令和2年6月

■全国B型肝炎訴訟広島原告団の2人がビデオ会議システムを活用して「患者講義」を行い、広島大医学部保健学科の学生約60人に症状や患者の思いを伝えた(中国、6.1)

■広島大は、「国際アフェクトーム(感情研究)センター」を同大霞キャンパスに新設した。センター長には同大の山脇成人特任教授が就き、国内外の研究者と共同でうつ病など感情障害の予防や診断方法の開発に取り組む(中国、6.2)

■広島大の学生3人が会社説明の動画を手掛ける合同会社ミッチャクを設立した。県内に本社や拠点がある企業を対象に、社長や採用担当者のインタビューや会社概要をまとめ、「広島の就活メディア」と題して動画投稿サイト「ユーチューブ」に配信する(中国、6.2)

■1日、広島大附属三原小の4年生が新型コロナウイルスの影響で外出機会が減っている地域の高齢者を手紙で励ます取り組みを始めた。移動スーパー「とくし丸」を展開するニチエーが協力し、手紙を届ける(中国、6.2)

■県立広島大の上水流久彦教授(広島大大学院修了)が、新型コロナウイルスによる危機と日台関係について話した。台湾は重症急性呼吸器症候群(SARS)の教訓を生かし、新型コロナウイルス感染抑え込みに成功し世界から賞賛されているが、日本を含め主たる国々との国交がなくWHOなどにも参加できず国際社会で孤立している(中国、6.2)

■三井住友信託銀行は新型コロナウイルスのワクチンなどの研究・開発に取り組む広島大など全国12の大学や研究所への寄附を募っている。寄付先を選択でき、金額は1万円単位から申し込める(毎日、6.2)

■日本経済新聞社が企業の人事担当者に実施した大学イメージ調査で、広島大は総合ランキング中国・四国地域で1位、全国で6位だった(日経、6.3、6.11)

■3日、三井住友信託銀行は新型コロナウイルスのワクチンや治療薬を開発する研究を支援するため、広島大に1,000万円を贈り、同大霞キャンパスで贈呈式が行われた(中国、読売、日経、6.4)

■東広島市は、新型コロナウイルス対策として全国民と一定の外国人住民に一律10万円を配る国の特別定額給付金について、広島大の留学生に依頼し、申請書の記入例や案内文を14言語に翻訳する作業を進めている(中国、6.5)

■広島大大学院教育学研究科の関係者ら13人が東広島市西条町の歴史や地理をまとめたガイドブック「西条地理ウォーク」を出版した(中国、6.5)

■【研究室発】広島大大学院人間社会科学研究科の角谷快彦教授は、従業員が幸福になる職場環境にすれば組織の生産性が向上する関係性を証明した(中国、6.7)

■【どうなる大学入試】広島大広大接続・入学センターの永田純一センター長らが、はじめて行われる大学入学共通テストやそのテストの警戒感から志願者が増えている学校推薦型選抜(旧推進入試)などについて、準備の進め方や注意点を話した(中国、6.8)

■原爆後、負傷者を収容した光禅寺には、広島文理科大(現広島大)で学んでいた南方留学生のニック・ユソフさんのお墓がある(中国、6.8)

■【オピニオン】新型コロナウイルスの予防や治療について様々な言説が出回っている。広島大の山内雅弥副理事は「科学的な根拠ある目線で情報を吟味し、フェイクニュースやデマなどの情報に振り回されないようにしなくてはいけない」と話した(中国、6.9)

■呉高専の神田佑亮教授、広島大の藤原章正教授らが、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で中国地方の公共交通機関の減収額が年間585億円にのぼる試算を出した(読売、6.9)

■広島大の山脇成人特任教授と町澤まろ特任准教授らの研究チームは人が様々な画像を目にする時の脳波などから「わくわく感」を数値化し、リアルタイムで確認できる技術を開発したと発表した(日刊工業、6.9、日経、6.10)

■広島大馬術部が新型コロナウイルスの影響で、馬のえさ代などに充てていた部員のアルバイト収入が激減し資金難に苦しんでいる。飼育頭数を減らす状態になりかねない事態に、ホームページで寄付を募っている(中国、6.10)

■江田島市の水産会社「かなわ水産」が牡蠣の養殖で課題となっているプラスチックゴミをなくす新たな養殖方法の開発を進めている。広島大環境安全センター長の西嶋渉教授は「すべての業者が同じように取り組むことは難しい。プラスチック製材を使うことが悪いわけではなく、各業者が対策を進めることが重要」と話した(読売、6.12)

■【ヒロシマを生きて(67)】毎日新聞終身名誉職員の山野上純夫さんは、旧制大学の最後の学年と新制大学の最初の学年が同時に卒業する就職難が予想された1953年に広島大政経学部を卒業した(毎日、6.12)

■【社説】新型コロナウイルスの影響から奪われた学校生活を取り戻す案として高校生たちがネットで署名を始めた「9月入学」について、政府は来年度導入を見送った。秋入学・始業を求める声は経済界などから根強くあり、東京大や広島大でも導入が検討されたことがあるが会計年度や教育年齢を定めた法律など導入には課題が多い(中国、6.13)

■【緑地帯(1)】広島大名誉教授の田中正道さんが、人の一生を決めるほどの重みをもつ「試験」について話した。大正中頃から富裕層が増え高等教育への関心の高まりと学生に与えらた徴兵猶予の特典から、大正中頃から「受験地獄」が始まった(中国、6.13)

■【ひとコト】湧永製薬の湧永寛仁社長は、会社説明会の動画作成の事業を始めた広大生に作成を依頼、動画は今後の採用活動に使うと話した。マツダの西山雷大特別顧問は、県と広島大病院の協力を得て新型コロナウイルスの感染を防ぐフェースシールドの生産を始めたことを話した(中国、6.13)

■広島大総合博物館の清水則雄准教授は、豊栄町でオオサンショウウオの保護に取り組んでいる。昨春、広島大の元大学院生の山崎大海さんの漫画が入った著書「オオサンショウウオと暮らすための50のこと」を出版し、懸賞に応募した161点の中からグランプリに選ばれた(読売、6.14)

■中国の半導体素材メーカーのKFMIの姚力軍会長が広島大と広島国際大にそれぞれマスクを5万枚寄贈した。姚会長は、広島大で工学博士号を取得した(中国、6.16)

■新型コロナウイルス禍の中での土砂災害や風水害による避難について、広島大大学院の田中順子教授らは、避難所に着いたら検温し、避難所に感染症を持ち込まない、定期的な換気や間仕切りなどを用いて他人と距離をとるなどの感染防止策が避難者の安心感につながると話した(中国、6.16)

■【緑地帯(2)】広島大名誉教授の田中正道さんが、熊平源蔵(熊平商店・熊平製作所創業者)、加藤友三郎(海軍大将・内閣総理大臣)、望月圭介(内務大臣)の3人の広島県人の貢献があって設立された旧制広島高等学校について話した(中国、6.16)

■【ヒロシマの空白 被爆75年】広島大名誉教授の鎌田七男さんは、後になって病気を発症する「原爆後障害」研究の第一人者。爆心地から500メートル以内で奇跡的に一命を取り留めた78人を対象に1970年代から健康状態などを追跡調査している(中国、6.16)

■15日、広島大防災・減災研究センターは、自治体の防災担当者らとオンライン会議で、新型コロナウイルスへの対応を踏まえた避難方法について議論した(中国、読売、毎日、6.16、朝日、6.17)

■広島大は学生の学習環境確保のためオンライン環境の整備、構内の感染予防策としてトイレの洗面台などを非接触型にするなど「学生応援プロジェクト」を始める。事業費は約1億1,000万円を見込んでおり、1,000万円を目標にクラウドファンディングを始めた(中国、6.16、毎日、6.22、朝日、6.27)

■【緑地帯(3)】広島大名誉教授の田中正道さんが、答案の評価基準について話した。旧制高校の入試問題は英文和訳と和文英訳がほとんどで、採点者の主観で採点にブレが生じて受験生に不利が及んでいた。1929年、文部省は日本の英語教育刷新のため、英国からハロルド・E・パーマーを招聘し、彼の新式考査法「正誤形式」「選択形式」「完成形式」は客観的で信頼性が備わったことから教員は問題数を増やし、生徒の学力を幅広く評価できるようになった(中国、6.17)

■広島大原爆放射線医科学研究所の一戸辰夫教授らの研究グループは、患者の持つ免疫細胞の遺伝子を変化させてがんへの攻撃力を高める独自の「がん免疫細胞療法」の研究を本格始動した(中国、6.17、日刊工業、6.19)

■【緑地帯(4)】広島大名誉教授の田中正道さんが、海軍兵学校の試験を紹介した。海軍兵学校は旧制中学の学生憧れの難関校で、試験期間中毎日受験生の答案が採点され1科目でも出来がよくないと翌日以降の試験は認められない「篩い落とし選考」という方式だった(中国、6.18)

■【緑地帯(5)】広島大名誉教授の田中正道さんが、世相が反映される入試問題について話した。昭和10年代軍国主義が強まり、入試問題にも影響があると予想して海軍兵学校や陸軍士官学校の英語の入試問題を見たが軍関係機関の入試問題はリベラルで、それ以外の広島高等師範学校や東京高等師範学校のほうが軍事色の強い出題がなされていた(中国、6.19)

■【新役員】◇明治安田生命保険、執行役員名古屋本部長◇中村暢敬氏(広島大工学部卒)(日刊工業、6.19)

■【釣りのススメ】広島大大学院の海野徹也教授が、6月になり解禁されたアユ釣りについて話した。アユの持つ攻撃性を利用した友釣りは世界的に見ても珍しい。釣り人はオトリとよばれるアユを巧みに操って縄張りをもつ野アユに接近させ挑発する(中国セレクト、6.20)

■【トップボイス】広島電鉄の椋田昌夫社長(広島大政経学部卒)が新型コロナウイルスの影響による利用者の落ち込みについて話した。電車やバスを減便したものの極端には減らさず混雑が生じないようにしている。採算面は厳しいが、安心して乗車してもらいたいと話した(中国、6.20)

■【緑地帯(6)】広島大名誉教授の田中正道さんが、1903年に始まった「専験」について話した。小学校卒業後、経済的理由で働きに出た若者が独学でチャレンジする試験で、合格すれば中学校卒業資格が与えられ、旧制高校への受験資格が得られた。第2次世界大戦後は「大検」「高認」へと引き継がれている(中国、6.20)

■【青春文学館】広島大附属中の生徒が『ハリーポッターと死の秘宝』(静山社)の読書感想を紹介した(中国、6.21)

■【ヒロシマの空白 被爆75年】被爆2世への遺伝的影響の有無も結論が出ておらず、不安を抱えて生きる人がなおもいる。原爆は戦争に関わりのない世代まで苦しめていることから、広島大名誉教授の鎌田七男さんは「被爆者は生涯、原爆から虐待を受け続けているようなものだ」と話した(中国、6.22)

■新型コロナウイルスの影響で資金調達が難しくなり大阪大や東北大など投資ファンドを新設する大学が相次いでいる。阪大の投資会社、大阪大学ベンチャーキャピタルは年内にも100億円規模の2号ファンドを立ち上げる。阪大の研究成果を生かした阪大発スタートアップを中心に、神戸大や広島大など他の国立大発の研究開発型企業にも出資する(日経、6.22)

■広島大は、1949年に新制大学として発足以降の歩みを紹介する写真集「広島大学の70年」を発行した。1万5,700部を発行し1年生や卒業生に配布し、広島大文書館ホームページにおいてPDF版が掲載されている(中国、6.23)

■【緑地帯(7)】広島大名誉教授の田中正道さんが、旧満州にあったハルビン学院を紹介した。この学校はロシア語・ロシア研究のプロを養成する高等教育機関で、各府県や会社、官庁などから派遣される学生は個人負担一切なしと優遇されていた(中国、6.23)

■あせひら乳業は三次市三和町産の朝搾り生乳100%をつかったヨーグルトを主力に製造・販売を行っている。広島大と連携して開発した植物由来の乳酸菌を生きたまま腸に届ける商品も根強い人気がある(中国、6.24)

■【緑地帯(8)】広島大名誉教授の田中正道さんが、桜と入学式の関係について話した。明治になって藩校・寺子屋に代わり欧米からのお雇い外国人に教育のノウハウを教わることになると学年歴は9月始まりとなった。今のような4月始まりになったのは大正10年から。西欧列強の進出を阻止するため徴兵制が敷かれたが、高等教育機関在籍者への調整猶予特典が設けられ、4月に該当者が分かれば夏から秋にかけて徴兵業務が行えるためだった(中国、6.24)

■23日、広島大大学院先進理工系科学研究科の三浦弘之准教授らの研究グループは、人工知能を活用して災害後に撮影された航空写真から建物の被害を自動判別する方法を開発した(中国、読売、6.24、朝日、6.25、産経、6.28)

■広島大大学院統合生命科学研究科の岡村好子教授(海洋生物工学)の研究グループは、特定の働きをする微生物だけを識別する検出方法を確立したと発表した。代謝や免疫にかかわる薬の開発などに応用が期待できる(中国、6.25)

■24日、広島大発ベンチャーのスペース・バイオ・ラボラトリーズは、半導体製造装置メーカーのローツェと広島ベンチャーキャピタルから約1億円の出資を受けたと発表した。歩行支援装置「RE-Gait(リゲイト)」の量産を進める(中国、日経、6.25)

■25日、広島大は新型コロナウイルス感染拡大を受けて設けた「応急学生支援金」について、15日の締め切りまでに1,173件、約5,921万円の寄付金が寄せられたと発表した(中国、6.26)

■今年のオープンキャンパスは新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうとオンライン開催に変更になっている。広島大高大接続・入学センター長の永田純一准教授は「時間や空間の制約がなくなるメリットがあるが、臨場感が弱くなるため双方向型のプログラム導入など工夫が必要」と話した(読売、6.26)

■25日、広島大は初めて多国籍の学生が平和について考えるサミットを開催し、8月6日に広島大版の平和宣言「学生ヒロシマ宣言」を発表すると明かした。サミットに参加する学生は学内公募で選ばれ、日本、米国、タイ、チェコなど7カ国から13人が参加し、今月27日から勉強会や討論を行う(朝日、6.26、中国、6.27、読売、6.28)

■27日、広島大の学生が平和について議論する「学生ヒロシマ『平和』を考えるサミット」の初会合とオリエンテーションが行われた。学生版平和宣言の発表に向けて8月上旬まで討論を重ねる。同大平和センターの川野徳幸センター長は「タブーなしの若い視点で議論してください」とあいさつした(中国、6.28)

■水中カメラマンの松沢陽士さんがウツボが猛毒のフグを丸のみにする瞬間を撮影した。松沢さんはフグを飲み込んだウツボを捕え、海洋生物の毒を研究する広島大の浅川学教授に送り、解析してもらった。浅川教授は「初めて見た。フグ毒の解毒剤につながるかもしれない」と話した(中国、6.28)

■27日、8月6日の平和記念式典が広島市が小学生が世界に訴えかける「平和の誓い」の内容を考える会議が行われた。広島大附属小の生徒は「平和について考える人を増やすことに貢献できてうれしい」と話した(朝日、6.28)

■28日、一部解体か全棟保存か議論が起こっている広島陸軍被服支廠の見学会が行われ、元広島大教授の石丸紀興さんが約50人を案内した(読売、6.29)

■鞆の浦歴史民俗資料館が福山市の史跡の鞆城跡の石垣を調査した。広島大総合博物館の佐藤大規学芸員や地元住民ら計8人が石垣の構造を見て回った(中国、6.29)


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