令和元年12月

■広島大や国土交通省などは自動運転で走るバスを広島市内の路面電車の軌道内で走らせる実験を世界で初めて行った。実験総括責任者の広島大の藤原章正教授(交通工学)は「バスと路面電車が協調して走ることに意義がある。路面電車がある広島の環境を生かしながら技術開発をしたい」と話した(読売、12.1)

■米国の研究チームが、2000〜2018年に主要な科学誌に発表された約15,000本のゲノム編集に関する論文を分析した。世界で発表された研究論文数の個人別順位が、広島大の山本卓教授(ゲノム生物学)が91本で2位、佐久間哲史講師(システムゲノム科学)が78本で5位だったことが分かった(読売、12.1、中国、12.4)

■広島大とNTTドコモは、次世代通信規格「5G」をスマート治療室に活用して遠隔医療する実証実験に国内で初めて成功した。緊急手術の際に熟練の医師が不在でも、遠隔地から高度な医療支援が可能になる(日刊工業、12.2)

■1日、第63回中国四国学生駅伝が山口市で行われ、広島大は3年連続で3位入賞した。河北竜治と竹内陸、吉村善治の3〜5区がいずれも区間3位の力走を見せた(中国、12.2)

■広島大医学部の推薦入学「ふるさと枠」の1期生である脇本旭さんが、今年4月から庄原市西城町の西城市民病院に内科医として勤務している。脇本さんは「過疎地の地域医療に携わるのが夢だった」と話した(中国、12.2)

■11月30日から12月6日までの期間中、呉市中通商店街れんがどおりの南側の市道でにぎわいを生み出すための実証実験が行われる。ワークショップや物販など企画がされ、広島大の学生が盆灯籠をイメージして作ったモニュメントの明かりが会場を照らす(中国、12.3)

■2日、第93回広島大講演会が同大東広島キャンパスで行われた。「日本のインターネットの父」と呼ばれる慶応大の村井純教授(情報工学)が講演し、学生たち約150人が聴講した(中国、12.3)

■【異国でマナブ広島大発】広島大文学部2年の山名智美さんは、中国・北京師範大学に留学している。世界中から学生が集まっており、クラスはアメリカ、ロシア、イタリア、モロッコ、韓国などさまざまな学生で構成され、いつも活発な議論が行われている(中国、12.3)

■【ヒロシマの空白(5)】京都大は戦後60年を控えた2004年から、学徒出陣などで犠牲となった戦没者調査を始めた。同大の調査で戦没場所不明と記されていた目崎一三さんは旧制広島高(現広島大)卒業間近、旧京都帝大に学籍を置き広島の陸軍部隊に入営し、広島の地で被爆死していることが分かった(中国、12.3)

■広島大防災・減災研究センターは、小・中学生向けに防災教育の教材作りを進めている。大学との共同研究に費用を出す東広島市の事業の一環で、市側の提案を受け、教材ビデオの制作や土石流のメカニズムを学ぶ実験装置を製作している(中国、12.4)

■【社長室】鳥取銀行の平井耕司頭取(広島大法学部卒)は、執務中は頭取室のドアを開けた状態にし、積極的に現場にも赴き意見を聞いている(中国、12.4)

■11月29日、広島大附属中・高等学校で、中学1年生の数学の問題解決を図る力を育成する授業の公開授業が行われた。数学の教科主任の井上芳文教諭は、取り組みを通じて数学に限らず生徒が難問に出くわしたとき試行錯誤して取り組む姿勢が育っていると感じている(中国、12.4)

■2018年実施の国際学習到達度調査(PISA)で、読解力の平均得点の順位が低下したことについて、広島大大学院の難波博孝教授は活字に触れる機会が減っていることを要因として挙げ「普及しているスマートフォンなどの電子書籍を用いて読書経験を積ませる教育が必要だ」と話した(産経、12.4)

■4日、広島大と中国電力は包括的研究協力に関する協定を締結した。エネルギーや環境保全の分野を中心に、技術開発や人材育成で両者の連携を強化する(読売、日経、日刊工業、電気、12.5、中国、12.6、産経、12.14)

■広島大大学院の斎藤敦寄附講座准教授(生物学)たちの研究グループが、細胞内の小胞体という小器官に不良タンパク質がたまる現象「小胞体ストレス」に伴って生じる物質を発見した。この物質を検出する技術を確立できれば、病気の早期診断につながる可能性がある(中国、12.5)

■【広島大学輝く学生】モンゴル出身で広島大総合科学部国際共創学科2年のガンフヤグ・エルデネロソンゴさんは第32回九州フランス語コンクールで優勝した。母国語を除いて4カ国語を勉強しており、もっと言語を極めて将来は、世界中の人をつなげる橋渡し役を務めたいと考えている(プレスネット、12.5)

■広島大は「第28回ペスタロッチー教育賞」の受賞者に性犯罪被害などに苦しむ女性たちを支援する「Oishiサポートセンター」代表の大石由紀子さんを選んだ。5日、同大東広島キャンパスにおいて表彰式が行われた(中国、朝日、日経、12.6)

■10日、スウェーデンでに開かれるノーベル賞の授賞式に日本から広島大大学院の石川太陽さんと東京大大学院の森谷文香さんが派遣された。スウェーデン青年科学者連盟主催の現地交流事業で、派遣される学生の選考は公益財団法人国際科学技術財団が行った(読売、12.6)

■【高校人国記 基町高校(5)】広島大の山脇成人特任教授は、母校のサブモットーである「継続は力なり」を大切にしており、うつ病を治る病気にしたいという思いで研究や教育を続けてきた(中国セレクト、12.6)

■15日、今年のノーベル化学賞と物理学賞の内容や業績について解説するセミナーが広島大東千田キャンパスで行われる。同大大学院理学研究科の岡部信広助教と同大学術・社会連携室の観山正見特任教授らが解説する(中国、12.6、朝日、12.13)

■6日夜、広島大で学ぶアフガニスタン出身の留学生たちが、同国で武装集団の銃撃を受けて殺害された医師の中村哲さんを追悼する集いを開いた(中国、読売、12.7)

■9月、元高校生平和大使で広島大医学部1年の井上つぐみさんは、アメリカに短期留学し、現地の大学生に核兵器についての「意識調査」をした。調査に協力した学生の半数が原爆投下を正当ではなかったと考えていることを紹介した(朝日、12.7)

■6日、東京大や大阪大などの研究チームは、ゲノム編集を用いて筋肉の力が衰える難病患者の細胞で原因遺伝子を修復することに成功したと発表した。論文著者の1人である日本ゲノム編集学会会長で広島大の山本卓教授は「海外で開発された技術に置き換わる国産技術の適切な応用方法がみつかれば、産業界でも利用できる可能性がある」と話した(朝日、12.7)

■6日、広島大は同大歯学部の加藤功一歯学部長の任期満了に伴い、後任に副学部長で同大大学院医系科学研究科の谷本幸太郎教授を選出した。任期は来年4月1日から2年間(中国、読売、12.7)

■【ヒロシマの空白被爆75年(9)】1945年末までの広島原爆の犠牲者数は約14万人。広島市が被爆者動態調査でつかんでいる数字は約9万人。2つの数字の空白を埋める原爆犠牲者を明らかにする上で有力な資料である西署(現広島中央署)が作成した検視調書の原本は現在も見つかっていない。謄本1枚が広島大医学部医学資料館に展示されており、原本が存在していたことを証明している(中国、12.10)

■【浅野氏広島入城400年(1)】広島大大学院の中山富廣教授が広島藩史について解説した。原爆などで藩政史料の不足が研究を妨げているが、埋もれた古文書の発掘に務める必要があると話した(中国、12.10)

■広島大大学院医系科学研究科の専門チームは、糖尿病の専門医が少ない地域の患者に生活習慣の改善方法を助言する遠隔医療のモデル事業を本格化させる(中国、12.10)

■愛知県立大教育福祉学部は、ドイツ・ライプツィヒ大教育学部と学術交流協定を結んだ。ライプツィヒ大はドイツで2番目に古い大学で、同大教育学部はこれまでに大阪教育大や広島大とも協定を締結している(日刊工業、12.10)

■2018年度に経済産業省が調査した結果、大学から生まれたスタートアップ企業の数は、広島大は45で13位だった(読売、12.10)

■10日、元ユース非核特使の福岡奈織さん(広島大卒)が、広島市内最大級の被爆建物「旧陸軍被服支廠」をめぐり、署名サイト「Change.org」で全棟保存を知事に求める署名活動を始めた(朝日、12.11)

■14日、大竹市の玖波公民館において、フィリピン出身の国際協力機構研修員たちが母国での紛争の現状を報告し、平和をテーマに市民と意見を交わす「JICA研修員と話すHIROSHIMAピーストーク」が行われる。パテーテ・グレッチェン・ダガサアンさんたち研修員3人とミンダナオ島出身の広島大の留学生2人が講演する(中国、12.11)

■【学長アンケート(下)】大学生の就職活動について、広島大の越智光夫学長などの学長に対してアンケートを行った結果、企業側への要望として約7割が就活日程の順守を求めていた(日経、12.11)

■データサイエンス教育に力を入れる大学が増加している。2016年12月、政府は国立大6校を拠点校に選び、教育のカリキュラムや教材開発に着手した。今年1月、広島大、岡山大、島根大など国立大20校を協力校に指定し、全国展開を目指している(中国セレクト、12.11)

■21日まで、広島大総合博物館は「魚がつくる模様と形」と題した企画展を行っている。同館の清水則雄准教授は「生物の生態を学びながら、環境と人間の共生に思いをはせてほしい」と話した(中国、12.12)

■11日、広島市中区のJMSアステールプラザにおいて、同市ゆかりの若手音楽家が広島交響楽団と共演する「広島プロミシングコンサート」が行われた。下村景さん(広島大卒)は、ウェーバーのクラリネット協奏曲第1番を演奏し、同大大学院の徳永智香さんは、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番を演奏した(中国、12.12)

■11日、広島文化学園大は、同大と同短大の新学長に同大副学長の坂越正樹教授(広島大理事・副学長などを経て現職)を選んだと発表した。任期は来年4月1日から2年間(中国、12.12)

■11月25日、JICAに青年海外協力隊ボランティアとして、12月からザンビアに派遣される広島大大学院国際協力研究科の小川翔生さんと瀬下岳さんが東広島市の高垣広徳市長を訪問し、現地での活動内容や決意を伝えた(プレスネット、12.12)

■11月18〜22日まで、広島大中央図書館ライブラリーホールで、異なる分野の研究者同士や研究者と企業との出会いを創出するプロジェクト「東広島100人論文」が行われている(プレスネット、12.12)

■広島大は東広島キャンパスに海外からの留学生と研究者向けの居室や、地域に開かれた交流スペースなどを備えた「国際交流拠点」を建設する。2021年度の開設を目指す(朝日、12.13)

■12日、広島大は同大文学部の久保田啓一文学部長の後任に、副学部長の友澤和夫教授を選んだ。任期は来年4月1日から2年間(中国、12.13)

■広島大の新井誠教授(憲法学)が国政選挙の「1票の格差」について「1票の格差問題は解消しなければならないが、今年7月の参院選で一部の人口少数県に導入された合区制度では、良き代表形成を阻んでいる」と話した(中国、12.14)

■【釣りのススメ】広島大大学院の海野徹也教授が、体の大きさや口の大きさ、歯形で決まる魚社会の強弱について話した。フグやボラはチヌより弱いが、チヌはコブダイを恐れるため、コブダイが釣れているときチヌは近寄らないため釣れにくいと話した(中国セレクト、12.14)

■広島大や沖縄美ら海水族館などの研究チームは、世界最大の魚類ジンベエザメの口の中をすみかにする新種の甲殻類を「ジンベエドロノミ」と名付け、日本動物分類学会誌に発表した(朝日、12.15)

■14日、チョコレートのおいしさの秘密を学ぶ講座が広島大学士会館で行われた。同大名誉教授の佐藤清隆さんたちが講師を務め、受講者の親子連れ約100人が原料のカカオ豆からチョコが出来上がるまでの過程などを体験した(中国、12.15)

■胎内被爆者で日本原水爆被害者団体協議会事務局次長の浜住治郎さんが、広島平和記念資料館において講演会を行った。また、長年被爆者の健康調査に関わる広島大名誉教授の鎌田七男さんが胎内被爆について解説した(読売、12.15)

■広島大職員の平野裕次さんは、同大大学院生として南方特別留学生について研究し、この秋「戦時戦後の留学生政策に関する研究」で博士号を取得した(朝日、12.16)

■16日、広島県や広島大など10機関でつくる放射線被曝者医療国際協力推進協議会の企画で、アメリカとラトビアの医師たち4人が県内で放射線被曝医療について学ぶ研修を始めた。同大病院や放射線研究所で講義を受け、同大医学部生や若手医師との交流会も行われる(中国、12.17)

■ひろしまベンチャー育成基金は、第26回ひろしまベンチャー助成金の交付先を決めた。助成額500万円の対象は2件で、広島大の田原栄俊教授は悪性胸膜中皮腫や難治性がんの治療に使える核酸医薬を開発する。【学生賞】大賞▽管仕成(広島大大学院)、科学・技術分野金賞▽吉賀ちひろ(同大)、地域コミュニティ・その他分野金賞▽山本笑里花(同大大学院)(中国、12.17、日経、12.18)

■17日、広島大は来年3月に任期満了となる秀道広医学部長の後任に同大大学院医系科学研究科副研究科長の粟井和夫教授を、高野幹久薬学部長の後任に紙谷浩之教授を選んだと発表した。任期はいずれも来年4月1日から2年間(中国、読売、12.18)

■21日、広島市東区の県医師会館において、スポーツを安全に楽しむための環境づくりなどについて考える講演会が行われる。広島大大学院教育学研究科の柳岡拓磨助教が、試合などの休憩中に体力を回復させる効果的な方法について紹介する(中国、12.19)

■来期、なでしこリーグ1部に昇格する愛媛FCレディースへ、広島大教育学部4年で女子サッカー部に所属する斎原みず稀選手が入団することが決まった(中国、読売、12.19)

■19日、広島大は心と体の性が一致しないなどのLGBTの学生への配慮を盛り込んだガイドラインを作成し公表した。施設の改善や相談窓口の新設のほか、授業や実習などでのあるべき対応を明記した(中国、読売、12.20)

■19日、広島大は来年3月で任期満了となる生物生産学部の三本木至宏学部長の再任を決めた。任期は来年4月1日から2年間(中国、12.20)

■19日、広島大は霞キャンパス原爆放射線医科学研究所横に新たな実験研究棟(仮称)を建設すると発表した。低線量の放射線照射実験に加え、原子力災害に備えたトレーニングセンターも整備する。2020年1月に着工し、12月末に完成予定(中国、毎日、12.20、朝日、12.27)

■21日と28日、中国新聞グループのケーブルテレビちゅピCOMの番組「川島宏治のプラスワン」で、広島大の越智光夫学長が登場する回がアンコール放送される(中国セレクト、12.21)

■22日、東広島芸術文化ホールくらら市民ギャラリーにおいて、広島大名誉教授で画家の難波平人さんの絵画教室の作品展が始まった。油彩や水彩画34点が展示されている(中国、12.23)

■22日、西日本豪雨で大きな被害を受けた坂町で被災者や地域住民を対象にした交流会があった。仮設住宅近くで開かれた会には、広島大や日本赤十字広島看護大の学生たちが参加した(中国、12.23)

■23日、広島大防災・減災研究センター研究員で同大大学院工学研究科の三浦弘之准教授は、土砂災害で流出した土砂量を推定する計算モデルを開発したと発表した(中国、読売、毎日、12.24)

■23日、広島大は経済学部長に鈴木喜久教授を、総合科学部長に関矢寛史教授を選んだと発表した。任期は来年4月1日から2年間(中国、読売、12.24)

■酒どころ西条がある東広島市に本拠を置く広島大が、賀茂泉酒造と協力しを日本酒「広大」販売する。来年1月以降、大学構内の生協などで購入できる(朝日、12.24、中国、12.30)

■11月18〜22日まで、広島大東広島キャンパスの中央図書館ライブラリーホールにて、「東広島100人論文」が開催された。教員と大学院生計80人が「私の研究」などを張り出し、期間中に共同研究の申し出など103の意見が寄せられた(中国、12.25)

■今も4棟残る被爆建物「旧陸軍被服支廠」のうち広島県保有の3棟について、県は「2棟解体、1棟外観保存」を掲げたが、広島市は「3棟保存」を主張している。被服支廠の構造に詳しい広島大大学院の大久保孝昭教授(建築材料学)は「活用策が決まらず放置されるのが、建物にとって最も不幸。多くの人が訪れる施設にする方法を早急に決めてほしい」と話した(中国、12.25)

■広島県教委は広島大病院と連携し、入院中の県立高生がICT(情報通信技術)を活用して遠隔授業を受けられる態勢を整えた。ロボット「オリヒメ」が入院中の生徒に代わり教室で過ごし、映像や音声が病室で生徒が持つタブレット端末にリアルタイムで届けられ、生徒は自分の声を教室に届けられる(中国、12.26)

■25日、広島大は来年3月で任期満了となる小山正孝教育学部長の後任に、副学部長の松美法男教授を選んだと発表した。任期は来年4月から2年間(中国、読売、12.26)

■【広島大学の若手研究者に聞く】広島大大学院統合生命科学科学研究科の竹之内惇研究員は、東広島ブランド地鶏開発に取り組んでいる(プレスネット、12.26)

■1月1日から、広島大は屋外を含めた全キャンパスと附属機関を全面禁煙にする(中国、12.28)

■26~28日、大学将棋の団体日本一を決める第50回全日本学生将棋団体対抗戦が行われ、早稲田大が2年連続9回目の優勝を果たした。広島大は9位だった(中国、12.29)

■【ヒロシマの記録2019】5月20日:本年度の高校生平和大使に選ばれた広島大附属高校の生徒らが、広島市役所で会見。6月25日:広島大旧理学部1号館に広島大と広島市立大が各平和研究部門を移転させる方針を発表。9月20日:両大学が6月25日の事項を正式決定。12月19日:広島大が同大原爆放射線医科学研究所の新たな実験施設を霞キャンパスに建設すると発表(中国、12.31)


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