令和4年度地域の元気応援プロジェクト 採択プロジェクト

丸木位里と故郷・飯室をつなぐプロジェクト ―芸術の力と平和発信―

  • プラットホーム安芸飯室運営委員会、人間社会科学研究科 多田羅多起子

丸木位里(1901-95)は、妻・赤松俊子(丸木俊)と共同で取り組んだ《原爆の図》の制作で知られ、平和活動に携わり続けた画家である。位里の出生地である安佐町飯室には彼の作品が多く所蔵されるが、地元が誇る画家として十分に知られているとは言い難い状況にあった。昨年度のプロジェクトでは、位里と飯室のつながりを可視化し、地域住民にとって位里の存在を再認識することを目指した。今年度は、地域で高まりつつある関心を持続し、地元での作品保存につなげるよう、位里の作品調査を継続するとともに、位里の家族や、同郷の画家たちについても情報収集や作品所蔵調査をおこなう。昨年度好評であった、地域での成果発表会も継続して開催する。また、位里・俊夫妻が訴えた平和への活動を継承し、飯室の地から平和を考えるアートイベントをおこなう。これらの活動を通して、地域活性化と平和発信の双方を目的とするプロジェクトである。

瀬戸内の歴史・生活・文化の変遷を踏まえて これからの世界における瀬戸内

  • 一般社団法人まめな、人間社会科学研究科 長坂格

大崎下島をはじめとする、瀬戸内のこれまでの歴史・生活・文化の変遷を調査し、世界に誇れる瀬戸内海のさまざまな資源の、これからの活用について考えるためのデータベースの構築
瀬戸内の歴史・生活・文化の変遷を、地域の高齢者を中心に聴き取り調査を行い、その結果を整理、データ化する。

地域と学生の協働による中央公園(堺川沿い8ブロック)の調査とビジョン(案)づくり -歩いて楽しいまちの実現に向けて-

  • 特定非営利法人SYL、先進理工系科学研究科 田中貴宏

呉市の中央公園(堺川沿い8ブロック)については「植栽が鬱蒼としていて暗い」「危ないので親から近づくなと言われた」といった意見が多く、日常的な賑わいが不足しているとされている。しかし一方で、市街地中心部に位置し、屋台、緑、河川といった魅力もあり、そのポテンシャルは大きい。また、都市空間の質の向上を求める社会的な状況の中、全国的に公園に求められる役割も変わりつつある。そのような中、提案者は2015年から7年間、中央公園の新たなあり方の模索として、マルシェイベント「あさまち」を年2回開催してきた。また、広島大学都市・建築計画学研究室では、呉市中心市街地の人流調査などを行ってきた。本プロジェクトでは、これら成果を整理し、対象地の資源と課題を明らかにした上で、地域と学生の協働により、その将来ビジョン(案)を作成することを目的とする。

「呉海軍グルメ」の認知向上と新たな観光資源の造成

  • 呉海軍グルメ研究会、大学院人間社会科学研究科 張慶在

 本プロジェクトでは、「呉海軍グルメ」の認知向上を通じて呉の新たな観光資源創出及び街の活性化を目指す。「呉海軍グルメ」は、旧海軍のレシピを再現し呉市の飲食店で提供する新たな観光振興の試みであり、2020年に「呉海軍グルメ研究会」の発足とともに始まった。ただし、まだ認知度が高くないという問題があり、本プロジェクトを通じて、広島大学の観光学研究者並びに学生チームとともに、「呉海軍グルメ」の認知向上のための方案を模索する。具体的には、「呉海軍グルメ」ツアーの企画及び分析、「呉海軍グルメシンポジウム」の二つの活動を行う。

コミュニティハーブガーデンの開発&ハーブワークショップ with とびしまライフ

  • とびしまライフ、学術・社会連携室 Zollet Simona

前年度の「移住体験ツアーの開発 × とびしまライフ」の結果、評判の良い移住体験レポート、ドキュメンタリー動画、イベントを実現できた。その続きとして、今年度もとびしま海道のコミュニティの持続性や回復力(resilience)がある未来を確保するために、島外と島内のコミュニティを発展させるプロジェクトを行いたいと考えている。とびしま海道の代表的な歴史的港町「御手洗」の中心にある空地は、今後コミュニティガーデンとして活用される予定となっている。「地域の元気応援プロジェクト」を通し、ハーブ園の開発を行い、ハーブ専門家を呼び、地域住民や移住希望者等が参加できるハーブワークショップを開催する。前年度と同じく、とびしま海道へ移住した10人が立ち上げたボランティア団体「とびしまライフ」が今回のプロジェクトを推進する地域団体となり、広島大学の学生がハーブ園のデザインや開発を行い、地域住民や観光客が両方楽しめる空間作りを行う。また、地域住民や移住希望者がハーブのワークショップをきっかけに、新たな地域の特産品を生み出す可能性もある。

レモンと共生・レモンで共創 賑わいと人と人とをつなぐ島づくり

  • せとだレモン祭実行委員会、人間社会科学研究科 冨永美穂子

レモン生産日本一で国産レモン発祥の地である尾道市生口島瀬戸田町を広島県内外にアピールすべく,若年世代である学生の視点を取り入れていくため,令和元年度,令和3年度に本プロジェクトに応募し,レモン祭をひとつの核に活動を続けてきた.しかし,コロナウィルスの影響で予定されていたレモン祭がいずれも延期・縮小となり全て形にすることができていない.一方,交流活動を通し,地域関係者と学生との絆は着実に育まれ,これまで中心で活動した学生は引退したが,今後も取り組みを継続したいとの要望が後輩となる学生から挙がり,新たな方向性を追究したい.

コワーキングスペース「third」を拠点とした未来の安芸津町を担う子供達の教育プログラムの開発

  • 安芸津地域活性化団体「アキツラボ」、人間社会科学研究科 川田和男

東広島市安芸津町は少子高齢地域であり,地域経済を活性化するためには将来を担う 人材育成 が急務である。そこで,コアーワーキングスペース「 third 」を拠点とした将来の安芸津町を担う子ども達の早期人材育成教育プ ログラムを開発し,実施することを目的とする。地域の企業,東広島市,広島大学および 地元 小中学校,地域住民による産学 官 民の協働でプログラムを開発する。近年,注目されている社会の課題発見・解決能力を育成するため,コミュニケーション能力,情報活用能力およびデータサイエンス活用の基礎的素養を育むため,小学校から大人の異年齢グループによる地域課題研究を 進めるプログラムを開発し,同様の問題を抱える地域のロールモデルとなることを目標とする。 また,地元でのキャリア教育も推進する。

広島の規格外野菜を使用した、子育て世代応援のための「大人も子どももおいしい離乳食」の開発。

  • 野菜Labo、人間社会科学研究科 冨永 美穂子

2022年10月を目標に離乳食2〜3品の作成を目指す。地域内の幼児支援施設などの協力を仰ぎ、試食会を2回程度開催。地域の声を元に商品の方向性・味を決定予定。試食会・ヒアリング会の企画・運営や、ヒアリングを元にした商品の方向性検討会議を社会人・大学生・教員の3者の視点を取り入れながら開発する。また、おいしさを科学的に理解する実験を連携し行う。これまで野菜Laboでは、商品開発に向けて野菜の下処理・切り方・加熱方法による味の変化を研究してきたが、目視や官能調査による感覚値に頼った調査となるため、機材を用いた数値化を伴う調査が行えてない。野菜Labo・大学が連携し、官能調査としての試食会の開催や、試食会の結果を元に実験のテーマ設定を行うなど、商品開発にダイレクトに関わる研究を行うことを目指す。

「小原の憩いの場」デザインプロジェクト

  • NPO 法人ぷらっとほーむ小原、先進理工系科学研究科 田中貴宏

現在、多くの中山間地域は、人口減少・高齢化等が進むと同時に、人々が日常的に集う場が減少していることから、地域活力の低下や、関係人口の減少などが生じており、地域活性化に向けた取り組みが進められている。そのような状況の中、小原地域でも、地域の人々や、地域外から来訪する人々が気軽に集うことのできる憩いの場が求められている。そこで本プロジェクトでは、地域の中心地であるJR芸備線吉田口駅周辺を対象に、この憩いの場の創出を目的とする。昨年度は、都市・建築計画を専門とする学生がその専門能力を活かし、「小屋」をデザインしたので、本年度はその施工と、周囲の憩いの場のデザインを行うことを目的とする。

つむぐ ~住んでよかった町、東広島へ~

  • 一般社団法人広島ベトナム平和友好協会、人間社会科学研究科 河本尚枝

(社)広島ベトナム平和友好協会(以下、HVPF)と広島大学ローターアクトクラブ(以下、広大RAC)との連携により、東広島に住むベトナム人を始めとする外国人の方々に、「東広島に住んでよかった」と思ってもらえるよう、交流活動等を行っていく。
具体的には、以下に示す大きく4つの活動行う。
・エージェント・オレンジDay(「枯葉剤の日」付近にて、パネル展示やピースコンサートを実施)
・チャリティーコンサート(ベトナム国営アンサンブルによるコンサートを実施)
・テトを祝う会(ベトナムの旧正月を祝うイベントを実施)
・“ベトナムがく”しみん講座(ベトナムのことを知っていただくイベントを実施)

地域と大学が連携した湯来町における、オオサンショウウオの基礎生態調査と環境保全活動2022

  • NPO法人湯来観光地域づくり公社、総合博物館 清水 則雄

国の特別天然記念物であるオオサンショウウオの著名な生息地である湯来町では、本種の実際の生息場所やその数等の等の基本的な生息実態が不明のままで、昨年度初めて本格的な調査を行った。しかし、まだ繁殖巣穴は見つかっておらず、同地における実態把握を早急に行いその保全策を立案する必要がある。
本プロジェクトでは地域住民と広島大学の教員、学生等の合同調査チームを組織し、現地での聞き取り、野外調査、環境DNA解析を用いて実態解明を進める。また、その生息状況を講演会やワークショップ等を通じて広く住民と共有し、その環境保全に向けた機運の醸成をはかるとともにナイトツアーを中核とした経済的・環境的に持続可能なモデルの構築を目指す。


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