ブラジル留学生活レポート(第4回)

社会科学研究科法政システム専攻
神代貢志

 私がこの文章を執筆している頃、日本はGW明けですね。ここブラジルも最近は連休が続きましたが、これに加えてゼネストで交通機関が止まったこともあり、金曜日に実施される授業が一か月近く開講されないこともありました。ブラジルには常夏のイメージを持たれる方もいると思いますが、南半球に位置するサンパウロ、現在は秋から冬に差し掛かっていこうかというところ。肌寒い日も続きます。体調には気を付けて、残り少ない留学生活を楽しみ、有意義なものにしたいと思います。

表彰を受けました

 4月下旬、私が翻訳のお手伝いをしていた「サンタクルス病院の歴史」という本の出版記念式典がありました。その中で、本の出版に貢献したということで表彰を受けました。

 サンタクルス病院はかつて日本病院と呼ばれていた病院で、その名の通り主にブラジルに移住した日本人やその子孫達によって、開拓地で満足な医療を受けられなかった日本人移民のために作られました。戦時中、ブラジルにとっての敵国となった日本にルーツを持つ人々には、日本語での会話が禁止される等の様々な制限が加えられ、日本病院も政府によって没収されようとしていました。これを避けるため、日本病院は法的に日本政府との関りを断つ「内国化」の手続きを行い、名前もサンタクルス病院と変更しました。

 ブラジルに留学しているにも関わらず、私はこうした日本移民の方々の歴史を全く知らずにいました。今回この本の翻訳に関われたことで、彼らの歴史のうちの一部を知ることができたことを嬉しく思います。

JORNALニッケイ新聞:
『サンタクルス病院の歴史』=邦訳版の出版式典を開催=刊行の貢献者を表彰
http://www.nikkeyshimbun.jp/2017/170505-61colonia.html

サンパウロ新聞:
歴史を大事に新しい道を開拓『サンタクルス病院の歴史』
http://saopauloshimbun.com/%E6%AD%B4%E5%8F%B2%E3%82%92%E5%A4%A7%E4%BA%8B%E3%81%AB%E6%96%B0%E3%81%97%E3%81%84%E9%81%93%E3%82%92%E9%96%8B%E6%8B%93%E3%80%80%E3%80%8C%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%82%AF%E3%83%AB%E3%82%B9%E7%97%85/ 

サンパウロでの食生活について

 留学前は、海外での食生活に適応できるか心配していましたが、その心配は杞憂に終わりました。サンパウロには多くの日系移民が存在することもあり、日本の食材や日本食レストランには困ることがありません。私は基本的には自炊で日本の家庭料理や中華料理を作っていますが、家から徒歩二分の場所に新たにできたすき屋や、ラーメン屋に行くことも多くあります。

 ブラジルの料理も気に入っています。日本でも徐々に人気が出てきたブラジル風バーベキューの「シュラスコ」(一説によると正しくはアメリカ風シュラスコがバーベキューというのが正解らしい)や、豆やソーセージ等を煮込んだブラジルの国民食「フェイジョアーダ」等色々ある中で、私が最も気に入っているのは「ムケッカ」と呼ばれるヤシの油とココナッツミルクで魚介類を煮込んだシチューのような料理です。

 そのほかにも、移民国家であるブラジルでは、世界各国の料理を楽しむことができます。外国料理店の豊富さでは、サンパウロは広島よりもはるかに恵まれています。私はこちらに来て初めてアラブ料理とポーランド料理を食べました。

 サンパウロは食べることが大好きな人にもおすすめできる都市です。

写真上:ムケッカ。具や油によって様々な種類があります。米と一緒に食べます。

写真上:サンパウロのとあるレストランの鶏清湯ラーメン。こってりしすぎず鶏の風味が効いていてなかなかのおいしさ。これで値段さえ安くなれば・・・


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