第15回 顧 文蘇 (中国)

挑戦する!行動する!

名前:顧文蘇 (コ・ブンソ)
国籍:中国
専門:社会経済システム
所属:大学院社会科学研究科 博士課程前期
趣味:バトミントン、料理

2010/3/2に インタビュー

『留学生インタビュー』バックナンバー

 

留学生インタビューに応募して頂いてありがとうございます。どうして留学生インタビューを受けたいと思ったのですか?

いろんな人と話すことができるからです。広島大学のHPに載ったらいい思い出になると思いました。

日本語が上手ですが、日本に来てどれくらいなのですか?

約5か月です。中国の大学で日本語を専攻していたので4年間勉強しました。

社会科学研究科では、どういう勉強しているのですか?

4月から修士の1年生になります。研究題目は「知識経済の進展による地域経済への影響に関する研究」です。中国の東部沿海地域に注目しながら研究を進めていきたいと思っています。(研究科での)専攻は社会経済システムで、公共政策プログラムです。

その中で知識経済というのは具体的にどういう内容なのですか?

知識を基盤とした経済です。いくつかの知識産業があります。たとえばIT産業、研究開発産業、教育産業など。知識の活用に相乗して社会の全面的な発展をさせます。

面白そうですね。中国でもそのような勉強をされていたのですか?

いいえ。(実は)中国にいる時、広島大学の先生と連絡を取っているうちに段々テーマを決めました。山東大学(中国山東省)では第一の専攻として日本語を勉強していました。主に日本語の文法や文化また会話の練習を勉強しました。山東大学にはダブルディグリー(専攻を2種類取れる)という制度があります。日本語を第一専攻、経済を第二専攻として勉強しました。経済は国際経済と貿易を選択しました。次第に経済に興味を持つようになって、引き続き深く研究していこうと思い、経済の勉強を続けています。

そうなのですね。でも、なぜ日本語や日本に興味を持ったのですか?

中国では大学の統一入試の前に一つ特別な試験があります。この試験に合格したら、英語の他にもう一つの外国語を選択して勉強できます。そこで日本語を選びました。

日本語、ドイツ語、韓国語、ロシア語などいくつかの言語がありましたが、日本に興味があって、日本はとても発展していると思ったので日本語を選びました。

日本語の勉強は難しかったですか?

文法が難しいです。漢字は中国でも使うのでそんなに難しくないですが、文法はややこしいです。特に敬語。なかなか身につかないですね。

とても上手に日本語を話されてますよ。ところでどうして広島大学に来ようと思ったのですか?

広島大学は日本でとても有名な国立大学の一つです。そして広島は中国人にとってとても有名な所だと思います。原爆ドームもあり広く知られています。広島大学をインターネットで調べた時、「挑戦する、行動する」というスローガンを見つけて、それがとても好きになって、広島大学を選んだんです。そのスローガンがとても印象深いです。キャンパスのあちこちでこのスローガンを掲げたポスターが見られ「あなたの夢や目標は何ですか?挑戦していますか?行動していますか?」という短い文があります。これを見ていつも自分に問います。自分は一体何をしたいのか、何になりたいのか、今少しずつ前に目標に近づいているか、と自分に問います。これは自分の前進のエンジンとなっています。このポスターと一緒に撮った写真もあります!

そんなに気にいって頂けるなんて、すごく嬉しいです!実際に日本に着いて、広島に来た時の印象は、思っていた通りでしたか?

静かな街で、勉強にはとてもいい雰囲気、環境だと思いました。驚いたことは、東広島キャンパスは正門がないことです。日本にもそういうキャンパスがあるとは思いませんでした。とてもオープンなイメージが強いですね。また大学祭の時には社会人も多く来られていてとても不思議だと思いました。

そうなのですか?中国でも大学祭はあると思いますが、一般の方は来られないのですか?

中国にもそういう大学があるかもしれないけど少ないと思います。ほとんど大学生だけ。また雰囲気も違います。だから不思議なところだと思いました。

それにここに来て自転車に乗る人がこんなに多いことに驚きましたよ。

広島に来て5か月経ちますけど生活はどうですか?

もう慣れました。最初は日本料理にはあまり慣れなかったけど、段々日本料理が好きになりました。特にお好み焼きが大好きです。コロッケ、うどん、そば、てんぷらも大好きです!そして魚の種類もたくさんあり、いつも自分の寮で調理します。さんまの塩焼き、やきそばを作ります。

食材など買うのは慣れましたか?

はい。水菜は中国で見たことがありませんでした。ごぼうも日本で初めて食べました。そしてサツマイモ。私の実家は山東省の済南市なのですが、やきいもは有名だけど、実家のサツマイモと日本のものは違います。皮の色が違って、実家のものは黄色いです。甘くて、おいしいですよ~。

へえ!面白いですね。大学ではクラブ活動など何かされていますか?

先週の日曜日、ボランティア活動に参加しました。西条で第三回春の西条・醸華町まつりがあり、ガイドボランティアをしました。観光客と一緒にお酒の工場を見学したり、甘酒を飲んだりいろいろな人と話したりとても楽しく過ごしました。

お酒は好きですか?

はい。日本酒が好きです。西条の酒は日本一ですね。甘酒も初めて飲んで、おいしかったです。普段あまり飲んだりはしないのですが、大学卒業の時に、クラスメイトとレストランで料理を食べたり歌を歌ったり、お酒を飲んだりして最後のいい思い出になりました。

広大で友達はできましたか?

はい。近くに何人かの中国の学生がいるので仲良くなりました。そして教育学研究科には中国の大学で同じクラスだった友達がいるので、彼女と一緒に今広大で勉強しています。研究科は違うけれど同じ大学です。

それは心強いですね。

はい。そして毎週教育学部の学生によって実施される日本語モデルクラスがあります。毎週木曜の夜7時から8時半まで日本語の会話の授業を受けます。 先生は みんな教育学部の学生です。彼らはとても真面目な学生だと思います。年齢も近いしとても馴染みやすいです。チューターもいます。中国の学生ですが、いろい ろ助けてくれてとても感謝しています。チューターとは去年の11月26日に宮島に行きました。宮島は日本三景の一つでとてもきれいな所です。野生のシカが とても可愛いです。風景もキレイでした。でも行った時は紅葉のシーズンが過ぎていたのでちょっと惜しかったです。あと、広島市にある「縮景園」にはとても 行きたいです。特に桜が咲いた時、とてもきれいなところだと聞いたのです。

休日は何をして過ごしていますか?

中国新聞のキャンパスリポーターに選ばれました。中国新聞の学生リポーターです。研修会があり、そこで写真の撮り方や取材の方法などを勉強して、実際にリポーターとして身近な話題を報道する仕事です。とても楽しみにしています。日本語でリポートを書きます。

それに、休日に教授のゼミが時々あります。先生は真面目で親切な先生です。忙しいのにいつも私の研究を親切に指導して下さる、とてもいい先生です。去年の10月に来たばかりの時、先生は私たち新入生の為に歓迎会を開いて下さり、嬉しかったです。いつも私に「もう日本の生活は慣れましたか?」と聞いて下さり、家族のような感じがします。何も不安もなくとてもいい環境です。お正月には、先生が私達を誘って下さり、年越しそばを食べに広島のそば屋さんに行きました。とてもおいしかったです!日本のお正月を先生と先輩と過ごしてとても嬉しかったです。

良かったですね。中国では正月をどのように過ごしますか?

私の家は、大晦日に家族が集まり、一緒に晩ご飯を食べて夜0時くらいに餃子を食べます。

家によって違うと思いますが、たぶん北の方はこういう風にお正月を過ごすことが多いと思います。日本と中国の餃子は違います。中国は水餃子で日本は焼き餃子ですね。たとえば最初の日は餃子を煮込む、2日目は焼き餃子にしたりします。でも水餃子の方が多いです。餃子の中身、種類もいっぱいあって豚肉、野菜、卵、はるさめも入れます。

面白いですね。顧さんのご出身の済南市について教えていただけますか?

済南市は山東省の省都です。山東省の内陸にあります。名所としては泉が挙げられます。済南は泉の町とも呼ばれます。中国語では泉城と書きます。

済南には趵突泉をはじめ、七十二の名泉があちらこちらにあります。泉の水が甘くて、涼しくて、とてもおいしいです。泉城といったら、みんなは済南のことだとわかります。

顧さんの研究のテーマではこの済南市も触れるのですか?

実は中国の東部沿海地域に注目した研究なんです。中国の東部沿海地域は北京、上海、天津という3つの直轄市と山東省、河北省などの7つの省からなる海に望む地域です。その大きな地域に注目して研究を進めています。実はこの前、一つの調査報告書を見たのですが、知的拠点という概念が出てきました。その内容を見て、「中国には知的拠点があるだろうか?」という疑問が浮かびました。北京には「中関村(ちゅうかんそん)」というサイエンスパークがあり、中国のシリコンバレーと呼ばれています。でもこれは知的拠点に相当するのだろうか?と疑問に思いました。中国の東部沿海地域は他の地域よりも発展しているので、各方面で優位性を持っています。だからこの地域に中国の大きな知的拠点、あるいは知的クラスターを作る可能性があるか?などの疑問が浮かびました。だからこれからこれについて深く研究していこうと思います。もし作られたら中国の全面的な知識経済の発展にとても役立つと思います。

しっかりとした研究ですね。大学院の修士課程(博士課程前期)が修了したらどうされますか?

博士課程後期に進学したいです。修士課程は2年しかないので、何か意義のある研究をするには足りないと思うからです。もし順調に博士課程を修了できたら、大学の先生になるか、研究所に入りたいと思います。何か自分の研究が中国の政策に貢献できれば幸いです。

最後に、新しく留学したいと思っている中国や世界中の学生に向けて、何かアドバイスはありますか?

留学はとてもいいチャンスだと思います。人生にとても意義のある、人生の一部だと思います。留学できたら自分の視野を広げることにとても役立つし、もしできればみんな留学することを勧めます。違った人生になると思います。自分のいろんな方面の能力の向上にとても役立ちます。

今日は、本当にありがとうございました。是非研究を頑張って下さい。

順調に博士課程を修了できるよう頑張ります!!

Photo Gallery

教室の中

経済学部前

縮景園


up