太陽フレアに伴う1億電子ボルトもの高エネルギーガンマ線の長時間放射を発見

平成24年6月8日

太陽フレアに伴う1億電子ボルトもの高エネルギーガンマ線の長時間放射を発見
 

広島大学宇宙科学センター、田中康之特任助教 (現在、日本学術振興会海外特別研究員としてNASAゴダードスペースフライトセンターに滞在中)、スタンフォード線形加速器研究センター Nicola Omodei、スタンフォード大学Vahe Petrosianらを中心とするフェルミガンマ線宇宙望遠鏡チームは、2011年以降の太陽活動の活発化に伴い、太陽フレアに伴う1億電子ボルトもの高エネルギーガンマ線を、フェルミガンマ線宇宙望遠鏡を用いて検出しました。
 
肉眼(可視光)で見ると静寂で穏やかに見える太陽ですが、電波やX線など異なる波長で見ると、「フレア」とよばれる爆発現象が頻発していることが知られています。これまでの観測では、最大規模の太陽フレアに伴ってのみ、1億電子ボルト以上の高エネルギーのガンマ線が放射されることが知られていました。
 
今回、フェルミガンマ線宇宙望遠鏡の観測により、
1. 小規模のフレアにおいても、1億電子ボルトもの高エネルギーのガンマ線が放射されていること
2. 電波やX線で見ると、フレアの継続時間は数分からせいぜい数十分程度ですが、フェルミ望遠鏡が検出したガンマ線放射は、数時間から半日も継続すること
3. 2012年3月7日に発生した最大規模の太陽フレアに伴い、これまでになく強烈なガンマ線が放射され、1億電子ボルト以上の高エネルギーのガンマ線が20時間にもわたって放射されたことを明らかにしました。
 
本研究成果は、フレアに伴って生じた太陽近傍の加速機能で、1億電子ボルトにも達する高エネルギー粒子が、予想以上に普遍的に生成されていることを示唆します。加速機能が太陽表面か、惑星間空間にあるのかは、今後の更なる観測で明らかになるでしょう。太陽からフレアに伴って宇宙空間に放出される高エネルギーのガンマ線や粒子 (陽子や電子)は、衛星放送をはじめとするインフラや地球環境、また人類にも甚大な影響を与え得ることが近年認識されてきました。そのため、本研究成果は、単に太陽物理学や高エネルギー宇宙物理学における学術的重要性だけでなく、地上や宇宙空間における放射線環境を予測しようとする 「宇宙天気予報」の観点からも重要な示唆を与えるものです。
 
この研究成果は、アメリカ天文学会で発表されNASAでも同時にプレスリリースが行われます。なお、本研究は,特に日本においては,広島大学,JAXA宇宙科学研究所など日本のフェルミチームと共同で行なわれました。
 
本研究成果につきまして、下記のとおり、記者会見を開催しご説明いたします。
ご多忙とは存じますが、是非ご参加いただきたく、ご案内申し上げます。

日 時: 平成24年6月13日(水) 13:30~14:30
場 所: キャンパス・イノベーションセンター4階 408号室
(広島大学東京オフィス 同センター4階 TEL:03-5440-9065
出席者:
広島大学宇宙科学センター・特任助教 田中康之、広島大学大学院理学研究科・教授 深沢泰司、広島大学大学院理学研究科・特任助教 大野雅功

会場へのアクセスマップ
本件に関するお問い合わせ先

【研究内容に関するお問い合わせ先】
広島大学宇宙科学センター 特任助教 田中康之
  (現在、日本学術振興会海外特別研究員としてNASAゴダードスペースフライトセンターに滞在中)
TEL: 082-424-7379 (研究室)
TEL: 1- 301-286-7063 (NASA研究室)
E-Mail: ytanaka*hep01.hepl.hiroshima-u.ac.jp
(6月10日午後6時頃から6月15日午後3時頃まで日本に帰国中)
 
広島大学大学院理学研究科 教授 深沢泰司
TEL: 082-424-7380 (研究室)
E-Mail: fukazawa*hep01.hepl.hiroshima-u.ac.jp
 
【記者会見に関するお問い合わせ先】
広島大学学術・社会産学連携室 広報グループ 多賀信政
TEL:082-424-6017
E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp

(E-mailの*は、半角@に置き換えて送信してください)


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