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広島大学と放影研が合同シンポジウム ゲノム、AI、バイオバンク…最新の成果を講演

 来年度に予定されている公益財団法人放射線影響研究所(広島市南区、放影研)の霞キャンパス移転を記念し、広島大学と放影研は9月11日、合同シンポジウム「新たな連携のもと、未来へ」を開催しました。共同研究や人材交流を通じた連携の強化を念頭に、ゲノム、疫学・データベース・AI、バイオバンクの 3テーマで両機関の研究者が講演しました。学内外からの約200人の参加者が、最新の研究成果に耳を傾けました。

 越智光夫学長から、「広島大学と放影研がそれぞれの強みを持ち寄ることで、新たな科学的発見を世界の医療の発展へと結びつけることができ、ゲノム解析や被爆二世に関する研究を通じて、広島の貢献を一層拡大してくことができます。本日のシンポジウムは、その未来に向けた重要な一歩であります」とのビデオメッセージが届き、広島大学大学院医系科学研究科の岡村仁研究科長の司会で開会しました。

越智学長からのビデオメッセージ(広島大学)

ゲノム

 広島大学ゲノム編集イノベーションセンター長の山本卓センター長は「産業分野におけるゲノム編集技術の応用」と題して講演。ゲノム編集技術を生かして、マツダと進めている藻から油を作る研究や、アレルゲンを除いた卵を作るキユーピーとの共同研究などを紹介しました。「サルやマウスを使った研究で哺乳類の治療につながる技術も開発されてきています」と医療への貢献を強調しました。

 放影研分子生物科学部の吉田健吾副部長は「放射線影響研究におけるゲノム研究の展開と未来」と題し、放影研が管理する200万点以上の生体試料などによる血液腫瘍やゲノム異常に関する研究、次世代シーケンサーを活用した大規模なゲノム解析について紹介しました。「ゲノムの変異がどの細胞、組織で起き、健康状態と関係するのかを明らかにし、予防につながることを目指しています」と意義を話しました。

山本センター長(広島大学)

吉田副部長(放影研)

疫学・データベース・AI

 広島大学脳・こころ・感性科学研究センターの近添淳一センター長は「大規模データベースが拓く医療AI:UK Biobankを活用した基盤モデル開発」と題し、医療分野におけるAI活用について講演しました。大量のデータを集めても選択の偏りは避けられないと指摘し、「AIには大規模データを一度だけ学習させ、少数例の追加学習により個別の課題に使いまわせる」と解説しました。

 放影研疫学部のアリーナ・ブレナー主任研究員は「Overview and Key Results from RERF’s Epidemiological Cohorts of Survivors and Offspring(放影研による被爆者およびその子孫を対象とした疫学的コホート研究の概要と主な結果)」と題し、放影研が蓄積している被爆者や体内被曝者、被爆2世の調査データの解析結果を解説しました。「白血病は被爆から50年経過してもリスクは高いままであり、ホルモンバランスや体が変化する時期の女性の被爆の影響を突き止めたい」と話しました。

近添センター長(広島大学)

ブレナー主任研究員(放影研)

バイオバンク

 広島大学病院広島臨床研究開発支援センターの藤本淳也教授は「生体情報を共有し広がる広島大学バイオバンク&臨床医療情報データベースを目指して」と題し、がんの治療法が変わるなど過去の事例の実績を紹介しました。準備中の広島大学病院のバイオバンクについて、「ヒト由来の試料や電子カルテ、生体情報の統合が目標。広島県全域でのデータ共有により、県民の健康増進を図りたい」と訴えました。

 放影研バイオサンプル研究センターの田邉修センター長は「原爆被爆者および被爆二世から提供されたバイオサンプルの長期保存と研究利用」と題し、2013年に設立されたセンターについて紹介しました。「被爆者および被爆二世から提供された貴重な生体資料を、医療情報や疫学情報との連携を強化し、放射線による障害や遺伝的要因の解明につなげたい」と、将来世代の研究へつなぐ役割を強調しました。

藤本教授(広島大学)

田邉センター長(放影研)

 閉会にあたり放影研の神谷研二理事長が「幅広い分野の研究者と連携の可能性を探り、広島大学と放影研の強みをさらに発展させたい。共同研究にも期待したい」とあいさつし、締めくくりました。

紙谷理事長(放影研)

 放影研は原爆の放射線による健康への影響について研究する日米両政府の共同運営機関で現在、2027年2月竣工を目指して広島研究所の新施設を広島大学病院がある広島大学霞キャンパスに建設中です。また広島大学病院は2025年4月、放影研による原爆被爆者を含む両親とその子ども(被爆二世)を対象にしたゲノム(全遺伝情報)の解析調査に関し、調査参加者のうち必要な方に対して、適切な遺伝カウンセリングと医療の提供を支援する研究協力協定を結びました。今後、幅広い分野で広島大学との連携が強まることで、異分野融合研究や共同研究の促進が期待されています。

集合写真

【お問い合わせ先】

広島大学霞地区運営支援部総務グループ(大学院担当)
E-mail kasumi-soumu(AT)office.hiroshima-u.ac.jp
※(AT)は半角@に置き換えてください。


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