第4回 Nguyen Thi Minh Nguyetさん(ベトナム)

「日本を選んでよかった」

名前: Nguyen Thi Minh Nguyet (MC)
年齢: 27
国籍: Vietnam
専攻:大学院国際協力研究科 開発科学専攻 (環境科学)
プログラム: 博士課程前期 (修了)
趣味:スポーツ(特にバドミントン)

『留学生インタビュー』バックナンバー

留学生Interviewの第4回は、環境工学で修士を卒業されたばかりのNguyenさんにお話を伺いました。Nguyenさんはグローバルな環境問題解決のために環境そのものを理解することに熱心に取り組まれ、これから、人生の新たなステップ、新たなキャリアへの一歩を踏み出そうとしています。広島大学で学び研究した経験は、将来の仕事に必要なスキルや自信を身につけるのに、どのように役立ったのでしょうか。

今日は留学生インタビューに参加して頂き、ありがとうございます。また修士号を取得されたこと、おめでとうございます。 では、早速なのですが、日本で勉強しようと思った理由は何ですか?

そうですね…理由は色々ありますね。例えば、子供の頃、テレビでよく日本についての番組や映画を見ていました。原爆のドキュメンタリーはもちろん、日本経済の急速な発展に関しての番組など、すごく印象に残りました。その頃から日本に行きたい!と思っていました。またベトナムにいた時の先生の一人が日本の大学で博士号を得ていて、日本で研究や勉強を続けることを勧めてくれました。

広島大学を選んだのは?

国際協力機構(JICA)からの支援受けて、JICAからもらったガイドブックに広島大学に関しての情報が載っていて、自分の研究分野(環境工学)やニーズにぴったりマッチしたので留学を決めました。

そうなのですか。ご自分の専攻(環境工学)について話していただけますか?

ベトナムにいた時は、土壌科学や水に関する研究を専攻していました。そこで天然資源における情報地理システム(GIS)とリモートセンシングを勉強しました。日本では、水を中心にして、環境科学におけるGISとイオン排除クロマトグラフィー(IEC)という高度水質化学モニタリング法の応用を勉強しています。指導教員に支えられながら、日本人の学生と一緒にIDECの水質化学計測法の開発と環境モニタリングプロジェクトに参加、広島市内の北部で水研究を行いました。

環境に関心を持ったきっかけは?

環境問題は現在、グローバルな課題になっています。環境問題を解決するため、環境をもっと保護し、研究して、理解する必要があります。例えば、ベトナムでは出かける時にはいつもマスクをしないといけません。空気がそれほど汚れているんです。大都会は人口密度が高く、交通システムもあまり良くなく、大気汚染が大問題になっています。環境科学を専攻して、グルーバルイシュー(地球温暖化、砂漠化、水資源問題など)の文献を読むことで、環境保護のための環境技術についてたくさん学べると思いました。環境技術などを勉強するなら、日本で勉強するのが一番だと思います。日本の空気はとてもきれいだし、ゴミの分別収集システムも効率的だし…憧れですね。だから本当に日本に来てよかったと思っています。

日本は何年目ですか?

今は2年目ですね。日本は本当にいいところです。私の国は日本と比べてみると当然違いがたくさんあります。経済や習慣、生活やシステム、全てが違います!どちらもアジアなのにこんなたくさん違いがあるなんて不思議ですね(笑)。もちろん共通点もありますが、どう見ても違いが多くて面白いです。

その「たくさんの違い」の中で、驚くぐらいの違いって何でしたか?

もっとも感動したことは、日本がこんなにも綺麗で平和な国だったこと、そして日本の人がとてもよく働き、親切なことです。例えばIDECから夜中の1時か2時に一人で帰宅しても、全然怖くないんです。ここは安全ですからね。周りの人も優しくて、困った時によく助けてくれます。もちろん外出する時はマスクをしなくてもいいです(笑)!また、私の先生方や友達は皆いつもオフィスや研究室にいて頑張って勉強しています。みんな忙しいのに、わたしに何か困ったことがあればすぐ助けてくれます。また私は日本でよく旅行や出張しますが、重い荷物を運ぶ時に一緒に持ってくれたり、道を教えてくれたり、困ったことはありません。

とてもいいお話ですね。ところで日本では、どのような機会を得ることができましたか?

IDECの水質化学計測法の開発と環境モニタリングプロジェクトに参加した時、地方自治体、IDECの研究者や先生、日本の学生と協力する機会があり、日本語が上達するよい機会でした。また、IECのことについて学ぶのにもよい機会でした。そのプロジェクトのおかげで、研究を仕上げることが出来て、また日本の環境だけでなく、日本自体についても学ぶことが出来ました。

また、化学分析や生態学等の学会に参加する機会がたくさんありました。日本では5〜6回ぐらい、そしてオーストラリアで1回参加しました。でも観光ではなかったですよ(笑)。行く前はプレゼンの事前準備で忙しいし、実際に行くと発表して、他の専門家の発表を聞かないといけないですしね。

発表する時は緊張しましたか?

もちろん!私の先生や専門家など大勢の人の前で発表するのですから。自信を付けるため、丁寧に準備し、また事前に発表を何回も何回も読み返して、練習しました。グループで発表するので、指導教員やTA、そしてグループのメンバーによく助けて頂きました。日本語や英語の質問について説明してくれました。また指導教員の先生の前で事前に1〜2回ぐらい発表のリハーサルをしました。本番の発表後にはグループのメンバーと先生とミーティングを開き良かったところや改善点など話し合いました。だから学会に参加すればするほど上達します。

すばらしいですね。大学院(前期課程)を修了されましたが、これからはどうされますか?

もちろん帰国しないといけないですが、ベトナムで研究に携わる仕事を見つけたいですね。実は、環境や人権などに取り組むNGOで働きたいと思っています。そして出来れば、大学の教員として活躍してみたいですね。

日本で過ごした2年は、ご自分の夢を追いかける自信を与えてくれましたか?

そうです。修士号を取得したおかげで、必要な知識や経験を得ることができました。大学を卒業したばかりの頃は、専門的な知識があまりなく、就職には自信がなかったんです。面接で「実践的な経験がありますか?」とか「この分野でどのぐらい勉強されましたか?」とか聞かれても、私にはそうした経験が何もないと思っていました。だけど、広島大学で修士課程を修了した今、胸を張って「こんな経験もあります!」と言えます。

広島大学で勉強したい留学生に対して、何かアドバイスはありますか?

実は4〜5日前、ベトナムから来た新入生2人に同じことを聞かれました(笑)。その時、私は、自信を持って、日本が自分のホームタウンを思えるようにしてみてくださいとアドバイスしました。恥ずかしがらずに心を開いて、新しい友達や知り合いと出会って、日本での暮らしを見いだして下さいと。そうするためには、何があっても自分は大丈夫だということを信じないといけません。また、日本とベトナムは違うので、当然やり方も違いますが、新しいやり方に合わせてみることも進めました。周りの人をよく見て、真似してみるなどして日本のやり方を身につけてみてください。そして問題や困ったことがある時は、遠慮なく誰かに相談してください。

でも、一番重要なアドバイスはしっかり勉強することです!勉強のために来日したので、怠けずに頑張って勉強して下さい。とは言っても、リラックスすることも大事ですね。勉強を楽しんで、そしてリラックスできる時にはしっかりリラックスしてください。バドミントンをしたり(笑)図書館に行ったり,先生や友達に話をしてみたり・・・。でもある程度は自立しないといけません。周りの人や先生に頼っているばかりではいられません。日本での生活が楽になるか苦しいにもなるかは自分にかかっています。

さすがバドミントンが大好きなNguyetさんですね(笑)バドミントンを通じて、たくさんのお友達が出来ましたか?

もちろんです!今バドミントン・クラブのメンバー数は26人。みんな時間がある時に参加するとてもきさくなクラブです。メールで日時をメンバーに知らせ、カンボジア、ベトナム、日本、ミャンマー、ラオス、ネパール、インドネシア、オーストラリアなど、色んな国の人たちと楽しくバドミントンをします。使用言語は英語ですが、みんなそれぞれの喋り方があるので、会話がとても面白くて楽しいです!もちろん会話は通じますよ(笑)

楽しそうですね!今日はたくさん話していただいて、ありがとうございました。あらためて大学院(前期課程)のご修了、おめでとうございます。

ありがとうございます。日本に来られて本当ラッキーだったと思っています。また日本に戻ってきて旅行はもちろんですが、ここで博士課程の研究を続けられたらいいと思います。

Nguyetさんとお友達。


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