広島大学原爆放射線医科学研究所 血液・腫瘍内科研究分野
教授 一戸 辰夫
TEL: 082-257-5861 FAX: 082-256-7108
E-mail: nohe*hiroshima-u.ac.jp(*は半角@に置き換えてください)
京都大学医学部附属病院 輸血細胞治療部
助教 三浦 康生
TEL: 075-751-3630 FAX: 075-751-4283
E-mail: ym58f5*kuhp.kyoto-u.ac.jp(*は半角@に置き換えてください)
京都大学医学部附属病院の三浦康生助教(広島大学原爆放射線医科学研究所客員准教授)・前川平教授、京都大学大学院医学研究科の藤井紀恵研修員・高折晃史教授、広島大学原爆放射線医科学研究所の一戸辰夫教授らの共同研究チームは、マウスモデルを用いて、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)が分泌する生体ナノ粒子である「細胞外小胞(EV)」が、造血幹細胞移植後の重篤な免疫異常症である移植片対宿主病(GVHD)を改善することを解明しました。
ヒト骨髄由来MSCは国内外において、造血幹細胞移植後に発症するGVHDの治療に利用されていますが、これまでその効果がどのようなメカニズムで発揮されるのかについては、完全に明らかにされていませんでした。今回の研究により、MSCに由来するEVは、ナイーブT細胞のエフェクターT細胞への機能分化を抑制するとともに、GVHDの抑制に重要な制御性T細胞を維持する作用を有していることが明らかとなりました。今回の成果は、MSCが分泌する生体ナノ粒子であるEVが、細胞間のコミュニケーションツールとして働き、免疫担当細胞であるT細胞の機能を系統的に制御していることを初めて明らかにしたもので、MSC由来EVを利用した新しい免疫調節療法の臨床開発への道を開くことが期待されます。
この研究成果は、米国科学雑誌「Stem Cells」オンライン版に掲載されました。
2017年12月19日、本件について、広島大学霞キャンパスにおいて記者説明会を開催しました。
図: GVHDを発症したモデルマウスに対する細胞外小胞の治療効果。細胞外小胞で治療したマウス群では生存率が改善した(A,ピンク色曲線)。大腸組織の状態を光学顕微鏡で観察すると、治療群では正常な粘膜組織(ピンク色)が保たれている。
説明を行う一戸教授と三浦助教
体を構成する細胞は、自らの一部をナノサイズの粒子として放出し、他の細胞への情報伝達ツールとして利用しています。今回の研究成果は、このような生体粒子を利用して免疫系のバランスを調節する新しい治療法開発への道を切り開くものと考えています。
広島大学原爆放射線医科学研究所 血液・腫瘍内科研究分野
教授 一戸 辰夫
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京都大学医学部附属病院 輸血細胞治療部
助教 三浦 康生
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掲載日 : 2017年12月18日
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