第10回 権城(グォン・ソン)さん(韓国)

名前:権城(グォン・ソン)
年齢:29歳
国籍:大韓民国
専門:日本語教育(国際協力研究科)
趣味:運動(サッカー、野球、旅行)
将来の夢:日本語の教師
始めて覚えた日本語:ありがとうございます

『留学生インタビュー』バックナンバー

本日はお越し頂きありがとうございます。まずは、日本に来てどのくらい経ちますか?

2004年3月末に来たので、5年ぐらいたちます。

将来日本語を教えたいということですが、それはどうしてですか?また、何がきっかけですか?

子供の頃から外国語に興味があって、色々な外国語に触れてみました。とりあえず英語、そしてスペイン語、それからフランス語やドイツ語・・・。

すごいですね!!

少しだけですが・・(笑)。最初はスペイン語をやりたいと思っていました。響きが良くて。

でも好きと現実はちょっと違います。私の夢は先生になることなので、話すだけではなく研究も必要です。そこで日本語が頭に浮かびました。日本語は韓国語と似ているところが沢山ある一方で、違うところも多い言語です。研究に向いていると思いました。

日本語の勉強を始めたのはいつですか?

大学1年生の時です。

韓国の日本語教育はどういうものですか?

韓国の日本語教育は、他の国と比べると少し進んでいるかもしれません。最初はひらがな、カタカナから始まって、(大学)3、4年生になると普通に会話が出来るようになります。ゲームを通して日本語を学習することもあります。日本人と触れ合う機会もあり、とても楽しかったです。

楽しく勉強が出来そうな環境ですね。授業は会話中心ですか?

そうですね・・・ライティングの授業もありましたが、あくまでも試験のためのもので、主に会話中心の授業でした。

よく「韓国語と日本語は似ている」と言われますが、実際はどうでしょう?

韓国語と日本語は漢字も読み方も似ているものが多いです。例えば「準備」は「ジュンビ」、「図書館」も「トショカン」と読みます。だから、少し単語や文法などを勉強すれば話せるようになります。

羨ましい話ですね。今はどういうテーマについて研究していますか?

私が研究しているのは、日本語の「推測表現」ですね。「・・のようだ」「・・らしい」とか。他には「・・・の筈だ」「・・にちがいない」などの断定表現です。これらの表現がどういった場面でどのように用いられるかを研究しています。

そのなかで気が付いたことなどありますか?

日本語では断定をしないことが多いですね。「・・と思います」「・・・らしいです」とか。韓国語では「・・・だよ」「・・・です」と、はっきり表現することが多いです。言語はそれを使用する民族の性格を表しているのではないかと思いました。

韓国語の方が言語的にはっきりしているのですね。日本語の勉強なら文学研究科もありますが、国際協力研究科(IDEC)に在籍されているのですよね。

私は文学じゃなく言語が専門です。それに以前から、韓国語と日本語を対照で勉強したいと強く思っていました。・・でまぁ、そういう先生を探していたところ、IDECに韓国語に非常に詳しい先生がいらっしゃいました!そこで即、「先生のもとで勉強してもいいですか?」とお願いして・・・(笑)、入学許可を得ることができたというわけです。

日本人だけでなく、ヨーロッパなど他の国からの留学生との交流も多いということですが、それはIDECという場所柄ですか?

IDECだけでなく、キャンパス内の食堂や趣味のスポーツを通じて、色々な場所で交流することが多いですね。友人がみんなスポーツ好きなので、国籍を問わず一緒に野球やサッカーを楽しんでいます。それからみんなで温泉に行って汗を流します(笑)!日本人は温泉好きな人が多いですよね?!そして最後に、ビールを飲みながら食事をします。

基本的に友達になったら、一緒に食事をしてよく話をしますね。食事の後は、ゲームをして更に盛り上がります!

なるほど。そうやって国際交流をされているのですね。ところで、「日本人は親切」な印象をお持ちということですが、韓国ではそうでもないのですか?

そうですね・・・例えば日本人の場合、道を尋ねると「○○に行ったら気をつけて」とか、道順以外の情報も入ります。「旅行に行きます」と言えば、「では楽しんできて下さいね」と一言、付け加えてくれることも多いです。それに、日本人は必ずといっていいほど、笑顔で答えてくれます!そこは本当に素晴らしいと思います。韓国人が不親切ということではなく・・・(笑)。日本語の表現の仕方もあると思うのですが・・・。

過去に留学したことはありますか?また、留学を通して自分が成長したこと、気持ちの変化などあったら教えて下さい。

日本が初めての留学先です。当たり前の事ですが、留学は外国で一人きりで生活することですよね。「一人で生きていくことの大変さ」や「色んな人間関係」を学びました。「一人で生きていくため」には、自己管理が大切ですよね。きちんと食事をして適度に運動して、生活を整えることで、勉強もしっかり出来るようになる!!また、韓国人だけでなく、他の国の人達と出会い交流していく中で、沢山のことを学んだように思います。

では、卒業後の将来の夢―先生になる夢―について、少し伺ってもいいですか?

私は「教えること」がとても好きです。「教える」というよりは、むしろ「教える過程でのやりとり」ですかね・・・。人は教えるという行為の一方で、何かを学んでいると思います。学生と会話をしながら、自然に互いの知識や情報をやりとりしますよね?その過程が好きです。

いやいや素晴らしいです!それは権さんが今まで受けてきた教育の中で、素晴らしい先生に巡り会ったからですか?

小学校から高校まで色々な先生がいました。印象深い先生、尊敬出来る先生もいました。先生に相談すると、時には優しく時には厳しく声をかけてくれました。その言葉で自分の人生が少しずつ変わっていくことを感じたりすることもありました。人生を導くのは親の役目かもしれませんが、親ができない役割を先生が代わりに行うこともありますよね?

中学生の時、数学と地理が苦手で先生に相談しました。体育系の先生でしたが、「勉強のやり方を変えてみたらどうか?」とアドバイスしてくれました。夜遅くまで悶々と一人で取り組んでいた勉強を、出来る人に聞くとか、地理については実生活に取り入れてみるなど工夫をすることで、実際に成績が上がりました。先生の一言でこんなに変わることが出来るなんて、「やり甲斐のある仕事だなぁ」と思いました。

外国語の先生はその言葉が話される国の文化についても教える側面があると思うのですが、留学はそのためにも必要ですか?

日本語は韓国でも学ぶことができますが、実際来日して、日本人がどういう風に考えてどのような生活をしているかを直に知ることで、将来、学生たちに「生きた日本語」を教えることが出来ると思います。

では、実際に生活してみて驚いた事などありますか?

悪いことではないですが・・・・、日本人は相手に対して気を遣い過ぎる点があると思います。気を遣い過ぎると、かえって相手も気を遣うようになりますよね。その点を日本人の友人に指摘することはありますね。「そんなに気を遣わないで」とか。「たまには喧嘩して人と争うのもいいんじゃない?!」と思うこともありますよ(笑)。

西条の住み心地はどうですか?

大学は街中にあるものと思っていました(笑)。でも田舎の長所もあります!まず自然!!それに暮らし易く、勉強にはよい環境だと思います。大事なことではないですか?人は遊ぶ場所が多いと、ついつい遊んでしまいますよね?その点で、西条はいいと思います(笑)。

これから留学したいという学生へのアドバイスはありますか?

自分の故郷を離れ、不安になったり緊張したりすると思います。それを払拭するためにも、色んな人と出会って気持ちを分かち合っていくことが大事だと思います。そこから学ぶことも多いし、留学生活が楽しくなっていくと思います。

留学生活はあとどのくらいですか?

約2年です。

それから帰国して就職だと思いますが、不安などはありませんか?

勿論あります。私だけでなく他の留学生も同じだと思います。今は世界的に景気も悪いですから。でも悪い状況に屈することなく、もっと頑張っていきたいと思っています。

是非頑張ってください!今日はどうも有り難うございました。

こちらこそ、ありがとうございました。

留学生の一言!

広大とは…? グローバルな大学。

留学とは…? 「成功の反対語は失敗ではない」ということです。留学は自信をもってやっていくということ、それが大事だと思います。

「文化の違いを楽しもう!」

それに、仮に景気が良く安定している状態だと、おそらく自分も怠けてしまいそうで・・・。多少危機感があったほうが自分も進歩するかもしれません(笑)。周囲の状況が厳しいと、しっかり学ばなくては!という気持ちになるというか・・・。変なやる気が沸いてきます(笑)。

それからです。先生になりたいと思ったのは。

また自分が教えたことが、別の形で返ってくることもあるように思います。自分の考えが誰かに伝わって、また他の誰かへ伝わる。ワクワクしませんか?繋がって繋がって・・・ひいては国が変わることもあるのではないですか?!ちょっと馬鹿みたいな発想かもしれませんが・・(笑)。

お互いの国の話が自然に出てきますよ。自分が理解できない事があると尋ねますし、その都度「ここではこうなんだよ」と教えてもらっています。逆に「韓国ではこうですよ」と説明したりしながら、文化の違いを楽しんでいます。


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