国際宇宙ステーションを使った脊髄損傷の再生医療研究が NASA宇宙実験に採択

平成27年9月16日

記 者 説 明 会 (9月25日10時・東京)の ご 案 内
国際宇宙ステーションを使った脊髄損傷の再生医療研究がNASA宇宙実験に採択

研究成果のポイント

  1. 広島大学大学院医歯薬保健学研究院・基礎生命科学部門 保健学分野 生体環境適応科学研究室 弓削 類 教授が代表を務める研究グループによる、国際宇宙ステーションを使った世界初の脊髄損傷の再生医療研究がNASAの宇宙実験に採択されました。
  2. 弓削教授がNASAケネディー宇宙センターの微小重力シミュレーターセンター諮問委員会委員に就任しました。
  3. NASAケネディー宇宙センターに新設される微小重力シミュレーターセンターに広島大学発のバイオベンチャーである株式会社スペース・バイオ・ラボラトリーズが開発した重力制御装置「Gravite(R)」が設置されます。

概要

1. 広島大学大学院医歯薬保健学研究院・基礎生命科学部門 保健学分野 生体環境適応科学研究室 弓削 類 教授が研究代表を務める国際宇宙ステーションを使った再生医療研究がNASAの宇宙実験に採択されました。
本研究は、広島大学とハーバード大学の共同研究チームにより実施します。
NASAは、2013年に宇宙環境を利用した再生医療の研究へ取り組むことを公表しています。その一環の宇宙実験として、世界初の脊髄損傷の治療を目指した研究を行う計画です。
弓削教授らは、幹細胞(間葉系幹細胞)を微小重力環境で培養すると幹細胞の未分化性が維持されて、脊髄損傷モデルラットに細胞移植を行うと運動機能が回復するという研究成果を既に発表しています(Mitsuhara et al. Stem Cell Research & Therapy 4(35);2013)。
今回の宇宙実験は、この成果を元に計画され、今後、NASAと直接に打合せをしながら2年以内の実施を目指します。
本宇宙実験は、宇宙の(真の)微小重力環境だけでなく、地上でも重力制御装置「Gravite(R)」を使った模擬微小重力環境で幹細胞(頭蓋由来ヒト間葉系幹細胞)を培養し、その細胞を地上で脊髄損傷モデル動物へ細胞移植して、細胞の特性や運動機能の改善効果にどのような違いがあるかを検証する世界初の研究です。微小重力環境でみられる幹細胞の未分化維持の効用を期待したもので、その成果は最終的に幹細胞バンクに利用されます。

実験概要

2. 弓削教授は、NASAケネディー宇宙センターの微小重力シミュレーターセンター諮問委員会委員に就任しました。諮問委員会委員は、世界で6名が選出され、任期は2020年までの5年間です。
弓削教授は、微小重力環境での幹細胞研究の専門家として、宇宙実験で行う再生医療の評価及び筋萎縮、骨萎縮、循環器系低下等の長期臥床による廃用性症候群などの医科学研究に対する評価、助言を行います。

3. NASAケネディー宇宙センターに新設される微小重力シミュレーターセンターには、弓削教授が取締役を務める株式会社スペース・バイオ・ラボラトリーズが開発した重力制御装置「Gravite(R)」が設置されます。同社は今後、NASAが公認した模擬微小重力装置として「Gravite(R)」を世界販売する計画です。
微小重力シミュレーターセンターでは、動・植物を使ったライフサイエンス及び物理学研究の中から、パラボリック(放物線)飛行や落下実験、模擬微小重力装置等を使い、国際宇宙ステーションで行う候補実験への評価、助言を行います。真の宇宙の微小重力と地上の模擬微小重力環境とを比較し、どのような研究が宇宙実験で有用なのか、またその成果を人類の科学とイノベーションにどのように活用できるかを探索する研究と開発を行います。
 
本件につきまして、下記のとおり、記者説明会を開催しご説明いたします。
ご多忙とは存じますが、是非ご参加いただきたく、ご案内申し上げます。

日 時:平成27年9月25日(金) 10:00~12:00
場 所:キャンパス・イノベーションセンター4階408号室(JR田町駅徒歩1分)
(広島大学東京オフィス 同センター4階 TEL:03-5440-9065)

 

アクセスマップ

出席者:広島大学大学院医歯薬保健学研究院 教授 弓削 類

 

研究内容に関するお問い合わせ先

広島大学大学院医歯薬保健学研究院 基礎生命科学部門
保健学分野 生体環境適応科学研究室 教授 弓削 類(ゆげ るい)
TEL:082-257- 5425
FAX:082-257- 5425
E-mail:ryuge*hiroshima-u.ac.jp(*は半角@に置き換えてください)

株式会社スペース・バイオ・ラボラトリーズ
代表取締役 河原 裕美(かわはら ゆみ)
TEL:082-257-1501
FAX:082-257-1501
E-mail:yumi*spacebio-lab.com(*は半角@に置き換えてください)

記者説明会に関するお問い合わせ先

広島大学学術・社会産学連携室 広報グループ
三戸 里美(みと さとみ)
TEL:082-424-3701
FAX:082-424-6040
E-mail:koho*office.hiroshima-u.ac.jp(*は半角@に置き換えてください)


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