平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞 科学技術振興分野」の受賞について

平成22年4月5日

平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞 科学技術振興部門」の受賞について
 

平成22年度科学技術分野の文部科学大臣表彰 「科学技術賞 科学技術振興部門」において、医歯薬学総合研究科 越智光夫教授・理事(医療担当)の研究グループの「三次元培養による軟骨再生技術の振興」が受賞しましたので、下記のとおり、受賞の記者会見を開催しますのでお知らせします。ご多忙の折、誠に恐縮に存じますが、是非ご出席いただきたくご案内申し上げます。

日 時:平成22年4月7日(水)14:30~15:15

場 所:広島大学歯学部大会議室(広島市南区霞1丁目2番3号)

出席者:越智光夫(広島大学大学院医歯薬学総合研究科 教授)(広島大学 理事(医療担当)、畠 賢一郎((株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 常務取締役 研究開発部長)

業績の概要

軟骨組織は血管をもたず、血流を介した自然修復ができないことが知られています。欠損や障害を受けた関節軟骨は、運動機能に重大な影響をもたらし、患者の生活の質を低下させる要因となります。膝に関節軟骨障害を有する患者は、日本国内で約1000万人と推定され、軟骨欠損の患者に負担の少ない根本的な軟骨治療の開発が求められています。

越智教授は、欧米で開発された第一世代培養軟骨(軟骨欠損部に骨膜の蓋をし、培養した軟骨細胞を浮遊液の状態で注入する方法)の短所(移植部から細胞の漏出など)を克服し、世界に先駈け軟骨細胞の三次元培養を開発しました。
これは「第二世代自家培養軟骨」と呼ばれ、患者から採取した少量の軟骨細胞をゲル状の立体的な形に成形した後培養し、欠損部分に移植するものです。平成8年以降100を超える臨床例を手がけ、高い有用性を得ています。

実用化

第二世代自家培養軟骨の実用化のために、再生医療製品の事業化を行う株式会社ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング(J-TEC)に技術移転を行いました。同社は、日本で初めてヒト細胞製品で製造販売承認を取得し、高い製造施設とノウハウを有しています。平成21年8月、厚生労働省へJ-TECによる製造販売承認申請を行い、上市に最も近い段階にあります。

社会的効果・実施効果

この軟骨再生技術の活動は、日常生活に悩む軟骨欠損の患者に福音をもたらし、変形性膝関節症などの患者の早期治療により、医療経済的損失の低減を図ることができます。
また、わが国の「ものづくり」に裏付けられた高い品質の再生医療製品を提供することで、国際競争力を高め、再生医療を中心とした医療産業の発展に寄与しています。

受賞者(筆頭者)

越智光夫(おち みつお)広島大学大学院医歯薬学総合研究科 教授 広島大学 理事(医療担当)
畠 賢一郎(はた けんいちろう)(株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 常務取締役 研究開発部長
菅原 桂(すがわら かつら)(株)ジャパン・ティッシュ・エンジニアリング 研究開発部上席研究員

備考:授賞式は、平成22年4月13日(火)に東京 京王プラザホテルで行われる予定です。

 

お問い合わせ先

◎受賞内容について
広島大学大学院医歯薬学総合研究科 整形外科学
電話:082-257-5230
FAX:082-257-5234
E-mail:ochim@hiroshima-u.ac.jp (@は半角@に置き換えてください)

◎記者会見について
社会連携・情報政策室 広報グループ 担当:和木
電話:082-424-6017


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