなく仮装した人達が集まってきます。行進ルートはgoogleマップで表示されます。

クリチバ連邦裁判所訪問

 個人的にはそのカーニバルよりも大きな出来事がカーニバルからさらに遡った1月末にありました。サンパウロの隣の州にあるパラナ州のクリチバ連邦裁判所に訪問し、セルジオ・モーロ判事とその同僚の方々にインタビューを行う機会に恵まれたことです。

 モーロ判事はブラジルのみならず世界経済に影響を及ぼしている巨大汚職事件「ペトロロン」の担当の判事です。汚職摘発への徹底的な姿勢とその辣腕から、世界で最も影響力のある10人にも選ばれています。そして、この汚職の捜査に用いられているのが司法取引と呼ばれる制度。これこそが私の研究テーマです。かねてからの疑問を直接ぶつけることができ、意見を伺うことができたことは大変な僥倖でした。間違いなく今回の留学のハイライトと言えます。このような機会を与えてくださった方々にはどれだけ言葉を尽くしても感謝の念を伝えきれません。留学生活も折り返し地点を回りました。この経験を糧にこれからもますます研究に励むとともに、残り半年のブラジル生活をより実り多いものにしていきたいと思います。


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