スピントロニクス材料研究でブレイクスルー

平成24年9月6日

記 者 説 明 会 の ご 案 内
スピントロニクス材料研究でブレイクスルー
-理想的なスピン偏極電子を世界最高性能の電子スピン分析装置で発見-

 

国立大学法人 広島大学【学長 浅原利正】放射光科学研究センター【センター長 谷口雅樹】(以下「HiSOR」という)の宮本幸治助教、奥田太一准教授を中心とする研究グループは、従来のスピン分析技術とは一線を画する新しいスピン検出器を用いて、世界最高性能(従来の100倍の解像度)をもつ高効率スピン角度分解光電子分光装置(電子スピン分析装置)の開発に成功しました。
今回、同グループはこの独自に開発した装置を用いて、新奇トポロジカル絶縁体Bi2Te2Se(ビスマステルルセレナイド)およびBi2Se2Te(ビスマスセレンテルライド) (Bi:ビスマス、Te:テルル、Se:セレン)の表面上に、重さゼロで、かつスピンを揃えて高速に移動する電子(スピン偏極電子)を観測し、その電子がスピントロニクスデバイスに理想的な電子であることを世界で初めて発見しました。

本研究では、新しいスピン分析技術を用いて、これまでは到底観測できなかった重さゼロ電子の運動状態を可視化することに世界で初めて成功しました。その結果、今回測定を行った新奇トポロジカル絶縁体の重さゼロ電子が、今までに発見されたものよりも、広いエネルギー範囲にわたり、極めて高いスピンの配列度をもつことを明らかにしました。そして、本研究物質が、スピントロニクス材料として理想的な性質を持つことを突き止めました。スピンを揃えて、かつ、高速で固体中を移動する重さゼロ電子のスピンに依存した運動状態を捉えることは、次世代多機能デバイスの開発に不可欠でしたが、それは従来のスピン分析技術では極めて困難でした。しかし、今回解明した研究成果によって、次世代の大容量超低消費電力型のスピントロニクスデバイスや超高速コンピューターの開発をより一層加速させると期待されます。

本研究成果は、米国の科学雑誌「フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)」に掲載される予定です。

本研究成果につきまして、下記のとおり、記者説明会を開催しご説明いたします。
ご多忙とは存じますが、是非ご参加いただきたく、ご案内申し上げます。なお、本件につきましては、説明会終了後以降に報道いただきますようお願いいたします。

日 時: 平成24年9月12日(水) 13:30~14:30
      
場 所:  東京都港区芝浦3-3-6
キャンパス・イノベーションセンター4階 408号室
(広島大学東京オフィス 同センター4階 TEL:03-5440-9065)
      
出 席 者: 広島大学放射光科学研究センター・助教 宮本幸治
広島大学放射光科学研究センター・准教授 奥田太一

会場へのアクセスマップ
本件に関するお問い合わせ先

【研究内容に関するお問い合わせ先】

広島大学放射光科学研究センター
助教 宮本幸治
TEL: 082-424-6297 (続いて310) (研究室)
E-Mail: kmiyamoto*hiroshima-u.ac.jp

【記者会見に関するお問い合わせ先】
広島大学学術・社会産学連携室 広報グループ 多賀信政
TEL:082-424-6017
E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp
 (*は、半角@に置き換えて送信してください)


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