高分子有機ELの発光に十分な電流を制御する高分子有機TFTを開発

平成23年3月10日

記者会見のご案内
高分子有機ELの発光に十分な電流を制御する高分子有機TFTを開発
(オール高分子有機ディスプレイへ道)

 

国立大学法人 大阪大学産業科学研究所竹谷純一教授、国立大学法人 広島大学工学研究院瀧宮和男教授らは、住友化学株式会社、独立行政法人 産業技術総合研究所と共同で実施する独立行政法人 科学技術振興機構(JST)産学イノベーション加速事業の一環として、住友化学株式会社がすでに開発した高分子有機ELを駆動して発光させるのに十分な電流を制御できる、高分子有機TFTを開発しました。

有機ELディスプレイに用いられる有機EL素子は、素子内に流れる電流量に応じた明るさで発光します。従って、画素がディスプレイとして十分な明るさを得るため、各画素の有機EL素子と組み合わされた有機TFTは、十分な電流を制御する能力が必要です。高分子有機ELを駆動するためには50μm角のピクセルあたり数μAの電流が必要ですが、これまでは同程度の大きさの有機TFTでこの電流量を制御することが困難でした。
有機EL発光素子や有機TFTなど有機半導体を用いたデバイスは、低コスト・大面積の薄型ディスプレイのような次世代のエレクトロニクス産業を構築する技術として期待されています。その中で、高分子の有機半導体は、塗布による簡便で低コストの生産手法に最も適するため、住友化学株式会社などで開発が進められてきました。高分子有機半導体を用いた有機EL素子を溶液塗布による簡便な手法で製作する技術は、すでに同社にて開発済みでしたが、低コスト・大面積の薄型ディスプレイを実現するためには、各々の有機EL素子を制御するための高性能の有機TFTと組み合わせる必要がありました。

本研究では、国立大学法人 広島大学で新しい高分子半導体化合物ポリジナフトジチオフェンビチオフェニルを合成し、国立大学法人 大阪大学らのグループが本高分子化合物を塗布した三次元有機トランジスタを開発したことによって、高分子有機ELを駆動するのに十分な性能のTFTが得られました。ディスプレイパネルに必要な有機ELと有機TFTの両方の素子が、高分子有機半導体を利用して製作できたため、すべてを溶液塗布の工程で製作可能なオール高分子の低コスト薄型フレキシブルディスプレイの開発へ道が拓かれました。

本開発成果は、平成23年3月24日(木)から27日(日)まで神奈川工科大学(神奈川県厚木市)にて開催される「第58回応用物理学関係連合講演会」で発表される予定です。

(報道解禁日時: 3月14日(月)14:00 新聞掲載の取扱い:3月15日(火)朝刊以降)

本研究成果について、下記のとおり記者会見を開催し、ご説明いたします。
ご多忙とは存知ますが、是非、ご参加いただきたくご案内申し上げす。

※ご案内は、文部科学記者会、科学記者会、大阪科学・大学記者クラブ、広島大学関係報道機関へご案内いたしております。

1.日時: 平成23年3月14日(月) 14:00~
2.場所: 大阪大学中之島センター 7階講義室2 (大阪市北区中之島4-3-53 TEL:06-6444-2100)
3.発表者: 竹谷 純一(国立大学法人大阪大学 産業科学研究所 教授)、瀧宮 和男(国立大学法人広島大学 工学研究院 教授)

取材等に関するお問い合わせ先

国立大学法人大阪大学 産業科学研究所
教授 竹谷純一
〒567-0047 大阪府茨城市美穂が丘8-1
TEL:06-6879-8400 FAX:06-6879-8404
e-mail:takeya@sanken.osaka-u.ac.jp
(@は半角@に置き換えた上、送信してください。)


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