2023年度地域の元気応援プロジェクト 採択プロジェクト

フードバンク東広島の効果最大化と自走にむけて

  • 東広島食品ロス対策削減対策委員会、人間社会科学研究科 長坂 格

東広島食品ロス削減対策委員会は、合同会社ひとむすびと連携し令和5年2月18日、東広島市高屋町にある空き家の一角を活用して常設的に開設したフードバンクし、余った食品に対する地域のハブ機能を担っている。開設から3か月が経ち、活動は軌道に乗りつつあるが「食品を受け取る人に個数制限等の利用ルールを守っていただけない」、「地域内での食品の需要と供給のバランスが合っていない」などの課題が浮き彫りとなった。そこで、これらの問題を学術的に抽象化して捉え、他の社会問題などと比較することで解決策を模索すると共に、ICTを活用した利用者の認証制度やAIによる在庫管理システムの導入を検討し、より効率的な運営と効果の最大化を目指す。

『呉海軍グルメ』の認知向上と新たな観光資源の造成

  • 呉海軍グルメ研究会、人間社会科学研究科 張 慶在

本プロジェクトの目的は、「呉海軍グルメ」の認知向上を通じて、呉の新たな観光資源を創出するかつ街の活性化に貢献することです。
呉の観光は、大和ミュージアムに集中しており、街全体の観光活性化のための周遊型観光の必要性が以前から提起されてきました。また、観光者からも、周遊型観光の資源並びにモデルに対する要求が高かったです。
このような需要・供給側のニーズに合う新たな周遊型観光資源として、旧海軍のレシピを再現し呉市の飲食店で提供する新たな企画である「呉海軍グルメ」が2020年から始まりました。
地域の元気応援プロジェクトは、大学の観光学研究者と若い学生と共に、「呉海軍グルメ」の認知向上を考える有効な機会になると判断し、今回の提案に至りました。
 

丸木位里と故郷・飯室をつなぐプロジェクト ―芸術と平和のまち・飯室の未来に向けて―

  • プラットホーム安芸飯室運営委員会、人間社会科学研究科 多田羅 多起子

本プロジェクトは、《原爆の図》の作者であり平和活動家として知られる画家・丸木位里と、出身地である飯室のつながりを可視化し、地域住民が位里の存在を再認識し、地域で価値を継承することを目指している。これまで2年間の活動において、調査と成果発表を積み重ねた結果、位里や位里と関わりのあった芸術家たちに対する地域の認知度は高まりつつある。3年目を迎える今年度は、地元での作品保存につなげるよう、飯室の芸術家たちの作品調査を継続するとともに、プロジェクト終了後も地域で関心が持続するよう、若年層との共同調査や共同制作に力を入れる。活動計画としては、①作品調査継続と小冊子等による成果公開②地域の中学校と連携し、学生と中学生が共同で作品の調査や発信をおこなう取り組み③飯室の地から平和を考えるアートワークショップの開催という3つの柱を考えている。小中学生を含む幅広い年代に働きかけ、飯室の未来につなげていきたい。
 

広島の規格外野菜を使用した、子育て世代応援のための「大人も子どももおいしい離乳食」の開発

  • 野菜Labo、人間社会科学研究科 冨永 美穂子

2024年頭を目標に離乳食セットの完成を目指す。地域内の幼児支援施設・幼稚園などの協力を仰ぎ、試食会を開催。地域の声を元に商品の方向性・味を決定予定。試食会・ヒアリング会の企画・運営や、ヒアリングを元にした商品の方向性検討会議を社会人・大学生・教員の3者の視点取り入れながら開発する。また、おいしさを科学的に理解する実験を連携し行う。卒業研究を同時並行で行い、官能調査に商品開発にも協力いただく幼稚園などの協力を仰ぎ、関係性を強化する。昨年度から関係性を深めてきた地元農家さん、地域内協力者への取材を行い記事化し、関係者それぞれの想いを拾い上げることで商品づくりのステークホルダーの想いを見える化し商品の価値に繋げると共に、商品づくりの背景にあるものをチームメンバー(学生)で体感し学びにつなげる。
 

住みたい街 しおまち -住民参加の観光資源の開発ー 観光(物)中心に開発が進む事による課題に対して、新たな(事)をテーマにした体験観光開発

  • しおまち商店街の輪、人間社会科学研究科 冨永 美穂子

尾道市瀬戸田町は近年、ホテル、飲食店などが進出し外国人や若年層の入込客等が増加しているが、町全体は高齢化しており、若年層、国内外の観光客を志向したシステム作りが課題となっている。これまで、地域特産物である瀬戸田レモンを核に教育学部人間生活系コースの学生を中心にレモン祭のイベント企画や商品開発に取り組み、瀬戸田と学生との関係性を強化してきた。ここで得られたノウハウを活かし、しおまち商店街を中心とした地域活性化を軸に、地域・地域住民と大学の連携、学部や研究科を越えた学生・教員の連携体制を構築しする。それぞれの強みを活かし、学生がやりたいことを形にしながら、活性化と学びを兼ね備えた地域連携モデルを提案していく。
 

大学・学校・地域が連携したミコシギクの保全と地域の活性化

  • 福富のミコシギクを守る会、総合博物館 清水 則雄

ミコシギクは、日当たりの良い湿地に生育する多年草の絶滅危惧種です。全国的に希少で、現存する県としては、茨城、静岡、岐阜、愛知、岡山、広島のみが挙げられます。広島県の数少ない自生地は消滅もしくは危機的状態であり、福富町の自生地は極めて重要な場所です。しかし近年、シカの食害などの影響により、ミコシギクの自生範囲が急速に縮小している状態にあります。
本プロジェクトでは、獣害により危機的な状況に陥っている本種の生育環境の回復と持続可能な保全活動の構築を目指して、専門機関である大学と自生地に隣接する福富小・中学校、地域が連携・協働して、野外調査や環境整備活動、教育普及活動を実施し、その保全と活用(ツアー化や商品開発)から地域の活性化を目指すものです。
 

空き家解体からはじまるサーキュラーデザインの実装 佐木島における空き家の解体とアップサイクルを通じて新たな空間資源を生み出すモデルプロジェクト

  • 一般社団法人The Red Dot School、先進理工系科学研究科 角倉 英明

本プロジェクトでは、佐木島に存在する「解体を待つ木造空き家」を出発点にしたサーキュラーデザインの構想と社会実装を行います。広島大学建築学プログラム(角倉・石垣研究室)と協力しながら、人々の手によって空き家の解体する工法や、材を効率よく取り出す工法を探求します。解体によって、どんな質のどんな材料がどれくらいの数量がアップサイクル可能かを分析し、これらの材によってどんな空間資源生み出せるかを設計・構想します。当事業の中で、これらの一連の流れを、ワークショップを開催しながらモデルプロジェクトとして実施します。
 

コワーキングスペース「third」を拠点とした未来の安芸津町を担う子供達の教育プログラムの開発

  • 安芸津地域活性化団体「アキツラボ」、人間社会科学研究科 川田 和男

東広島市安芸津町は少子高齢地域であり,地域経済を活性化するためには将来を担う人材育成が急務である。そこで,コワーキングスペース「third」を拠点とした将来の安芸津町を担う子ども達の早期人材育成教育プログラムを開発し,実施することを目的とする。地域の企業,東広島市,広島大学および地元小中学校,地域住民による産官学民の協働でプログラムを開発する。近年,注目されている社会の課題発見・解決能力の育成に向け,コミュニケーション能力,情報活用能力およびデータを活用する力を育むため,小学校から大人の異年齢グループによる地域課題研究を進めるプログラムを開発し,同様の問題を抱える地域のロールモデルとなることを目標とする。また,地元でのキャリア教育も推進する。
 

地域と学生の協働による中央公園(堺川沿い8ブロック)の賑わいづくりに向けた実証実験-歩いて楽しいまちの実現に向けて-

  • 特定非営利法人SYL、先進理工系科学研究科 田中 貴宏

呉市の中央公園(堺川沿い8ブロック)については「魅力的な空間が少ない」「通過のための空間となっている」といった意見が多く、日常的な賑わいが不足している。しかし一方、市街地中心部に位置し、屋台、緑、河川といった魅力もあり、そのポテンシャルは大きい。また、都市空間の質向上を求める社会的状況の中、全国的に公園に求められる役割も変わりつつある。そのような中、昨年度、提案者と広島大学都市・建築計画学研究室は、人流解析、アクティビティ調査、アンケート調査を行い、その結果をベースに、中央公園のビジョンを作成した。ビジョンでは、複数のアイデア提案とともに、小さな実証実験を重ねることで中央公園のあるべき姿を明確にする「進め方」を提案した。その成果を受け、本年度は、昨年度提案した複数アイデアの実証実験を行うことを目的とする。
 

「音戸の瀬戸」周辺地区の街路デザインビジョン作成 -歴史を感じる街なみの中に魅力的な街路をデザインする!-

  • 音戸町魅力化推進協議会、先進理工系科学研究科 田中 貴宏

「音戸の瀬戸」は、古くより、交通の要所であったため、歴史的な街なみが広がる。しかし、近年では人口減少・高齢化の影響で、空き家や空き地も増え、街の魅力が失われつつある。一方で、近年、このような歴史的街なみの再評価が進みつつあり、リノベーション建物を活用したカフェやゲストハウスなどが整備され、観光客や移住者もやや増加傾向にある。そのような中、提案者は「音戸の瀬戸」周辺地区を対象に、音戸の魅力発信の取り組みを行ってきた。また、広島大学都市・建築計画学研究室は、対象地内の「天仁庵」の依頼を受け、渡船乗船場跡地の建築デザインを行ってきた。本プロジェクトは、これらの成果を受け、「街なみ環境整備事業」に向けた、街路デザインビジョンの作成を行う。具体的には、地域と学生の協働により、「音戸の瀬戸」周辺地区の道路美装化デザインを中心に、街路と景観のデザインの提案を行うことを目的とする。
 

「小原の憩いの場」の整備プロジェクト -3年目:完成に向けて-

  • NPO 法人ぷらっとほーむ小原、先進理工系科学研究科 田村将太

近年、我が国の中山間地域では、人口減少・高齢化等の進行に加え、人々が日常的に集う場が減少している。そのため、地域内の人々の交流や、地域内外の交流が減少しており、このことが地域の活力低下につながっている。そのような状況の中、安芸高田市小原地域でも、地域の人々や、地域外から来訪する人々が気軽に集うことのできる「憩いの場」が求められている。そこで、本プロジェクトでは、この「憩いの場」創出を3年間の目的とした。2021年度と2022年度は、JR芸備線吉田口駅周辺を対象に、シンボルとなる「小屋」をデザイン・施工し、また、小屋周囲を憩いの場としてデザインした。本年度は、小屋周囲の施工を行い、「憩いの場」を完成させるとともに、その活用実験を行うこととした。本プロジェクトでは、都市・建築計画を専門とする学生が専門能力を活かし、地域の人々との対話を通して、デザイン・施工を行うことにより、若い感覚に基づく、小原地域にふさわしい「憩いの場」を創出することを意図している。
 

子供たちの未来のための「IT社会に順応した創造力を育む」自由なクラブ

  • 原地域センター、人間社会科学研究科 川田和男

近年,子供たちは仮想空間(バーチャル空間)において遊ぶ,いわゆるコンピュータゲーム世代である。そのため,現実空間(フィジカル空間)において,本来幼少期から経験しておかなければならない,様々な身体を動かした遊び(自然体験を含む)から物理現象を体得する機会が少なくなっている。
このようなことから,様々な身体を動かした遊びにより,自由なクラブ活動のためのSTEAMS教育(従来のSTEM教育にArts,Sportsを追加)をベースとしたコンテンツ開発および実践・評価を行うことを目的とする。
この自由なクラブ活動は,”原地域の住民および地域センター”と”広島大学の学生”が協働することで,社会性や創造性等を育成する新たな幼少期から学童期までの「ものづくり」と「情報活用」による新しい次世代人材育成の規範モデルを目指す。
 

地域資源に恵まれた倉橋島における音楽の力による新たな地域魅力づくり -地域イノベーションに挑戦 !!   音楽の力で地域がどう変えられるか -

  • 倉橋交流拠点構想推進協議会、人間社会科学研究科 枝川 一也

倉橋の歴史と文化を広大学生の力を借りて新たな形に昇華させることで地域振興につなげる。
広島大学の学生の音楽の力と、地域の伝統的文化とのコラボレーションを新たなイベントとしてプロデュースし、そのステージとして温泉館や造船歴史館を活用し地域の伝統的な文化を新しい形で世界に発信していく。
 


up