平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞 開発部門」・「科学技術賞 研究部門」の受賞について

平成24年4月9日

平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰「科学技術賞 開発部門」・「科学技術賞 研究部門」の受賞について
 

平成24年度科学技術分野の文部科学大臣表彰において、「科学技術賞 開発部門」で、広島大学大学院先端物質科学研究科 黒田章夫教授の研究グループの「バイオ蛍光法によるアスベスト検出技術の開発」が、また、「科学技術賞 研究部門」において、広島大学大学院医歯薬保健学研究院 山脇成人教授の研究グループの「精神疾患の病態解明に関する脳機能画像解析の研究」が、それぞれ受賞しました。
下記のとおり、受賞の記者会見を開催しますのでお知らせします。ご多忙の折、誠に恐縮に存じますが、是非ご出席いただきたくご案内申し上げます。

日 時:平成24年4月10日(火)13:00~14:00

場 所:広島大学 法人本部棟 4F会議室
(東広島市鏡山1丁目3-2)

出席者:
(科学技術賞 開発部門)
黒田章夫(広島大学大学院先端物質科学研究科 教授)
石田丈典(広島大学大学院先端物質科学研究科 特任助教)
(科学技術賞 研究部門)
山脇成人(広島大学大学院医歯薬保健学研究院 教授)
(副理事(医療企画担当))
 岡本泰昌(広島大学大学院医歯薬保健学研究院 准教授)
 

「科学技術賞 開発部門」受賞
広島大学大学院先端物質科学研究科 黒田章夫教授研究グループ
■業績の概要

アスベストを含む建材は、日本に4000万トンあるとされ、今後これらが使われた古い建物の解体のピークを迎えます。その際、アスベストが飛散する可能性が指摘されており、現場で微細アスベストの飛散を迅速かつ確実に検出する技術が求められていました。
黒田教授らのグループは、アスベスト結合タンパク質を発見し、そのタンパク質と緑色蛍光タンパク質を融合させて、蛍光顕微鏡でアスベストを可視化する方法(蛍光法)を開発しました。この技術は、世界初のバイオによるアスベスト検出技術であり、微細アスベスト繊維が暗視野の中で蛍光を放って見えるので、明確な像が観察でき、従来の方法と比べて格段に感度が向上しました。
バイオ蛍光法は、アスベスト繊維の形態と物性の両方を瞬時にとらえることが出来る画期的な方法となりました。

■社会的効果・実施効果
これまで電子顕微鏡でしか見えなかった微細な繊維が、バイオと組み合わせた蛍光顕微鏡の「倍率」で見えることがわかったため、アスベスト検出で空気を濾過したフィルター上の広範囲を見渡す際に非常に実用的です。また、蛍光画像は明瞭で、コンピュータによる画像解析技術と組み合わせることで、今まで難しかったアスベスト繊維の自動計測が可能となり、人の目による計測から解放されました。
この技術は、社会的に大きな問題であるアスベストの飛散のモニタリングに利用でき、安全安心の社会の構築に貢献できます。すでに震災後の瓦礫からのアスベスト飛散の検出に試験的に利用しており、復興へも貢献できる発展性があります。
 

 「科学技術賞 研究部門」受賞
広島大学大学院医歯薬保健学研究院 山脇成人教授研究グループ
■業績の概要

うつ病などの精神疾患は、近年のストレス社会で急増し、その病態解明と治療法開発は急務ですが、「こころ」を司る脳機能がブラックボックスで、その病態の脳内機序は不明でした。
山脇教授らのグループは、機能的MRI解析により脳活動を測定することで、将来の大きな報酬(長期大報酬)に関する神経回路を、セロトニン神経活動が調節していることを突き止めました。そして、うつ病では、セロトニン機能が低下しているため、長期大報酬機能が活性化されず、将来の報酬が予測できないことが、うつ病の中核症状発現に関与することを世界で初めて報告しました。また、摂食障害(拒食・過食)がなぜ若い女性のみに好発するのか、機能的MRI解析による比較によって、男女差による扁桃体の活性化の違いを観察し、この男女差が摂食障害の発症差異に関連することも世界で初めて報告しました。

■社会的効果・実施効果
この研究は、精神医学と計算神経科学の領域を超えた世界に先駆けた学際研究であり、社会問題である自殺増加の背景にあるうつ病、若い女性に好発する摂食障害などの精神疾患の脳機能から見た病態解明に飛躍的な進展をもたらし、その社会的意義は多大です。また、工学系や企業と連携した精神疾患の診断技術、治療法開発など、新産業にも貢献が期待できます。
 

■受賞者
「科学技術賞 開発部門」
(筆頭者)
   黒田 章夫(くろだ あきお)           広島大学大学院先端物質科学研究科 教授

   石田 丈典(いしだ たけのり)      広島大学大学院先端物質科学研究科 特任助教

  「科学技術賞 研究部門」
(筆頭者)
   山脇 成人(やまわき しげと)      広島大学大学院医歯薬保健学研究院 教授
  副理事(医療企画担当)

   岡本 泰昌(おかもと やすまさ)    広島大学大学院医歯薬保健学研究院 准教授
   銅谷 賢治(どうや けんじ)            沖縄科学技術大学院大学学園 神経計算ユニット 教授

本件に関するお問い合わせ先

【受賞内容に関するお問い合わせ先】
「科学技術賞 開発部門」
広島大学大学院先端物質科学研究科
教授 黒田 章夫
TEL: 082-424-7758
E-Mail: akuroda@hiroshima-u.ac.jp(@は半角に置き換えてください)

「科学技術賞 研究部門」
広島大学大学院医歯薬保健学研究院
教授 山脇 成人
TEL: 082-257-5205
E-Mail: yamawaki@hiroshima-u.ac.jp(@は半角に置き換えてください)

【記者会見に関するお問い合わせ先】
広島大学学術・社会産学連携室 広報グループ 多賀信政
TEL:082-424-6017
E-mail:koho@office.hiroshima-u.ac.jp(@は半角に置き換えてください)


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