第1回 Andrey Kalugin さん(ロシア)

「僕たちは動的な世界の中で生活している」

名前:アンドレイ・カルギン
年齢:26
国籍:ロシア
プログラム:D1
専攻:開発政策コース(国際協力研究科)
趣味:文筆、エンターテインメント、トラベル

 

留学生Interviewの第1回目として、ロシアは南シベリアのベヴォロという町から来られた26才の大学院生アンドレイさんにお話を伺いました。現在、アンドレイさんは国際協力研究科博士後期課程で開発政策を学んでおられます。
アンドレイさんは、文筆活動が趣味とかで、日本の文化や彼の経験をロシアに伝わるように書いた記事がロシアの新聞に載ったこともあります。また広島大学留学交流プログラム(HUSA)の一年間の経験を基に書かれた「桜の木の下の一年間」という本がロシア語で出版されました。情熱的なエンタテイナーで真面目な学生アンドレイさん。広大や日本の生活についてはどのように思っているでしょうか?早速インタビュー開始!

 

アンドレイさん、どうして広島大学を選んだのですか?

もともと、すごく留学がしたかった。僕がいた大学(トムスク工科大学)と広島大学は国際交流協定を結んでいたので、「行ってみたい」と思った。

なるほど。では、どうして日本の大学だったのですか?

以前は日本に行くというのは全然考えていなかった。でも、すごく留学したかったし、広島大学との国際交流協定が結ばれていたこともあって、「行ってみよう」と決めた。勿論日本に行く前は、一般的なロシア人と同じように、日本のことを全然知らなかったよ。でも、もう5年も日本に住んでいるので、なんか僕は日本とロシアの懸け橋になっているみたいだね。よくロシアから日本とか日本の生活とかについて質問やメールが来ますよ。

日本の生活はロシアとどう違いますか?

比べられないですよ。僕にとってロシアは故郷、そして日本は第2の祖国みたいなものだから。

日本で暮らしていてどのように感じますか?

確かに日本の生活はロシアと全然違うけど、楽しいよ。そして、日本人の優しさや礼儀正しさ、思いやりなどは本当にすごいと思う。ロシアと日本の間には確かに政治的な問題もあるけれど、そんなことを感じさせるようなことはないですね。

西条や広島についてはどうですか?好きですか?

西条はね…とても勉強に適している(笑)。いや、本当は(東広島)キャンパスが西条にあってよかった。広島市内は近いし、レストランやスーパーも近い。スモールワールドみたいだね。日本の生活はもう5年経つけど、今でも毎日新しいことを学んでいる。最近では日本の道路をテーマにした記事を書きました。

道路?

そう!道路上での日本人の行動とか、道路の品質とか…日本人は多分興味ないと思うけど、僕にとってはとても面白い。日本での暮らしの中で日本人の生活を見ることができる。

そうですか。大学院でたくさんの授業があると思いますが、一番好きな授業はなんですか?

今は(博士課程後期なので)授業はないんですよ。でも研究を始める前に国際協力研究科で受けた授業は好きだった。僕の専門と関係があった授業、経済学などが面白かった。指導教員の金子先生も学生には大人気。とても親しみやすい方なので、いつでも研究について相談しています。

アンドレイさんはHUSAの経験も大学院生の経験も持っていますので、両方へのアドバイスがあれば、是非教えて下さい。

日本に慣れ親しんで、日本をそのままで受け取って欲しい。日本の文化を変えようとしないこと。来日する前に日本の現実、文化やマナーについて本を読んだり、国際学を勉強したりするのはおすすめです。たまに留学生が違和感を持ってしまい、がっかりする人もいる。勉強しておくと問題ない。実はいつか日本やロシアの文化交流プログラムを始めたいと思っているんです。

日本語の勉強はどうですか?必要だと思いますか?

大学院に入学すると6ヶ月間の集中日本語講座があります。6ヶ月が経つと日本語の勉強を続けるかどうかは自分次第。僕は研究に集中したかったので辞めたけど、今、自分で勉強しようとしている。日本はもう5年なのに、日本語があまり…

生活面で日本語の会話はどうだったのですか?

まあ日常会話は大体出来る(笑)。

ところで学生生活といえば、勉強や研究だけじゃないですよね。広島大学では色んなサークルがありますが、何か参加したことありますか?

大学のサークルには参加していないけど、毎週の土曜日は広島市内で日本の伝統的な踊りを学んでいるよ。

面白いですね。

そう!去年の12月のバングラデシュ・チャリティ・ショー(バングラデシュで起きた洪水の災害に広島大学のバングラデシュからの留学生がチャリティショーを実施した)に参加した時、そのDVDをもらった。参加者だったのでショーはあまり観られなかったけど、DVDで、日本舞踊のパフォーマンスを見て感動した!やってみたくなった(笑)。というわけで、その先生の連絡先を調べてみて、参加させてもらっている。この5月には発表会に出るよ。

すごいですね!とてもダンスに興味があるんですね?

9年間ぐらいダンスをやってきたけど、これまではロシアやウクライナやギリシャの民族舞踊ばかりやってきたので、日本の民族舞踊はどんな感じかと興味があった。本当にロシア人は日本のことをあまり知らない(笑)。

ダンスで交流するようなプログラムを始めれば?

そりゃいいかもしれない!(笑)。

異文化といえば、広島大学では日本人や他の外国人との出会いがありますか?

もちろん!毎日新しい人と出会ったり、友達になったりします。そして、研究室にいる日本の人はよく手伝ってくれます。みんな本当に優しい。

学生宿舎に住んでいますか?それとも、アパートに住んでいますか?

アパートです。だけど、半年くらい国際会館に住んだこともある。

なるほど。

だけどね、日本の冬って本当に寒い。

そんなに寒いですか?

シベリア出身で-53℃は体験したことあるけど、シベリアでは外は確かに寒いけど、家の中は(暖房装置があるので)ポカポカですよ。だけど日本はそういうのがない。

いや、シベリアから来られた人が「日本の冬は寒い!」と言うのには驚きます(笑)。アンドレイさんは、寒い日はどんな風に過ごしていますか?

普段は朝起きてから大学に行って、勉強したり、研究したりしますね。そして週末はよく買い物に行きます。

ロシア料理や日本料理は作れますか?

ロシア料理はあまり…でも日本料理は大好き!平日は大学の食堂で和食を食べます。後は土曜日の舞踊の稽古だね。電車に乗ったり、バイクに乗ったりします。トラベルも好きなので、バイクでよく旅に出ます。

そうですかー 一人旅ってことですか?

旅に出て、日本を自由に回ったり、観光したり…一回はバイクで西条から長崎まで走った。京都にも行ったよ。好きなとこへ行って、そして気に入ったところを見つけるとそこでバイクを止める。

自由って感じですね。他にどこか行ったことありますか?

大分、別府、福岡、姫路、尾道、もちろん東京にも行ったよ。そして、今年のゴールデンウィークに高知に行こうと思っています。

楽しみですね!では、博士号を取った後は、どのようにされる予定ですか?

国際機関で働きたいと思っています。世界銀行とかですね。広島大学に入学する前は国際機関には興味なかった。でも広島大学の大学院生として、東京で行った世界銀行会議に参加したり、IDECで国際開発の授業をとったりすると、国際情勢に興味が湧いてきた。IDECの「I」は「international」ですよね。

現在IDECでどういった勉強をしていますか?

科学・環境経済学的の視点からロシアの水質を研究しています。

ご存知かもしれませんが、西条の水質は非常に高いため、とてもおいしいお酒が出来ますよね。

そのとおり。普通の水道水が飲めるっていうのはすごいですね。ロシアでは、お風呂に水を張ると、お風呂の底が見えなくなるよ。でもロシア人によく聞かれるのは「どうしてロシアの水質を日本で勉強しているのか?」ということ(笑)。本当の理由はロシアの水質問題を本当に解決したいからです。

大学院終了後、帰国すると思いますか?それとも日本に残りますか?

日本に残る理由があれば、残りたい。でもロシアにはいい仕事が見つければ、帰国します。修了するまでまだ2年間半あるので、焦らなくていいし、その間に何が起こるか分からない。僕たちは動的な世界の中で生活しているからね。

最後に何か言いたいことがありますか?

日本政府からの支援に本当に感謝しています。

では、今日はインタビューをさせて頂いて、本当にありがとうございます。

こちらこそありがとうございます。


up