令和2年5月

■広島大は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、生活の苦しい学生向けの月額3万円を給付する応急学生支援金制度を新設した。学内外に募ったところ、4月30日までの約1,630万円の寄付があった(読売、産経、中国セレクト、5.1)

■4月30日、広島銀行などが出資する広島ベンチャーキャピタルは、広島大発ベンチャーなどを中心に投資する初めてのファンドを設立したと発表した。広島銀と西京銀行、輸入者販売のバルコムの3社が総額5億円を出資した(中国、5.1、日刊工業、5.8、日経、5.9)

■3日、憲法記念日を迎える。新型コロナウイルスの感染防止のための私権の制限強化と国民の権利との兼ね合いについて、広島大大学院の横藤田誠教授(憲法学)は「日本の対策は自粛要請など生ぬるいという声を聞く一方、憲法を改正して緊急事態条項を盛り込もうという主張もある。主権者である国民はそれを認めてよいのか、感染阻止の制約強化と緊急事態条項を絡めた改憲は区別して考えねばならない」と話した(中国、5.2)

■新型コロナウイルスの感染が拡大、一斉休校によりつながりが薄れ孤立が懸念される視覚障害の児童たちのために、広島大の氏間和仁准教授(特別支援教育学)の研究室で学ぶ学部生と大学院生の14人が視覚障害のある子どもと点字で文通をする取り組みを始めた(中国、5.2、5.24)

■広島大で情報技術について学ぶ工学部4年の小泉鴻一さんと大学院先進理工系科学研究科の中野瑛登さんが新型コロナウイルスの感染拡大を受け、持ち帰りに対応した東広島市内の飲食店に地図上で探せるスマートフォン向けのアプリ「東広島テイクアウトマップ」を作り、公開した(中国、5.4)

■広島大の岩坂泰子准教授(初等外国語教育)が学校で英語(外国語)を学ぶ意義について、多様な言語に触れることで自分の世界観が絶対ではないと気づき、異なる価値観への理解が深まると話した(中国セレクト、5.5)

■【被爆75年 廣島からヒロシマへ】古典様式を取り入れた鉄筋コンクリート造りの旧制広島高校の講堂は原爆の爆風にも耐え、今も広島大附属学校の建物として使われている(毎日、5.5)

■3日から、東広島市は特別定額給付金の申請書の封入作業を進めている。コロナウイルスの感染拡大でアルバイト先が休業し収入が減った学生を支えるため臨時で広島大と近畿大学工学部の大学生を雇用し作業を進めている(中国、5.5、朝日、5.17、読売、5.24)

■4日、サプリ販売会社のナチュレ・ホールディングスが「教授のマウススプレー」という口腔ケア商品を通販サイトで発売した。口腔菌には広島大の二川浩樹教授の研究、口臭には近畿大の野村正人名誉教授の研究が生かされている(朝日、5.6)

■新聞を授業で活用する活動に取り組む広島大附属中・高で社会科を教える鶴田輝樹教諭は、中高生に応じた新聞の読み方として、その日の中で特に重要なニュースが掲載されているためまず1面だけでも読むことから始めようと話した(中国セレクト、5.6)

■広島大の教授5人が本年度の文部科学大臣表彰を受賞した。越智光夫学長と安達伸生教授、亀井直輔准教授の3人は科学技術賞、小林信一人間社会科学研究科長は科学技術賞(科学技術振興部門)、萩崇准教授には若手科学者賞が贈られた(産経、5.8)

■広島大教育ヴィジョン研究センターの講座「戦争と平和の教育学」の一環で学生・院生の計6人が、広島平和記念資料館と米テキサス州の太平洋戦争博物館の双方を訪れ、比較検証した。米国側は戦争被害よりも戦略や兵器の性能に焦点をあてた展示を行っており、対照的な戦争観が分かった(読売、5.8)

■広島大発ベンチャーのミルテルは、広島県が設立した官民ファンドの運営会社ひろしまイノベーション推進機構などから約4億6千万円の出資を受けた。遺伝子検査技術の臨床研究や人工知能を使った解析の研究開発などを進める(日経、5.8、日刊工業、5.20)

■【釣りのススメ】広島大大学院の海野徹也教授が、チヌは5月になると1カ月近くにわたってほぼ毎日卵を産むため体力維持のために警戒心より食欲が勝り、釣るのが簡単になると話した(中国セレクト、5.9)

■毎日新聞が新型コロナウイルスの大学への影響について広島大など全国の大学教員を対象にアンケートを実施した。遠隔授業に必要な学生側のネット環境を教員個人が支援したり、研究活動が停止したり、教員に過重が負担が生じていることがわかった(毎日、5.9)

■【研究室発】広島大大学院先進理工系科学研究科の早坂康隆准教授は、かつてユーラシア大陸の一部だった日本列島はどのようにして今の形に至ったのか、岩石の年代を測定する技術を生かし、成り立ちを探っている(中国、5.10)

■9日、広島大異文化間教育推進室は、多文化・多言語環境に育つこども「CLD児」の学びをオンラインで考えるインターネットセミナーを開催し、同大大学院人間社会科学研究科の渡部倫子教授が、読む力を育む「多読」について講義を行った(毎日、5.10)

■【ヒロシマの空白被爆75年】国泰寺町かいわいから国道2号を挟み、残っている旧広島大理学部1号館は1991年閉鎖。所有する広島市は一部保存を決め、平和研究拠点として活用する計画を進めている(中国、5.11)

■中山間地域医療・整形外科専門医の黒木秀尚さん(広島大卒)は、日本の医療は世界保健機関から世界一とされていたが実際には大きな問題があることがコロナ禍で判明した。効率重視で経済第一の今の政策をやめ、地域に必要な病院は維持し、医療従事者の努力が報われる政策に改めなければならないと話した(中国、5.12)

■広島市教育委員会教育センター主事の和田晋さん(広島大大学院修了)が、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う休校の長引きで子どもたちの現状を憂う今、先生方には子どもたちにメッセージを送り続けてほしいと話した(中国、5.13)

■【専門医が診る】手や頭のふるえの症状について、広島市立リハビリテーション病院の加世田ゆみ子副院長(広島大病院などを経て現職)が、ふるえの症状の見分け方や治療法について話した(中国、5.13)

■8日、11日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、広島北ロータリークラブ社会奉仕小委員会の荒本徹哉委員長たちが広島大大学院を訪れ、マスク計1万1,100枚を寄贈した(中国、5.13)

■新型コロナウイルス患者の治療にあたる医療従事者らへの差別が県内でも深刻になっている。広島大病院感染症科の大毛宏喜教授が保育園に子どもの預かりを拒否された、飲食店で入店を断られた、同僚に避けられるなど差別の現状について話した(中国、5.13)

■武田純子さん(広島大卒)の「玄鳥去(つばめさる)」が第52回中国短編文学賞優秀賞を受賞した。大学在学中から本格的に小説執筆に取り組み、十数回の応募を経て入賞を果たした(中国、5.14)

■画像化された自らの脳の状態を見ながら操縦することで脳の機能を変えられる「ニューロフィードバック法」(NF法)が注目されている。4月、広島大は重症のうつ病患者が症状に関係する自身の脳の活動データを見ながら、楽しかった思い出などお振り返る訓練を重ねると症状の改善につながる治療法を開発したと発表した(毎日、5.14、中国、5.22)

■13日、サンフレッチェ広島の城福浩監督と選手5人が新型コロナウイルスの感染者を受け入れる感染症指定医療機関の広島大学病院を訪れ、奮闘する医療従事者や患者にエールを送った。受け取った木内良明病院長は「よりよい医療を提供するために励みになった」と話した(中国、5.14、毎日、5.15、産経、5.19)

■6~9日、新型コロナウイルスの影響で活動自粛が続く中、東広島市の大学生たちが「今できること」を考えるオンライン会議を開いた。最終日は、広島大や近畿大の学生6人と、コーディネーターを務める起業家たちが自宅などから参加し、高齢者支援、教育支援について案が出された(中国、5.15)

■【わが社の外国人材】ウズベキスタン出身であるアクラモフ・ボブルさんは、2016年に来日して広島大大学院へ進学。広島大の同窓生でつくる組織「千田塾」で輸入車販売などを手掛けるバルコムの山坂哲郎社長と出会い、入社し、現在は3月に買収したウズベキスタンでの現地レストランの運営や人材あっせんなどを担当している(中国、5.15)

■新型コロナウイルスの影響による休校の長期化で学習の遅れを打開する策として9月入学が注目されている。故中曾根康弘首相時代の臨教審ものもとで当時の広島大学長を代表とする研究会が設置されまとめられた結果は、今も参考になる点が多いとされている(中国セレクト、5.16)

■広島大の卒業生や教員たちでつくる広島大仏教青年会が、創設110年の足跡をたどる記念誌を作った。同大名誉教授の松田正典さんがら90年に建立された仏教青年会館の思い出をつづるなど、4人が寄稿している(中国、5.17)

■被爆建物の旧陸軍被服支廠について、広島大名誉教授の三浦正幸さん(日本建築史)は「被服支廠は国内最古級の鉄筋コンクリートの建物で当時の最先端の技術も使われており、学術的にも貴重だ。世界中にその価値を発信して寄付を集めるなど、全棟保存のためにあらゆる手段を講じるべき」と話した(読売、5.17)

■広島大は全学必修の「平和科目」について新型コロナウイルスの感染拡大で実地での学習が難しいため、本年度はインターネットで被爆体験記などを閲覧してリポートを提出してもらう形式に変更した(読売、5.17)

■広島大学大学院医系科学研究科の杉山政則教授(未病・予防医学)の研究グループが、バナナの葉に由来する乳酸菌にアルコールによる中毒症状を防ぐ効果があることを発見した(朝日、5.17、日刊工業、5.21)

■研究成果の事業化や学生企業など大学発スタートアップが増加している。経済産業省の2019年度大学発スタートアップ数ランキングで、広島大は企業数49で12位だった(日経、5.18)

■広島大大学院人間社会科学研究科の長谷川博教授(運動生理学)が、熱中症を予防するためのトレーニングについて話した(中国、5.18)

■【ヒロシマの空白被爆75年】 国の被爆者行政の方針となっている1980年の原爆被害者対策基本問題懇談会の意見書について、広島大名誉教授の田村和之(行政法)は「誤った知識で原爆被害を小さく評価する発言も目につく。意見書は今も国の被爆者行政の太い方針であり続けているため、問題点をいま一度考えるべきだ」と話した(中国、5.18)

■広島大発ベンチャーのキャンパスメディコと化学メーカーマナックが、広島大にマナックと同大大学院医系科学研究科の二川浩樹教授が共同開発した抗菌成分「Etak(イータック)」が配合されている消毒液400リットルを寄贈した(中国、5.18、産経、5.28)

■【潮流】広島大は全国でいち早く学生への支援策を打ち出した。始めるにあたり越智光夫学長は「学生に寄り添う大学でありたい」と強調した(中国、5.19)

■広島大の各図書館は今月中まで休館中のため、資料を必要とする学生のため、図書を無料で宅配して貸し出すサービスを始めた(読売、5.19)

■18日、広島大の研究チームは人が様々な画像を目にする時の脳波などから「わくわく感」を数値化し、リアルタイムで確認できる技術を開発したと発表した。山脇成人特任教授と町澤まろ特任准教授が同大霞キャンパスで記者会見を行った(中国、5.19、日経、5.21)

■19日、自民党の河井案里参院議員が初当選した2019年参院選の公示前に夫である克行前法相から現金と受け取ったと証言した安芸太田町長の小坂真治氏の辞職に伴う町長選が告示された。橋本博明氏(広島大大学院修了)ら新人2人が立候補している(中国、毎日、5.20)

■19日、任期満了に伴う府中町長選が告示され、現職の佐藤信治氏(広島大卒)が無投票で再選が決まった(中国、毎日、5.20)

■新型コロナウイルスの影響で困窮する学生に、月3万円を支給する取り組み「応急学生支援金制度」を始めた広島大は、4月23日に教職員から寄付を募ると発表したところ学外からも支援の申し出が多数寄せられ、5月19日までに全体で900件、約4000万円の寄付が集まったと発表した(日経、産経、5.20)

■19日、任期満了に伴う広島県医師会の会長選が行われ、広島市医師会長の松村誠氏(広島大医学部卒)が初当選した(中国、5.20)

■広島大の山本民次名誉教授(環境予測制御学)は、新型コロナウイルスの感染について、「自粛」を続けると7月上旬にはいったん収束すると予測する。経済活動が活発になっても各自が手洗い・うがい・マスク着用をすれば感染者は減っていくとみている(中国、5.20)

■広島大の児子修司助教らの共同研究により、山口市阿東蔵目喜の鉱山跡近くで週十年前に採取された化石が約3億年前の新種のサンゴ類だったことが分かった(中国、5.22)

■新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着きを見せる中、広島県の湯崎英彦知事らが第2波に備えてPCR検査の重要性を訴えている。県内の検査体制は拡充が進んでおり、ドライブスルー方式により検体採取する場が県内22カ所に広がり、広島大では1日30件検査できる(中国、5.23)

■【研究室発】広島大総合科学部長で同大大学院人間社会科学研究科の関谷寛史教授(スポーツ心理学)は、緊張を味方に変えるメンタルトレーニングの開発に力を入れている(中国、5.24)

■ゲノム編集に関する論文数で、日本は米国や中国に後れをとっている。広島大の山本卓教授は「投資される資金に大きく依存している結果だ」と話した(日経、5.25)

■東広島市西条町助実の丸山神社古墳群は平成になってから確認され、広島大や市教委の調査で前方後円墳1基、円墳2基の存在が判明した(中国、5.25)

■24日、安芸太田町長選の投開票が行われ、橋本博明氏(広島大大学院修了)が初当選した(中国、読売、5.25)

■【新社長】◇三菱造船◇北村徹氏(広島大大学院工学研究科修士修了)、6月25日社長就任(日刊工業、5.25)

■25日、広島県は新型コロナウイルスの県内での感染実態を把握するため、感染したことがあるかどうかが分かる抗体検査を独自に実施する方針を明らかにした。広島大と連携し、今秋までに県民約1,000人を調査する(中国、5.26)

■【生きて再録(4)】カルビー元社長の松尾雅彦さんは青年期を振り返った際、たびたび「長」をまかされた。広島大附属中・高校では、生徒会長を務めた(中国セレクト、5.26)

■新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための休校で広まったオンライン授業は、耳や目の障害や発達障害がある児童生徒にとって使いやすい仕組みというわけではない。広島大の氏間和仁准教授(特別支援教育)の研究室では、発達障害がある子どものオンライン学習をタブレット端末を用いて支援している(朝日、5.26)

■国連NGOが認定する学生組織「国際学生会議所」広島支部が、会員制交流サイトインスタグラムを通じて平和や貧困、性的少数者について気軽に話し合う場を設けた。同支部は昨年8月に結成、現在は広島大東広島キャンパスを拠点に、同大や広島女学院大の計24人で活動している(中国、5.26)

■新型コロナウイルスの感染拡大で、留学中・予定の学生が先行きに不安を募らせている。3月に留学中の学生らに帰国が呼び掛けられ、広島大は29人が帰国した(朝日、5.26)

■27日、広島大は6月16日から一部で対面授業を再開させる方針を示した。実技を伴う実験や実習に限り、その他の授業は夏季休暇前の8月13日まで原則オンライン授業を続ける(中国、読売、5.28)

■【ヒロシマの空白 被爆75年】原爆投下直後に降った「黒い雨」の被害を補償する対象区域をめぐり、一部住民が集団訴訟を広島地裁に提起している。広島大原爆放射線医科学研究所で長年研究した名誉教授の大瀧慈さんは「爆心地からの直線距離で健康被害を推定する考えは、改めないといけない」と指摘した(中国、5.28)

■27日、広島大は同大学病院てんかんセンターが6月1日かオンラインでの診療を始めると発表した(読売、5.28、中国、5.29、朝日、5.31)

■広島大は、ヒトの感情が脳や臓器とこれらをつなぐ神経との協調から発生しているという近年の研究成果を踏まえ、この感情システムの解析に特化した研究拠点「国際アフェクトーム(感情)研究センター」を設立した(日経、5.28)

■新型コロナウイルス感染症は治ったはずなのに、再度症状が出て陽性にあるケースが全校で相次いでいる。広島大大学院の坂口剛正教授(ウイルス学)は、不活性化したウイルスの遺伝子を検出してしまった可能性もあると話した(中国、5.29)

■新型コロナウイルスの感染拡大によって広島大など国立の教員養成系大学・学部の約9割が教育実習が延期されるなど影響を受けている(中国、5.29)

■一般社団法人日本モビリティ・マネジメント会議に所属する呉高専、広島大、山口大の教授たち3人が、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中国地方の公共交通機関の減収額が年間585億円にのぼる試算を出した(中国、5.29)

■マンボウ研究者の澤井悦郎さん(広島大大学院修了)は、食として需要の低いマンボウを仕事から帰宅後研究を続けている(朝日、5.29)

■【新社長】◇ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング◇畠賢一郎氏(広島大歯学部卒)、6月25日社長就任(日刊工業、5.29)

■【トップボイス】広島大の越智光夫学長が、大学院再編について話した。グローバル時代に対応したさまざまな課題に対処できる多様な人材を育成する(中国、5.30)

■【新社長】◇中国放送◇宮迫良己氏(広島大工学部卒)、6月26日株主総会後の取締役会で正式に決まる(中国、5.30)

■運搬機器などを製造する広島ピーエスは衛生的なSMS不織布を用いた医療用ガウンとマスクの生産に取り組んでいる。五洋医療器のホームページから購入できるほか、広島大の学生も販売に協力している(中国、5.30)

■新型コロナウイルスの感染拡大が学生の就職活動にも影響を及ぼしている。広島大では例年約3割の学生が東京の企業に就職するが、就活生から上京することへの不安の声が聞かれる(朝日、5.30)

■【想】広島大名誉教授の田中久男さんがヘミングウェイと同世代でノーベル賞受賞作家のウィリアム・フォークナーを研究している(中国セレクト、5.31)


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