「持ち運べるiPad蛍光顕微鏡」

平成27年9月30日

 「持ち運べるiPad蛍光顕微鏡」
~現場でのアスベスト検査に応用~

ポイント

  • 持ち運べるiPad蛍光顕微鏡」により、現場でアスベストを検出することが可能
  • iPadの通信機能を使い、現場から離れた分析室から手助けや指南が可能

内容

広島大学スマートバイオセンシング融合研究拠点の基礎技術をもとに、広島大学発ベンチャー企業である有限会社シリコンバイオと株式会社オプトサイエンスが協力し、「持ち運べるiPad蛍光顕微鏡」を開発しました(図1)。
これにより、現場で分析ができるだけでなく、離れた場所にある分析室からエキスパートによる手助けや指南が可能となります。

図1 持ち運べるiPad蛍光顕微鏡

図1 持ち運べるiPad蛍光顕微鏡

 

本蛍光顕微鏡は、青色LEDを励起光とし、励起フィルター、ダイクロイックミラー、蛍光フィルターで構成され、Apple社のiPadのカメラに接続しています。0.7μmの分解能で解析でき、十分にアスベストを検出することができます。それに加えて、取得した画像はiPadの通信機能により、離れた分析室で画像をリアルタイムで観察することができます。

本成果は、2015年10月21日から函館で開催される日本労働衛生工学会で展示します。
また、2015年10月26日から開催される日本生物工学会のシンポジウム「安全な水・大気・土壌環境づくりのための環境バイオセンシングと実用化に向けての取り組み、New emerging biosensing technology in water, atmosphere, and soil environment: Heading towards implementation」でも発表します。

本蛍光顕微鏡は2016年1月に有限会社シリコンバイオから発売予定です。蛍光顕微鏡を使っている様子を2015年9月29日から以下のサイトで閲覧することができます。
http://siliconbio.co.jp

アスベストの現状

日本ではアスベストショックから10年経ちましたが、未だに多くの人々が石綿被害で苦しんでいます。そして今もなおアスベスト飛散がビル解体現場や古い施設の改修の現場で報告されています[1, 2]。アスベスト飛散防止には、できるだけ迅速なアスベスト検出方法が必要です。
広島大学では、アスベストに結合する蛍光タンパク質を利用したアスベスト検出方法を開発し、アスベストの問題に貢献してきました[3]。しかしながら、蛍光顕微鏡は研究室用に開発されたもので、現場に持ち運べるような蛍光顕微鏡はほとんどありませんでした。
そこで、これまでの光路設計を見直し、可搬型の蛍光顕微鏡に取り組みました。

参考

1 ビル解体現場周辺に石綿飛散
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201509/20150911_43046.html
2 地下鉄工事でアスベスト飛散
http://www.nhk.or.jp/nagoya/websp/20140821_asbest/
3 現場で簡便に利用できる高感度アスベスト計測技術の開発に成功
http://www.hiroshima-u.ac.jp/top/koho_press/press/h2401-12/p_69hqgr.html

お問い合わせ先

広島大学 大学院先端物質科学研究科 教授
広島大学スマートバイオセンシング融合研究拠点リーダー
黒田 章夫(くろだ あきお)
Tel:082-424-7758 Fax:082-424-7047
E-mail:akuroda*hiroshima-u.ac.jp
(注:*は半角@に置き換えてください)


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