今年のIg Nobel 賞,「ねんきん」問題に

平成22年10月1日

今年のIg Nobel 賞,「ねんきん」問題に
 

広島大学大学院理学研究科 数理分子生命理学専攻の小林 亮教授(54)および伊藤賢太郎助教(30)が,本日,今年度のイグノーベル賞を受賞しましたのでお知らせします。

Annals of Improbable Researchは,10月1日午前9時(ボストン時間で9月30日午後8時)今年度のイグノーベル賞の交通計画賞(Transpotation Planning Prize)を本学 数理分子生命理学専攻の小林教授,伊藤助教と中垣 俊之教授(公立はこだて未来大)ら7名に授与しました。小林教授のイグノーベル賞受賞は2008年に続いて2度目です。

受賞した研究の内容

同研究グループは,関東地方の主要都市に餌を配置した容器の中でアメーバのような「真性粘菌」を飼育すると,体を変形させながら現在の鉄道網よりも,より効率的なネットワークを形成することを突き止め,本年1月22日付のアメリカ科学雑誌「サイエンス」【1】に発表していました。実験は,関東地方をかたどった容器【写真1】の主要都市36箇所に餌であるオートミールを配置し、東京駅の位置に粘菌を置いて約1日観察すると,餌を結ぶネットワークが形成されます【写真2】。この粘菌が作ったネットワークを数理科学的に解析すると,移動時間やコスト的に現在の鉄道網よりも,より効率的なルートをたどっていることが示されました。
このことは,人間が新しい都市交通を設計する際に,費用対効果を考えるならば,粘菌の成長戦略を利用すべきであることを意味しています。
この粘菌のユニークでユーモラな実験結果と理論的考察が,選考委員たちの心を捉えたものと思われます。
無駄が多いと言われる日本の道路や鉄道交通網。一度,粘菌に「事業仕分け」をしてもらったらいかがでしょうか

写真1、写真2

1】A. Tero, S. Takagi, T. Saigusa, K. Ito, D. P. Bebber, M. D. Fricker, K. Yumiki, R. Kobayashi and T. Nakagaki : “Rules for biologically-inspired adaptive network design”, Science, 327 : 439-442 (2010)

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