第16回 アンドリュー・リー・コータ・マンカス(アメリカ)

日本で成し遂げた経験

名前:アンドリュー・リー・コータ・マンカス
国籍:アメリカ合衆国
専門:日本語, 経済学
所属:国際センター日本語日本文化研修プログラム
趣味:スポーツ観戦,旅行中に郷土料理を食べること   

※所属を教育学部と表示しておりましたが、国際センターの誤りでした。(2012年2月14日)               
2010年7月6日インタビュー

インタビューを受けていただきありがとうございます。

こちらこそ選んでいただいてありがとうございます。

まず、なぜ留学先に日本を選んだのですか?

僕の母は日本人、父はアメリカ人です。僕はアメリカで生まれ育ち、子供のころから日本語を習ってきたけど、日本は遠い存在でした。おばあちゃんや兄が日本にいるので夏休み中に何度か日本を訪れたことはあるんですが、住んだことはありませんでした。だから1年間日本に住んで、文化をもっと理解して、語学力を磨くことができれば、将来日本とアメリカの架け橋になるためのとてもいい経験になると思いました。自分のルーツを探りたかったのだと思います。

日本について一番関心をもったのは何ですか?

「人」ですね。性格や人柄、交流の仕方がアメリカ人と日本人とでは違います。僕が会った日本人はみんなとてもフレンドリーで、一緒にいると楽しい。だから語学力を上達させながら新しい出会いを楽しんでいます。自分を知り、人として自分を成長させるいいチャンスを与えられたのだと思います。

とても失礼な質問になると思うのですが、アイデンティティーはアメリカ人か日本人、どちらか聞いてもいいですか?

ワールドカップやWBCの時、日本を応援する自分がいます。でも日本に来るための留学プログラム(国費留学)は日本人だと応募資格がありませんでした。日本は二重国籍が認められないので、僕が20歳になった時、国籍を日本とアメリカのどちらかに決めなければいけませんでした。僕はアメリカで生まれ育ったから英語を話す方が自然で、そう思うと僕はアメリカ人なんです。だから日本の国籍を諦めて、アメリカの国籍を取得することに決めました。でも、それで僕は奨学金をもらえることになって、広島大学に来ることが出来たのだから、とても幸運でした。

広島大学に関心はあったのですか?

去年の夏に広島市にある(財)広島平和文化センターで働いたので、広島大学に留学が決まった時は驚きました。もうすぐ一年間の留学が終わり帰国しますが、本当にすばらしい経験が出来たと思います。後悔はありません。

そんなふうに言ってもらえると嬉しいです。2つお聞きしたいのですが、大学生活はどうでしたか?それと、その中で何を学びましたか?

大学生活の一番はやはりバレーボール部です!自分でも思った以上に打ち込みました。週6日、1日4時間練習しました。実は広島大学に来る前に彼らと連絡を取っていたんです。「広島大学に一年間留学します。もしよければチームに参加したいのですが」とメールしたら、バレーボール部は歓迎してくれたのです。10月3日に広島大学に着いて、その翌日には早速練習に行きました。時差ボケがまだまだ残ってたんですけど(笑)。その日にユニフォームをもらって、チームの写真を撮ったからびっくりしました!頑張って取り組むというのは大変なことで、練習が夕方5時から9時まであったので夕食の時間が遅くなったり友達との予定を立てたりするのが難しかったです。でも同時にバレーボールを楽しみ、チームのみんなと絆を深め、とても貴重な経験でした。これからも大切にしていきます。

日本の部活動では先輩、後輩がいて後輩は先輩に従うのですが、それはどう思いますか?

最初はとても戸惑いました。一年生でも僕より年上の人が2人いたのですが、日本とアメリカでは大学に入学する年齢が違うので僕は学年では上だったのです。だからみんな僕が先輩か後輩どちらなのか困ったと思います。でも僕がその慣習に慣れていないことはみんな分かってくれたので、ただみんなとコミュニケーションととることだけ考えました。結局、誰と話しをするか心配することなくフレンドリーな言葉遣いでいられました。日本文化という点では先輩後輩関係を目の当たりにできて、いい勉強になりました。

バレーボール部でのあなたのプレーについて教えてください。

ポジションはセンターです。ネット際でブロックしたり、素早いアタックを打ったりします。でも僕が経験してきたのと他のメンバーが経験してきたのとではギャップがあったので、試合に先発出場してもうまくできませんでした。春季大会、中四国大会、西日本選手権では功績を残せました。

勉強と部活の両立は大変だと思いますが、どうやって時間をうまく使っているのですか?

それは2つ考え方があります。もし何も拘束されていなければ、仕事を仕上げるまでいくらでも時間があると感じますよね。それで無駄に時間を過ごして、最後にはパニックになることがあります。でももしスケジュールが忙しかったら仕事を終わらせることに意識がいくので、空いている時間をどう使おうかともっと考えます。大変だったけどおかげで自己管理ができるようになったと思います。

いつもたくさんの友達と一緒にいますよね。友達はどんな方ですか?

外国人と日本人の友達は両方同じくらいです。外国人とは日本でこれから新しい経験をするという面で同じなので仲良くなりやすいです。日本人の友達のほとんどはバレーボール部のメンバーか国際交流に興味のある広大生です。広島大学はとても国際的な大学だと思います。わざわざ日本で思い出に残る楽しい経験をさせてくれる学生がいて、いい友達に出会いました。

勉強について聞きたいのですが、広島大学に来てから何を学びましたか?

ほとんどの授業は日本語と文化についてで、日本語で受けました。留学生のための授業と日本人と受ける授業を選ぶことができました。両方ともおもしろかったのですが、広島大学の正規の授業に参加する方が刺激的でした。

授業を受けるのは簡単でしたか?

それはどれだけ自分自身で頑張れるかによります。留学生のための授業では、単位を互換するために単位がいる人とそうでない人の両方がいます。授業の雰囲気を体験したいだけの人は授業にいつも参加するとは限りません。授業にどれだけ力を入れるか、つまり授業からどれだけ学びたいかによります。そんな自由さのおかげで、僕が向上したいと思うことに集中して突き進むことができました。

日本語がとても上手ですが、まだ困ることはありますか?

もちろんあります。日本語は本当に難しいです。話すことと聴くことは大丈夫ですが、まだまだ語彙力や読むこと、書く力をのばす必要があります。日本語は授業だけでなく、教室以外でバレーボールの友達と楽しんだり、日本人の友達を作ったり、日々の生活を通して学んでいると思います。もちろん日本語を使う時たくさん間違えますが、間違えを恐れては成長できませんからね。

では、週末は友達とよく出かけたりするのですか?

はい。留学生は湖のほとりに集まってお酒を飲んだりする「レイクパーティー」というのを開きます。各自で飲み物を持って行くシステムなので、自分で飲みたい量を決めることができます。そうやってほとんどの留学生は誰もお互いを知らない最初のころにこのパーティーで出会うんです。今も時々集まっているので楽しく過ごしています。

もっと広島にいたいですか?それとも早くアメリカに帰りたい?

あと2ヶ月で帰国ですが嬉しいような悲しいような気持ちです。ここですばらしい一年を過ごせたのでもう少し長くいられたらよかったです。バレーボール部の仲間が僕に「もっと日本に長くいられたらよかったのに。」と言ってくれた時はすごく嬉しかったです。皆がそう言ってくれたのでもちろん寂しくもなりました。でもアメリカの友達も待っているし、大学を卒業して将来の次のステップへの準備をしなければいけません。いつか日本で出会った友達にまた会える日を楽しみにしています。

広島大学での経験をこれからどう生かしますか?

日本に来る目標の一つが日本語を上達させることで、ある程度まで上達したと思います。将来日本に戻ってくる時に役立つと思います。留学生は世界中から来ているので、日本文化にさらされるのは僕一人ではありませんでした。でもそれはとても国際的な経験でした。別々の習慣や伝統によって文化の壁があったのかもしれないけれど、驚いたことにお互いにぶつかることもなく、視野を広げることができたと思います。

大学を卒業した後は何になりたいですか?

今は日本学と経済学の二つを専攻しています。将来就きたい職業は決まっていないので、今はもっと世界の動きを学びたいです。そしてアメリカと日本の関係をよくするために架け橋になるための方法を知りたいです。

将来日本で勉強したい学生に何かアドバイスはありますか?

慣れない国に行くのはとても勇気がいると思います。興奮して自分を見失うかもしれません。、でも日本に来る前に何を達成したいのか目標を決めておくことは大切だと思います。僕の場合は、日本語でコミュニケーションを取らなければならない環境に自分を置いて、日本の社会に溶け込みたかったし、それが日本での投資になると思っていました。それにいつ日本に戻って来られるか分からないので、日本にいる間に日本人と交流して日本語能力を上達させたかったのです。もし日本でも図書館で漢字を勉強するなんていうアメリカでも出来るようなことをしてこの一年過ごしていたら、留学はあまり意味のあるものにならなかったと思います。

社交的になって何か新しいものに挑戦することはとてもいいことだと思います。僕は日本のスポーツの世界を体験できるバレーボール部に所属しました。最初にも言ったように、 いつも順風満帆ではなかったけれど、経験を思い出すと、練習に行けない時も諦めず、熱心に取り組んだから広島大学バレーボール部の一員として受け入れられたって言えます。他に部活に所属した留学生がいたかどうか分かりませんし、みんなが受け入れられるわけではないと思うけど、僕は日本で成し遂げたこの経験を胸に自信を持って帰国できます。頑張ったことで、広島大学でのこの一年でバレーボール部に足跡を残すことができ、将来戻ってくる居場所ができたという気持ちになりました。

そうですね! ありがとうございました。

ありがとうございます。

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広大バレーボール部

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サーブ!(中四国選手権)

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ホストファミリーの兄弟と

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ゆかた祭りで

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