第162回学位記(博士)授与式

学長からのお祝いの言葉(第162回 学位記(博士)授与式) 2012.1.17

本日、広島大学より15名の方に学位を授与させていただきました。誠におめでとうございます。広島大学を代表して心からお祝い申し上げます。

このたび取得された学位の学術的価値とともに、これまでに積み重ねてこられた貴重な体験が、皆さんの今後の人生で大きく輝き、力強い支えになりますことを期待しています。そして、このたびの皆さんの優れた業績が、21世紀知識基盤社会の根幹である学術研究の発展の大きな礎となることを確信しています。

人類社会はグローバル化の進展とともに、大きく変化を続けています。おそらく、このような変化は今後も止まることなく続き、加速度を増すとともに、人類社会は益々複雑性、多様性に富んでいくと思われます。そのような激しい環境変化の中で、皆さんは社会人として自らに与えられた使命を果たし、社会に貢献して行かなくてはなりません。

昨年、日本のみならず国際社会にも重大な影響を与えた東日本大震災は、自然災害と人為的な災害が重大な結果をもたらし、学術研究の急速な進歩により発展してきた人類社会が自然との調和を軽視してきたことも含めて、新しい課題を改めて私たちに示したものと思います。経済成長を最優先して発展してきた20世紀人類社会は、21世紀になりグローバル化が急速に進展する中で様々な歪みを生み、いくつかの克服するべき新しい課題が生じています。これらの課題を克服するためには、多様性を受け入れるグローバル人材の育成に取り組み、20世紀社会とは別の新しい価値観に基づく社会を構築して行かなければならないと思います。異文化理解を深め、「共生」を目標とした国際平和の構築が求められています。21世紀社会に暮らす人々が、心のゆとりを持ち、周りを思いやる気持ちを忘れない、心豊かな、希望に満ちた未来社会の構築を目指すべきであると思います。そして、その中心をなす人材は皆さんです。

広島大学で学ばれ、高いレベルの学術研究を成し遂げた皆さんが、これまでに培われた能力を活かし、応用力を磨き、人間として、社会人として大きく成長されるとともに、国際社会、地域社会を支える有為な人材として、未来社会に貢献されますことを心から祈念してお祝いの言葉といたします。

本日は誠におめでとうございます。

平成24年1月17日
広島大学長 浅原 利正


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