世界初、大気圧プラズマを用いた高品質シリコン薄膜結晶の成長に成功-新しい結晶成長メカニズムを発見!

平成24年3月12日

世界初、大気圧プラズマを用いた高品質シリコン薄膜結晶の成長に成功 新しい結晶成長メカニズムを発見!

 

広島大学大学院先端物質科学研究科の東清一郎教授らのグループは世界に先駆けて、LWC(Leading Wave Crystallization)と名付けた、新しい結晶成長メカニズムを発見し、大気圧プラズマを用いてガラス基板上に高品質シリコン薄膜の結晶を成長させることに成功しました。

安全・安心で且つ環境に優しい再生可能エネルギーの普及は、将来にわたる地球規模の課題であり、高い変換効率を有する太陽電池を低コストで製造できる新技術の開発が急務となっています。

これまでの研究で、1万度を超える超高温を有するプラズマ照射によりミリ秒(1ミリ秒は1000分の1秒)の短時間でシリコン薄膜が溶融し、融液が冷えて固まる際に高品質結晶が成長する事が分かっていましたが、この技術を高性能太陽電池製造に適用するためにはより精密な結晶成長の制御が必要であり、これにはミリ秒の短時間での結晶成長がどの様に進行するのか、またそのメカニズムを理解することが重要でした。

東教授らのグループは高速度カメラを用いた測定システムを構築し、シリコン融液から結晶が成長する様子を撮影する事に成功しました。ミリ秒の時間領域でシリコン融液から結晶が成長する過程を動画で捉えたのは世界初であり、更にこれまで知られていなかった新しい結晶成長メカニズム(LWC)を発見しました。

このLWCによる、大気圧プラズマジェットを用いた急速熱処理技術を世界に先駆けて開発し(右図参照)、ガラス基板上に高品質シリコン薄膜の結晶を成長させることに成功しました。

この方法を用いることで、従来の方法より更に高品質のシリコン結晶が成長できる事が明らかになり、低コスト太陽電池の製造への道が開きました。

以上の研究成果の詳細は平成24年3月15~18日に早稲田大学で開催される「第59回 応用物理学関係連合講演会」講演番号[17p-A6-1]において発表します。

図.大気圧プラズマを用いた結晶成長法の概略図

図.大気圧プラズマを用いた結晶成長法の概略図

お問い合わせ先

広島大学大学院先端物質科学研究科 教授 東 清一郎
TEL:082-424-7655 FAX:082-422-7038


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