平成23年度国立大学関係予算の確保・充実について

平成22年7月30日

平成23年度国立大学関係予算の確保・充実について

 

学長定例記者会見に出席の報道機関各社 御中

前略

昨日は、お忙しい中、学長定例記者会見にご出席いただき、ありがとうございました。
その折、発表事項以外で最後に学長が話しました平成23年度国立大学関係予算の確保・充実につきまして、その要旨をご参考までに別添のとおりお送りいたしますので、よろしくお願いいたします。

早々

広島大学広報グループ

 

<別添のとおり>

平成23年度国立大学関係予算の確保・充実について
 

平成22年7月27日に閣議決定されました「平成23年度予算の概算要求組替え基準について~総予算の組換えで元気な日本を復活させる~」において,国立大学法人運営費交付金や科学研究費補助金を含む文教・科学振興費が10%削減の対象経費とされたことは、誠に憂慮に堪えません。

このような大幅な予算の削減が,平成22年6月22日に閣議決定されました「財政運営戦略」の中期財政フレームに基づき,平成23年度から3年間にわたり,国立大学法人運営費交付金に適用された場合には,単年度,1,159億円の削減となり,人と知の拠点である国立大学等の教育力・研究力は致命的な打撃を受け,資源に乏しく,科学・技術と人材に頼るしか術のない我が国が,持続的に成長,発展していくための原動力が損なわれます。大規模大学の存立基盤を揺るがすだけでなく,中・小規模の国立大学はその存立すら危うくなります。
諸外国が国家戦略として高等教育,科学・技術予算の充実を図っている中で,我が国においては,特に国立大学法人運営費交付金については,平成16年度から22年度の6年間で既に830億円(▲6.7%)もの削減が行われ,各法人は懸命の経営努力を重ねているものの,その努力も限界を超え,退職教員の補充が出来ない,若手教員が雇用できない,教員の負担過重のため教育研究に充てる時間が減少し,論文数も急速に減少しているなど,大学本来の使命である教育研究そのものに対する悪影響が顕在化しつつあります。
これに加えて,今後3年間,最初に述べたようなすさまじい予算削減を実施することは,我が国の知的基盤を支える土台を根底から崩壊させ,人材育成機能を崩壊させ,国の未来を閉ざすことにもつながります。国立大学の存立基盤の急激かつ回復不可能な劣化をもたらすこのたびの施策は,我が国の国際社会における位置を急速に低下させかねない,極めて危険な,国益に係わる致命的な施策であると言わざるを得ません。

広島大学の運営費交付金は,このたびの施策が機械的に実施されると,単年度で約27億円の削減となり,平成16年度から22年度の6年間の削減額約21億円を大幅に上回る額を1年で削減することとなります。この削減額は,常勤教員では305人の削減,看護師では580人の削減,授業料では約27万円の値上げ(現在、535,800円)に相当し,教育研究機能の低下,先進医療・地域医療の崩壊,低所得者層の大学進学の困難につながります。

ついては,大学運営の基盤的経費である国立大学法人運営費交付金の拡充,教育機会均等の確保のための教育費負担の軽減,地域医療の最後の砦である国立大学病院の充実,教育研究の基盤となる施設・設備の整備,基礎研究や萌芽的研究を支える科学研究費補助金の拡充など、国立大学関係予算の確保充実を強く要望します。


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